コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 46 ( No.66 )
- 日時: 2012/04/29 20:13
- 名前: すずか (ID: X79pDgJG)
光が顔を真っ赤にしながら、それでもチビ達を振りほどかず適当に相手をしているのを微笑ましく眺めていた時、村山の親父さんがやってきた。
「遅かったな、満」
「あ、親父。けど俺らの出番最後だろ?」
「まあな、あっちで打ち合わせがあるから誰か1人行っとけ」
「はいよ。新さん、俺行っときますね」
「助かる」
さらりと親切だな村山。流石だぜ。
もうライブイベント自体は始まっていて、ステージでは近くの中学校の軽音楽部が、聞いたことのある曲を演奏していた。どうせなので、待ちの5人はパイプ椅子に座って鑑賞することにする。チビ達は親に連れられてどこかへ行った。
「光、今やってる奴らは同じ中学か?」
「そうですよ。普通の曲やってるなんて珍しいすわ、いっつも演歌ばっかりなのに」
「軽音楽部なのにか」
「十八番は『また君に恋してる』ですわ」
「『天城越え』勧めとけ」
「あれ難しいでしょ」
お前ら変な会話してるな。つーか何だよその部活、ほんとに軽音楽部かよ。演歌は軽じゃねーよ。重だよ。
突然、隣でシャクシャクと謎の音が鳴り始めた。
「雄人君も食べます?」
「何で人参スティック?」
仲矢兄妹がタッパーに入った人参スティック食ってる音だった。イケメンと美人が並んで人参スティックもしゃもしゃするんじゃねーよ。そもそも人参スティックは女子高生の鞄から出てくるもんじゃないっすよ仲矢さん。前世うさぎですか。あ、それは可愛いわ、アリ。
「お出かけのおともは野菜スティックが常識だよね!」
「ああ」
「今初めて聞きましたよその常識」
どこの次元の常識でしょうかそれは。
「そうか?光も持ってると思うが」
「お前も持ってるのか!?」
「何の話っすか雄人さん」
「もう食べてる!!」
大根スティック食ってた!ちゃっかり卓巳まで食ってた!!
「ね、常識だよねひーくん!」
「……あー、はいはい。商店街で昔から流行ってるんですわ。多分八百屋の橋本さんの策略だと思うんですけど、案外美味いし健康的やし、そのまま流れで」
「説明ありがとう」
ほんとに光は空気が読める良い子だな。最近光の株が急上昇だわ。最初は卓巳が増えたかと戦慄したもんだが。
「よーし雄人、この大根スティックを鼻から食え」
「何で分かるかなお前は!?」
だから戦慄したんだろうが!
