コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 軽音部って、なんだっけ?-戦隊なんて御免です- ( No.31 )
- 日時: 2011/10/04 18:41
- 名前: 由羽 (ID: Lay1j2X4)
- 参照: プロット友達に見られた……↓
——皐月——『商店街のPRに出動!』
きれいにきちんと整頓された部室に、先輩が駆け込んできた。
それが、始まりだった——。
「仕事入ったぞー!」
嬉しそうに、ハアハアと肩で息をする卯月先輩が、部室——第二音楽室準備室——に、入ってきた。
苦手なFコードの練習をしていたあたしは、ギターを机の上に置き、先輩に駆け寄った。
「なんかの大会ですか。練習の成果在りましたね!」
「そうそう。睦月さん、決めポーズ巧いしね」
「そういう卯月先輩も、高い声、きれいになって来たじゃないですか!」
ん? 待て待て。なんか違う。会話がかみ合っていない。
あ、こんにちはー。一之瀬 睦月です。五月になりました。桜の木も緑色の葉っぱだけ残して、哀愁漂う姿になっています。
と、報告はこのくらいにして。
「あの、卯月先輩。仕事って、軽音部のほうじゃないんですか?」
「何を言っているんだね睦月君!」
「何キャラですか先輩」
隣に来た如月が、冷たい目で先輩を見つめる。
ドラムのスティックを前に構えているので、自分の予想している答えと、先輩の言う答えが違ったら叩く気なんだろう。
じゃああたしも構えよう。
「あの……睦月さん、なんでギターの弦を構えているの?それ、六弦だよね? 一番太い弦だよね?」
「いいから、気にしないでください」
語尾にハートをつける。
卯月先輩の顔から色が消えたけど、まあ、気にしないでおこう。
「それで? 何の仕事が入ったんですか?」
メガネをのんきにふきながら、皐月先輩が聞く。
笑顔で隣に立っているのは、弥生先輩。
「商店街のPR」
「商店街って、あのおんぼろ商店街ですか?」
師走高校の前に、人を見かけたらいいことが起こるという、ジンクスが流れている、ぼろい商店街がある。
そこのPRだろう。
「で?何の曲と弾くんですか? オリジナルですか?」
あたしが黒い笑顔で聞くと、卯月先輩は顔に縦線を浮かべながらも、
「何を言っているんだい? 睦月さん」
と、言った。
首を絞めたい衝動を抑え込み、じゃあ、と聞く。
「なんの仕事なんですか!」
「シワスンジャーに決まっているだろ睦月さん!」
開き直った卯月先輩に、あたしの持ったギターの弦と、如月が持ったドラムのスティックが、襲い掛かった。
