コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: コメディ小説って何書けばいいのさ? ( No.9 )
- 日時: 2011/09/18 13:53
- 名前: 大嘘吐き ◆ivrU1TOGVQ (ID: lkF9UhzL)
“すばらしい力だね、けれど……応用と基礎の力の差は、君も身にしみて分かっているはずだ”
“青年の笑顔はまさに、死神の権化問う言うにも相応しい表情であり、その笑顔からは、人を押しつぶすほどのプレッシャーが放たれている。 ただ、彼の顔はバケモノではなく、虫一匹殺しそうに無い優男”
“まさかそれが、平然と人を殺すなどとは思うまい”
私は、いつものようにキーボードに指を走らせる。
コメディ小説をある日突然書いてみようと思っても、書けるわけが無いのだ。 得意なシリアス小説を書き続け、小説家を目指すのもいいかもしれない。
基礎は少なくとも出来ている。 あとは、数をこなすだけで自然と研磨されるだろうし。
プロだってそうじゃないか。 自分の書ける範囲で、小説を書いている。
無理しても、いいものが出来るわけがない。
ただ、やはり。 挑戦せず諦めると言うのは、私のプライドが許さなかった。
嫌に手間がかかり、面倒であれば諦めはついたかもしれない。 だが、私にとって小説を書くと言うのは、小学生が難しいゲームに挑戦し続けるのと同じ。 娯楽なのだ。
難易度の高いゲームをクリアしてこそ、達成感を感じられる。
今しがた書いていた小説の投稿ボタンをクリックし、投稿確認画面が出ると同時。 コメディ掲示板のボタンをクリック。
そしてそのまま、新規作成。 規約もOK、了承。
そしていざ、小説製作画面に差し掛かったその時だった。 今まで真っ直ぐ問題なく来たところでの事。
大問題が、発生した。
「えーと……」
私は、こういうときはタイトルから決めるタイプの人間だ。
タイトルを決めるということは、話の大筋がどんな話しかを決めると言う事もある。 つまり、話の大筋を考えていない今の私にとって、一番の難関。
ウィンドウの戻るをクリックし、結果として挫折。
雑談板に来て、今に至る。
昨日の、コメントの返事……。 あった。
“コメディ・ライトだから、ギャグでも良いし。 明るい話じゃない?”
……聞き返された。 マウスを滑らせ、ページを検索サイトへ案内させる。
そして即、打ち込み開始。 “国語辞典・コメディ”と打ち込み、そのままエンターを二度叩く。
そして、出た!
コメディ……喜劇?
さてそれは、一体何のことでしょう? 喜劇……とな?
喜劇……喜ぶ劇? ハッピーエンドだったらいいのかな?
この日、私の悩みは更に一つ増えた。
- Re: コメディ小説って何書けばいいのさ? ( No.10 )
- 日時: 2011/09/19 12:46
- 名前: 大嘘吐き ◆ivrU1TOGVQ (ID: lkF9UhzL)
最近は、トレモロさんの【萩原さんは今日も不機嫌】など。 コメディ小説を読む機会が増えた。
いや、学び取ろうと必死だと言った方が合っているかも知れない。
前記のように、私は無駄にプライドが高い。 いや、この表現方法では可愛らしくないか。 負けず嫌い、とここでは述べておくとしよう。
とにかく、私にできない事があると出来るまで小意地になって続けると言う習性がある。
取り敢えず、文章ソフトを開くと思いついたワードを書き出してみる。
“愛だの恋だのくだらねぇ”
……駄目だ、思いっきりシリアスとかでよくやる書き出し。
世の中を嫌った主人公のパターンだ。 ついでに言うと、この手の主人公は人見知りが激しい。 私のような奴が多い。
と言うより、私の分身のような思考の奴も多い。 若干の違いは持たせるものの、それはただ単に私の制御できる枠を超えないため。
私の性格が違って、私が私を客観的に見られれば、特にそのような必要など無いのだろう。
その一文を消去し、もう一度キーボードに指を走らせる。
“日常と言う名の牢獄に、私は囚われ、繰り返す”
うーん、ボツ。 いや、駄目だね、うん。
私に、コメディ小説はあわないらしい。 いや、無理があるらしい。
いっそ、恋愛小説にしちゃおうか……。 その文を消去し、もう一度ディスプレイに向かう。
そして……、
“可愛ければ男女問わず、私は行ける”
あー、ドン引きされるのが見えたような気がする。
いや、私が読者であれば、ドン引き確実。 BL・GL板に書けよって言いたくなる。
私自身、恋愛経験ないし。 無理以外のなんでもない。
かっこいい男子の事を見ても、可愛い女子を見ても、何も感じない。 ただ、そこにそういった人間が居るだけで。
やはり、恋愛対象ではないのだ。 ただ、人間が居る。
あ、かっこいい。 あ、可愛い。 ただ、それだけしか感じることが無い。
「私は……つまらない人間だな……」
何だろう。 今改めて、そう思った。
生物学上、人間は異性に興味を持つわけだ。 だが、私は可愛らしい人間であれば男女問わず。
生き物として、ずれている。 人間として以前。
子孫を残すとか、そんな本能が一切と言って良いほど働いていない。 異様に、我が強いらしい。
「好きな相手の一人や二人、居てもいい年なんだけど……」
こんな、高2は居ない。 周囲は青春を謳歌している。 彼氏、彼女が居るのが当たり前。 何だか、私は取り残されているような気もしなくはない。
ただ、私にはそんな流行に乗るような、流行に乗らなければ行けないなどと言った気持ちは無い。
むしろ、自分の好きなように。 自由奔放なのだ。
無理を続けても、いい事など無い。 取り敢えず椅子に座りなおすと、取り敢えずPCに向き合い、コメディ板の小説を読み流す。
一応、行きつけの小説はある。
既に述べたトレモロさんの小説に、Cデイズさんの【部活と進路と可愛いコーチ?】や、とろわさんの【こいつら全然ブラバンする気が無いんだが】など。
コメディ板を今まで見なかったことを少し後悔した。
何せ、他の板と違って人口が多く、その分上手い人も多い。
カーソルを滑らせ、野宮詩織さんの書いている【おいでませ、助太刀部!!】を速読。
「いい加減寝ろよー!」
親の言葉に、時計に目をやると、時間の立つ早さを改めて思い知らされた。
深夜、1時。 三時間近く、このサイトに居たのか……。
私はPCの電源を消すと、部屋の電気を消した。 連休明け、明日から学校がある。 もう少し、早く寝たかったとは言うまい。
- Re: コメディ小説って何書けばいいのさ? ( No.11 )
- 日時: 2011/10/25 20:08
- 名前: 大嘘吐き ◆ivrU1TOGVQ (ID: I69Bg0jY)
耳元で鳴り響く、金属音の代理となるデジタル音は、朝の目覚めにはとてもよくない気がする。 大きな音で、力ずくで起こそうとしている目覚まし時計をセットする私が悪い。 元来、私は朝は弱い。
目を覚ますも、お決まりの一言。
「後……5分……」
そう繰り返し、少なくとも20分弱寝るという自堕落習慣がついているのだ。 だが、今回はそうは行かなかった。
「起きろー!」
弟の、ボディプレスが……私を襲った。 と、思う。
流石我が弟、私の弱点を的確に攻めてくる。 布団を引き剥がすと、無意識に私が抱き付こうとした枕を素早く引き抜く。
抱きかかえるものがなくなった私は、どういうわけか自然に目を覚ました。 何か抱えていなくてはとても寝ていられない性で、どうしても、一人では寝られない。
いや、訂正。 別に、人間ではなくてもいい。
「あ……ぅ。 オハヨ……」
「何がオハヨだよ、もう七時半だぞ?」
うぅ……態度がでかい。 この中学一年生の弟は何だか最近、身長の追いついてきて調子に乗っている。
何せ、もう少しで目線が私と並ぶのだ。 そして、早ければ今学期中に私はこの馬鹿に身長を追い越される。 それが最も分かっているのは、やはりこいつなのだ。
「母さんは?」
「仕事。 ついでに、朝飯は俺が全部平らげておいた」
……むぅ。 私は仏頂面をこの馬鹿に向ける。
寝起きで機嫌が悪いのと相まって、今の私の気分はマイナス方向に大きく傾いている。
そうだな、この馬鹿のもって行く弁当に下剤でも仕込んでやろうか?
いや、それは止めるべきだ。 そんなアホな思考を振り払い、適当なパンを一枚手に取ると、ジャムを塗ってコーヒーで流し込む。
コーヒーが甘くないのは気に喰わないが、今回ばかりは我慢しよう。
「じゃ、お先!」
弟を家に置き去りに、家を飛び出した。
私の場合、高校通学は電車ではない。 取り敢えず、家から近くの馬鹿学校である。 滑り止め、と言う表現が最も合うだろう。
特に急ぐことなく、いつもの日課。 コンビニへと足を運び、午前の紅茶ミルクティーを購入。 いつもこれしか買っていない。
そしてもう一個。 ミンティアをカウンターにもって行き、会計を済ませる。
そのまま、コンビニから駅前の猫とじゃれてから学校へ。
いつもの日課、いつもの繰り返しである。
- Re: ラノベって何書けばいいのさ? ( No.12 )
- 日時: 2011/09/26 20:10
- 名前: 大嘘吐き ◆ivrU1TOGVQ (ID: cX1qhkgn)
通学中、特にやる事などない。 ただ、淡々と歩き続け5分足らずの内に、校舎は目の前だ。
取り敢えず、ローファーから上靴に履き替え校内へと侵入。 ボーっとしながら階段を踏み外し、転げ落ちそうになりながらも3階にある教室へ。
そこで朝コンビニで購入したライトノベルを読む、と言うわけである。
最近流行の、とある魔法と科学のそれだったりとは違う。 疑心暗鬼に駆られる、とある村のお話でもない。
ただ単純に、恋愛小説。 それを読むも、やはり面白みを感じないわけであり、何が面白いのか。
ただ淡々と読み続けているうちにHRが始まり、立って座って、読書を再開。
一時間目の国語の時間、ノートを手早く書き終え、ノートを書き終えた合間にその小説を読み流す。
そんな作業を延々と繰り返し、二時間目のチャイムがなると同時。 私はその手に持っていた小説を鞄の中へとしまった。
「うん、面白くない」
読んでみて、率直な感想。 全くと言っていいほど、面白みを感じなかった。
マンネリで、ワンパターン。 技量はあるが、自分で考えているようにはとても見えない。 最近多い、常識依存したような感じで無難な作品。 そんな印象が大きい。
いや、実際そんな感じだ。 女の子がイケメンに惚れて、イケメンの性格が滅茶苦茶良くて。 他人思いだとか、妄想もいいところだ。
そんな人間が居るはずがない。
むしろこの逆しか、私は知らない。 現実にそんな人間が居れば、私は命を懸けても良い。 猫を被っているとしか、見れないだろう。
現実を見れば、そんな人間は居ない。 集団で力を得たつもりになって強気になる奴。 自分の怠惰を棚に上げ、努力で得た力を妬む奴。
そんな人間しか、見てきた覚えが無いのだ。 人と接するのは必要最低限のみ。 私自身が話しかけることなど、特定人物数名を除いて滅多にない。
ああ、猫になりたい……。
校舎の窓から見える猫を眺め、思わずそんな事を考える。 休み時間だが、誰一人私に話しかけて来ようなどと思っている奴は居ない。
何せ、私と会話する以上。 相手と私の持つ知識が、同じジャンルの同じレベルでなくては、相手は面白くないだろう。
アニメはサッパリ見なければ、本ばかり読んでいる。 そして、日によってその読書ジャンルはランダムに変わるのだ。
私と無理に話を会わせようとするよりも、気の会う友人とやらと一緒に居る方が楽しいだろう。
「物語と現実が入れ替わればいいのに」
不意に、そんな言葉を漏らす私が、そこに居た。
そう、面白くないのだ。 生きていたところで、毎日同じことの繰り返しであり、それをごまかすための毎度変わる読書であり、執筆なのだ。
そう、一日一日が充実していたと錯覚させるため。 そして、明日は何をしようかと、生きる気力を得るための。
「次は……歴史か。 好きじゃないんだよね」
三時間目が始まるチャイムが、校内に鳴り響く。 だが、担任兼社会科歴史担当の教師が来ないのだ。
3分しないうちに、教室は騒がしくなり始める。 少し耳を澄ますと、
「事故にあったんじゃない?」
「いや、朝のHRのときは居ただろ?」
「じゃ、アレだよ! 問題が見つかったとか」
「マジだったらわらけるな」
さまざまな憶測が飛び交い、隣の教室で授業をしていた先生が来て静かにしろと注意をしにきた。
そこから更に、10分は経った。
ようやく、歴史担当の先生が来たわけだが……その横には、一人の見たことが無い生徒が、一緒に連れられてきた。
連れてこられた彼は、ボーっとしたような表情で、教室を見渡した。 癖のある茶髪に、緑色の瞳。 そして、奇妙に痩せたその体系は、どういうわけかピエロを連想させる。
不思議な雰囲気を放ち、先生と話している。 そして、先生は私の前の席を指差し、彼を座らせた。
そういえば、この間この席の奴……学校辞めたっけ?
彼が席に着いたのを確認すると、先生はチョークを握り黒板に『一年 優希』と書くと直ぐに口を開いた。
「ついさっき、転入試験をパスして転向してきた一年君だ。 仲良くするように。 では、授業を始める」
- Re: ラノベって何書けばいいのさ? ( No.13 )
- 日時: 2012/04/11 15:08
- 名前: 大嘘吐き ◆ivrU1TOGVQ (ID: 83yASpp9)
三時間目が終わると同時、私の前の席……一年の周りに5、6人の女子の集団が押しかけた。 彼の顔がいいからだろう。
実際、腹のそこでは何を考えているのかなど分からないものだ。
「ねえ、一年くんって何処から来たの?」
「何高から?」
「彼女居るの?」
質問攻めに会うが、彼は一切気に留めた様子も無く、口を開く。
「そうだな。 和歌山の紀ノ川って所から、高校は途中退学した。 彼女は……どうだろ? そうだね、後ろの席」
まさか、取り巻きの視線を自分に振られるとは思って居なかった。
慌てて視線を持っていた小説に戻すが、遅かった。 リーダー格であろう女が、私の前に立ちふさがる。
無理するなと言いたげな視線で、こちらを見てくるわけだが……この際無視させて頂こう。
「シカトしてんじゃねーよ!」
机に蹴りが入り、視界がぶれる。
何だ、この女。 何様のつもりだよ?
今言うのもなんだが、私はとても沸点が低い。 大体、大人しいやつほど弱気なのだが、私の場合はそんな一般常識に当てはまる方が珍しいと言うべきだろう。
しおりを挟み、本を制服のポケットの中へ。 そして、椅子から立ち上がると冷静に相手の顔を見据えた。
「何か、用?」
私の言葉に、後ろの数人は、
「うわ、声初めて聞いた」
「喋れるんだ」
などと、まあ……ざわついているわけだが。 そいつらに興味は無い。
「シカトすんなっての」
「シカトしたら、机蹴るんだ。 へー」
私は冷静だ。 冷静で、冷静で、自分が何をしたのか分かっていて、相手が何をしたのかも分かっている。 そして、相手と自分を天秤に掛けた結果。
スカートであることを気にも留めず、強烈な上段下し蹴りが相手の顔に叩き込まれた。
まさか相手は、反撃をされるとすら思っていなかっただろう。 謝れば許すつもりはある。 だが、もう遅い。
相手に非がある場合、私の躊躇いと言うものは全くと言ってもいいほど無い。
そして、こんな性格でよく外へ行けばビッチどもにも絡まれる。 見たまま、形を真似ただけだが、まかりなりにも護身術紛いのものくらい扱える。
率直に言えば、私は喧嘩っ早くて暴力的だ。
「常識じゃ、先に手を出した方が悪いんでしょ?」
静かにそう言い放つと、私は席に着き、ポケットから取り出した本のしおりから。 読書を再開した。
それを見てか、一年がうっすら笑ったように見えたのは……私の気のせいだったのだろうか?
- Re: ラノベって何書けばいいのさ? ( No.14 )
- 日時: 2011/10/08 14:09
- 名前: 大嘘吐き ◆ivrU1TOGVQ (ID: QwdVpVQe)
踵落しは、どうやらやりすぎていたらしい。 いや、明らかな過剰防衛だと注意を受けた。
ただ、私に非はない。 むしろ、被害しか受けた覚えが無い。
前の席に居る一年が私に彼女の話題を振らなければ、あの群れは私に構う事はなかったし、あの群れが私に攻撃を仕掛けなければ、蹴られる事も無かったのだ。
私は、ただ単純に鏡なのだ。 相手の行動をそのまま返す。 言動をそのまま返す。
それも、反転して同じものを。
損をするのは、いつもこっちだ。 慣れきっているが、やはり煮え切らない。 納得できない。
相手が手出さなければ、何も起こらなかった。 なのに、相手はお咎めなし。 不条理とでも言うべき、この現実。
物語と、現実が入れ替われば面白いのに……。 そう思うのも、そのせいだ。
物語は、そういった不条理を努力以外に幸運によって解消していくのだ。
結局、学校から家に帰され、戻って小説を綴る。 そして、布団に入ってすぐに寝息を立て始めた。
そこまでは、いつも通り。 だが、今の音は一体……?
夜中。 私の体内時計では、午前三時をさしている頃。 家のチャイムがなる。
だが、親は一切反応しない。 まるで、私以外の時間が全て止まっているかのような。 そんな、得体の知れない雰囲気の中。
私はパジャマ姿のまま、玄関へ。 下駄箱の上に立てかけられていたレンチを片手に、扉を開く。
「や、久しぶり」
そこに立っていたのは、癖毛の男。 街灯などの逆行で、その姿は黒い影にしか見えない。 ただ、その金色の瞳は私を見据えている。
「……誰?」
- Re: ラノベって何書けばいいのさ? ( No.15 )
- 日時: 2011/10/08 14:04
- 名前: 大嘘吐き ◆ivrU1TOGVQ (ID: QwdVpVQe)
逆行に対し、目を凝らす。 すると、徐々にその人物の像が浮きあがってきた。
暮れの歩けの男は、金色の瞳で私を見据えている。 恐怖を感じるも、表には出ない。 というより、出せない。
「や、学校以来だね」
その言葉を耳にした直後、それが誰なのか。 私の頭にはっきりとした人物像が浮かんだ。 一年である。
「こんな夜中に、何か用ですか?」
怒りを通り越して、呆れが私の感情を支配する。
夜中に、急に来られても何も出来ないし。 家族全員寝てるし。
「いや、君を探してたところでね。 丁度良かったんだ、運命を書き綴る預言者……。 ボクの世界の運命は、これから君の綴る書の中に全てが記される」
意味不明だ。 二次元妄想が酷いのか? 学校で見た限り、早くも友達が出来たようだし、元よりこいつはリア充なのに。
というか、リア充は絶滅しろ。 群れて、私に突っかかって来る奴は大体がそうだ。
今日の翔テストだって、授業中は寝ていた癖に満点を取っていたし、体育も男子の陸上競技の学年記録を大幅に塗り替えたという事を耳に挟んだ。
そしてこの、イケメンだ。 これをリア充と呼ばずして何と呼ぶか。 こんな奴、
「今すぐにでも滅びてしまえ」
私は無意識の内に、その呪いの言葉を吐き出す。 が、彼はそれを華麗に受け流す。
そして、私の手の握ると同時。 景色がまるで砂の城を突いたかのように崩れ去った。
- Re: ラノベって何書けばいいのさ? ( No.16 )
- 日時: 2011/10/25 22:25
- 名前: 大嘘吐き ◆ivrU1TOGVQ (ID: I69Bg0jY)
「おーい、起きろよ」
これは、気絶という奴か? 良くある、異世界へ行くときのお約束のパターン。 そして、私の体験した事のない現象だ。
何だか、深い眠りから一気に覚めたような、案外気分のいい感覚。
けれど、いつまでもその感覚に浸っているわけにも行くまい。
寝ぼけ眼を半ば強引に押し開き、ピンボケ写真のような周囲を見回すうちに、目のピントが合ってきた。 目の前に、楔形の箱がいくつも並んでいる。 何だろう? 何て思ったのは一瞬だった。
それは、見て分かるとおり。 “棺桶”で、私の寝ていたところに目をやると、やはりそこは棺桶の中。
小説で書くときにイメージするそれとは若干イメージが異なるが、棺桶で間違いない。
「ようやく目を覚ましたようだね」
私に、“彼”が話しかけてきた。
玄関のところにいた、張本人。 そして、それは見れば見るほど、忘れもしない“奴”そのものであると思い知らされる。
「一年……何で?」
彼は困ったような顔で、顔を掻きながら口を開く。
「いや、何でって……ボクはこの世界の住人で、この場所の守護者だから……」
その仕草と、表情は明らかに女ウケが良さそうで、見ているだけでどうしてもムカつく。
蹴りを入れよう課などと考えたが、ここで関係が悪くなって何処にいるかを聞きそびれれば大変だ。 ムカつくがここは、大人しいふりをするべきだろう。 いや、大人しいとは思われていないかもしれないが……。
もちろん、表面上だけ。 腹の内では死ねばいいのにとか考えているのも、口に出してはいけない。
「ここ、何処?」
余計な言葉を口にしないよう、必要最低限の一言を脳が選び出し、口から吐き出した。
一年は、困ったように周囲を見回し、
「君を、この世界に連れてきておいて言うのもなんだけど……。 ここが何処だか、ボクにも今一良く分かってないんだよね。 あ、そうそう、これ」
一年は紅い表紙の書物を拾い上げ、こちらに渡す。 が、受け取りを拒もうと、手を伸ばさなくともそれをこちらへ突き出すので、渋々受け取った。
「ボクの居るこの世界がどのように進むかを示す予言の書。 どうやら、君がこれの所有者らしくてさ。 この本が選んだ所有者でなければ、この書物に記された事は予言にもならない。 それに、誰か別の人間がこの書物にいたずら書きを使用ものならその人間は不慮の事故でこの世を去ることになる。 さて、君はこの恐ろしい本で、明るい未来を記してくれるかい?」