コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

51 ( No.71 )
日時: 2012/06/17 22:35
名前: すずか (ID: iYTaD9NP)

「まあ、ごまめもあるけど」
「あるんですか!?」
「新の好物だからな。もしもフラッと遊びに来た時に出してやろうと思ってたんだ。実際そうなったから、作っておいて正解だったな」

 ぱ……ぱねえ!この人ぱねえ!空気が読めて気配りもできて爽やかで親切で尚且つ料理もできるだと!?もし大地さんが女性だったら求婚されまくりじゃね!?いや現状のままでも求婚されまくりだろうけど!!

「村山」
「何だ」
「あの人に弱点はないのか?」
「糖尿病以外は見当たらないな」

 そういえば糖尿病だったなこの人。ここまでくると、だからどうしたって感じだけど。

「そうだ、仕込みも終わったし、ちょっと早いが昼飯食べてくか?用意してやるよ」
「え!?いや、流石にそれは迷惑じゃないですか!?」
「助かる」
「やったーありがとう大地さん!」
「御馳走になりまーす」
「あざーす」
「え、あれ!?」

 こいつら遠慮の欠片も無え!!旧知の仲の商店街組はともかく、初対面の卓巳までちゃっかり頂こうとしている!!

「ふふっ、雄人くんは良い子だな。他の奴らは食べてくみたいだし、1人増えたところで変わりゃしないさ。遠慮せずに食べていきな。ほら、そこ座って」

 窓際のテーブルを指差す大地さん。お言葉に甘えてわやわやと座る俺ら。大地さんが腕を組んで考えるポーズ。そのまま銅像にできるぐらい絵になる。

「そうだな、デザートにケーキだから洋風の方が良いか。んー……グラタンでどうだ?」
「いや、ほんとにもう何でもいいです」
「……ごまめは?」

 ごまめに拘りすぎだろ店長。グラタンにごまめとか合わないって。

「わーった、ごまめも持ってきてやる。他の子もグラタンで構わないか?」

 全員が賛同する。それを見てにこっと笑い、腕まくりをする大地さん。

「よし、腕が鳴るぜ。ちょっと時間かかるが待っててくれよ」

 大地さんが機嫌よくそう言った時、再びベルがカランと鳴った。ひょこりと顔を覗かせたのは、髪を三つ編みにし、愛嬌がある顔立ちをした女の人だった。手にはスーパーの袋。

「ただいまー……あれ、仲矢君だ」

 その瞬間、既に生気で溢れている大地さんの目が一層輝き、その女の人へと一目散、そのままの勢いで飛びつくように抱きついた。

「繭梨!!!!」
「きゃっ!」

 え、何事。どうされた。

「だ、大地君!何か色んな人が驚いてるよ!?離れてほしいな!!」
「……あー、すまん。我を忘れた」
「も、もー。びっくりしちゃうよー」
「いやー、朝からずっといなかったからな。寂しかったんだ」
「たった2,3時間でしょ?それぐらいで寂しくなってたら体保たないよ」

 そう言いながらも、繭梨と呼ばれた女の人の顔は真っ赤で、尚且つちょっとニコニコしてる。ラブラブしい。超ラブラブしい。

「なんつーバカップルだ」

 卓巳が失礼なことを言うが……ま、その通りだな。