コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

34 ( No.53 )
日時: 2012/01/28 22:44
名前: すずか (ID: sjdSvJ4p)

「よ」

 店の入り口で見知らぬ中学生に驚愕していると、後ろから肩を叩かれる。振り向くと、そこにあるのは見知った顔。

「おー、村山……お前見たら何か落ち着いたわ。ありがとう」

 顔的な意味で。

「何でなのか分からんが、どうやら俺にはヒーリング能力があるようだな」

 そうだよな村山ぐらいがノーマルだよな。良くはないけど決して悪くない。これが普通なんだよ、そこの中学生と仲矢兄妹が規格外なだけで。
 そんな癒しの村山は、ギターケースを背中に担いでいた。そういえば、バンドをやっているとか聞いたような聞いていないような。まだ演奏風景は見たことないけど。

「何しに来たんだ?ギターの弦は売ってないぞ」
「誰が金物屋に弦を探しに来るか。新さんと光に用があってな」

 そう言いながら件の中学生に向かって笑顔で片手を挙げる村山。彼の名は光らしい、まあ普通だ。もっとトンデモな名前を期待してたんだが。ヒットマンとか。
 その光とやらは無表情のまま村山に会釈をする。店長と雰囲気が似てるのは能面なところが同じなのもあるな。その無表情な光が口を開く。

「みっちゃん、その兄ちゃん誰や」

 一瞬みっちゃんって誰だよって思ったけど、そういえば村山のフルネームは村山満だった。

「ん?お前ら初対面なのか。雄人、そいつが相原光。俺と仲矢の幼馴染。で光、こっちが高砂雄人。ここのバイトを最近始めた」
「はあ、よろしゅう雄人さん。光って呼んでくれて構わんですわ」
「どーも」

 村山の取り持ちでお互いに腑抜けた挨拶を交わす。光の名前を頭で反芻して、ようやく気がついた。

「相原って、もしかして風香さんの弟?」
「ですわ」

 そりゃイケメンなはずだわー!『兄がイケメン=妹が美人』の仲矢家方程式の相原家バージョンだもんな!!
 再びしげしげと見つめると、確かに似てる。特に目。風香さんは凄い美麗な切れ長目なんだけど、光もほとんど同じと言ってもいいぐらい一致してる。あと髪の色もそっくり。

「というかさ、何で光が店番してんの?新さんは?」
「服が破けたんで直してはります。包丁に服が引っ掛かってビリッといったらしいっすわ」
「どうやったらそのシーンがアクションされるんだ?」

 何したんだよ店長。