コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

26 ( No.38 )
日時: 2011/12/11 20:48
名前: すずか (ID: 1u4Yuzgf)

「風邪を引いたとメールをしただろう……」
「だから卵酒を買ってきたのよ。酒盛りしましょう」
「……来るなとも言ったはずだが」
「移っても構わないわよ、最近休みたいって思ってたし風邪を引いたら儲けものだわ。よいしょ」

 大物芸能人が小さな窓から乗り込んでくる。ちょっと足バタバタしてる。何これ途轍もないシュールを見てる。挙句の果てにどさりと音を立てて居間に落ちてきた。そして何事もなかったかのようにちゃぶ台組に参入する。

「久しぶりね、美鈴保ちゃんも。益々可愛くなっちゃって」
「風香お姉ちゃんもご機嫌うるわしゅー!!」
「うん、相変わらずアホの子で安心したわ」

 軽くニコリと笑っただけなのに、俺は思いっきり見惚れてた。この人やっぱり凄い美人だ。170を超える高身長に、スラリとしてるのにガリガリってわけじゃなくて、出るとこは出てる途轍もなくバランスの良いスタイル、これ以上ないってぐらい完璧な配置の目鼻立ち、そして艶やかな長い黒髪。あ、やっぱり店長の彼女だわこの辺が。まず顔が。

「ところで、その子はどちらさん?美鈴保ちゃんの彼氏?」
「はい!将来は結婚する予定です!!」
「今初めて聞いたよそんな予定!?」

 勢いでyesって言っちゃったぜ!言われて嬉しかったんだよごめんなさい!!

「初めまして、ここでバイトしてる高砂雄人です」
「雄人君ね、ふーん……?」

 少し身を乗り出してジロジロと顔を眺めまわしてくる相原さん。ちょっとドキドキしてくる。

「うーん……目鼻立ちは悪くないんだけど、華が無いわね。残念」

 いきなり地味って宣言された。軽く泣きたいけど目鼻立ちが悪くないって言われたことを支えに心で踏ん張る。
 もう俺に興味はないのか、店長の布団へ一升瓶を持って近づく相原さん。

「新、卵酒飲みましょう」
「……卵酒って何で風邪の時に飲むんだろうな」
「ノリじゃない?いいから飲みなさい」

 店長がバファリンを飲む時に使っていたコップに、トクトクと卵酒を注ぐ。それをうどんをすすりながら仲矢と眺める。

「かんぱーい!!」
「……乾杯」
「あ、卵酒ってそんなに美味しくないのね」
「……微妙だな」

 ものの10秒で不味い宣言をしやがったこの2人。