コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

38 ( No.57 )
日時: 2012/02/25 19:43
名前: すずか (ID: z/pBun1e)

 とりあえず玄関口に密集しすぎだろう、という話になったので店内に入って適度にばらける。それでも割と狭い。4人も同時に人がいるとこ見たことないしなここ。
 そういえば以前、これで本当に経営は大丈夫なのか、と店長に聞いたことがある。そしたら驚いたことに、ネット通販の方の収入がすこぶる良いと言われた。機械に強いとは前に聞いたけど、金物屋とネット通販の結びつきは予想外だった。つーか、俺はそのネット通販の方の仕事は手伝わなくていいのか?何のためのバイトだ俺?
 そんな物思いにふけっているうちに光が店長を引き連れて帰ってきた。うわ輝いてる。あの床の1タイルだけイケメン密度おかしい。

「みっちゃん、連れてきたでっ……!?」

 さっきと変わらずダルそうな無表情で戻ってきたと思いきや、みるみるうちにその無表情が焦り顔へと変貌した。その視線の先には相原さん。そんなに驚くことだったか?
 そして、劇的に表情が変化した人がもう1人。たちまち輝く笑顔になったその人は、

「きゃああぁああああああぁーっ!!!!光うぅぅぅぅぅぅぅぅぅーっっっ!!!!!」

 光へと一目散に飛び付いた。

「ちょっ、何でおるんや姉ちゃん!?抱きつくなボケェッ!!!」
「もう相変わらず可愛いいいぃぃぃぃぃ〜ッ!!!流石あたしの天使ッ!!!!」
「キモイわッ!!!はよ離れろ!!!」
「あぁんツレナイのねやっぱり!!!でもそれでこそ光なのよねえええぇぇーッ!!!どうしてこんなに可愛いのかしらッ!?」
「知るかアホォッ!!!ええからさっさとその手を離さんかいッ!!!!」

 うわあ。

「……何でだろうな、あんな美人に抱きつかれてるのにちっとも羨ましいと思えないんだが」
「まあアレはな。愛情を注ぐっていってもあれだともう変態の域だろ」

 凄い蚊帳の外から会話をしてる気分になってくる。何あの空間。すっげーピンク。相原さんだけだけど。光はどう見ても本気で嫌がってる。

「光光っ、久しぶりに会ったんだからお帰りのチューはッ!?」
「誰がするかッ!!!!」
「見ての通り、風香さんは光を溺愛してんだよな。光は辟易してるみたいだが」
「あれだけ惜しみない愛情を食らったら逃げたくなるわな」
「どーもアレを昔から見てるとテレビに出てる風香さんがまるで影武者か何かに見えるんだよなあ……」

 確かにファンが見たら卒倒しそうな光景だわ。ついでに光の命が危ない、闇討ち的な意味で。

「相変わらず仲が良いですなー。でも私とお兄ちゃんも仲良いよねっ?」
「……きゃあー。美鈴保おー」
「店長無理はしない方がいいですよ」

 何だその棒読み。
 というか、結局村山の用事は何だったのか聞いてねえな。