コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 31 ( No.50 )
- 日時: 2012/01/09 23:48
- 名前: すずか (ID: KcCt4pR0)
「おい、新さん表紙にいるぞ」
「マジかよ」
店長読モ計画が施行されてから2週間後。相原さんから店長が出てるから買ってねメールが届いたので、卓巳を引き連れて商店街の一角にある本屋に立ち寄ったら店長に出食わした。紙上で。表紙で。ちなみに、風邪は次の日には治っていたらしい。体強いのか弱いのかどっちなんだよ。
あくまで読モなんだから、専属モデルのおまけよろしく中間ページ辺りに紛れ込んでると思っていたらこれだ。凄い前面に押し出されてる。
「いやでもこれは……納得の表紙級だな」
「それどころか並んでる他の雑誌の有名モデル完全に食ってるぞ」
「どう比較しても一番様になってるの店長だもんな。無表情だけど」
洒落た服を着用した店長のイケメン度合いを舐めていた。良く考えたら、いつも穴の空いたジャージだの、くたくたのパーカーによれよれのジーパンだの、背中に『弓』ってプリントされたどこで買ったのかさえ見当のつかないTシャツだの、適当どころか若干ダサいに足突っ込んでる服を着ていてさえあの見栄えなんだから、ファッションデザイナーが選ぶ服なんて来たらそれこそ敵無しなのは当然といえば当然だった。
なんか洒落たシャツに何か洒落たベスト、なんか洒落たズボンと靴、そしてなんか洒落たつば付きの帽子と黒縁伊達メガネとネックレス。1つとして正式名称知らねえぞこのアイテム達。だがとにかく、そりゃあもう半端ない。少女漫画の主人公もこれには勝てないぐらいイケメン。紙なのにイケメンオーラ放出しすぎ。でも無表情。ノー笑顔。逆にそれがキリッとしてて良いのかもしれない。
本屋で軽く唖然としていると、入口の方から声がした。
「あ、雄人くん!卓巳くんも!」
「仲矢!」
「おー。仲矢も雑誌買いに?」
「そうです!お兄ちゃんの晴れ舞台ですから!」
妹の方がやってきた。友人を何人か連れているのは、多分店長を自慢したいんだろう。仲矢店長大好きだし。クラスでもよく兄の生態を報告していた。その結果クラスでは『仲矢の兄はイケメンで変った人』というイメージが植え付けられた。まったくもってその通りだ。
「美鈴保のお兄ちゃんでしょ?絶対イケメンだよねー」
「間違いないって。こんだけ美鈴保が可愛いんだもん、遺伝してるに決まってるよ」
友人達よ、きっと店長は君達の予想しているイケメンレベルのハードルを楽々と超えている。刮目して待て。