コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 50 ( No.70 )
- 日時: 2012/06/07 23:55
- 名前: すずか (ID: LTdV0xGg)
「で?突然どうしたんだ大勢で」
大地さんが店頭ガラスケースに右肘をついて、悪戯っぽく笑う。うわ何だこれ、様になるとかそういう次元じゃねえぞ。このモーション、大地さんの為に作られたって言われても納得するぐらいかっけえ。しかも制服なのか、ウェイターの格好をしているのが益々。エプロンまでもが輝いて見えるわ。
「パンフを見た」
同じガラスケースに左腕につけた店長が、無表情に右手に持ったパンフを突き出す。これまた様になる。今日は店長、光と村山に言われるがままモデル仕事の時に貰った服をそっくり着てるから、正真正銘のイケメンになってる。見た目だけは。ガラスケース近辺輝きすぎ。
「こういうのって集客を増やすために作るんだぜ?身内が来てもらっちゃ困るな。で、どれにする?」
口では文句を言っているけど、笑顔でショーケースの中身を指差す大地さんは、ちっとも迷惑そうな素振りをしない。まだ開店すらしていないのに。心までイケメンだなこの人、村山が言うだけのことはある。
「はいはーい、私このラズベリーチーズケーキ!」
「お、良いの選ぶじゃねえか美鈴保。それ新作」
軽口を叩きながら、ひょいとトングでケーキをつまみ、お皿によそうまでの動作が完璧すぎて何だもうこの人。イケメンスペック的には店長越えてるだろ。勿論店長も人間的にはとんでもないスペックだけど、イケメンスペックが大地さんよりあるかって言われたら、まあ、うん。変な人だよな。
「満は?」
「じゃー俺チョコレートムースケーキで」
「はいよ。そこの二人は?というかどちらさんだ?」
チョコレートケーキをつまみながら、質問を飛ばしてくる大地さん。
「あ、初めまして。金物堂でバイトしてる高砂雄人です」
「それの友人の加賀卓巳です」
こいつ今『それ』って言った。物凄いさりげなく『それ』って言った。当然のようにit扱いだった。
「ほー。新の所でバイトか。大変だろうに」
「……どういう意味だ?」
「ははっ、それを分かってない辺りが大変なところだな」
旧知の仲だけあって店長の性格は熟知しているらしい。良いコンビだな、見た目的にも性格的にも。この二人でアイドルユニットを組んだら、テレビ界に革命が起こるだろうな。
「で、雄人くんに卓巳くんだったか?どれにするんだ?」
「あ、俺ショートケーキで」
「んー、プリンタルト」
「了解、どっちも美味いぜー。ま、不味いもんなんか売りに出してないけどな!」
超絶爽やか笑顔で4人分のケーキを取り終わる大地さん。何なの、この人体内に空気清浄機でも内蔵してんの?村山も内蔵してんの?
「新は?」
「……ごまめ」
「店頭にあるものから選べって、何度言ったら分かってくれるんだ?」
店長は体内に何を内蔵してるんだろうな。洗濯機?