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Re: 軽音部って、なんだっけ?-戦隊なんて御免です- ( No.5 )
日時: 2011/09/27 18:43
名前: 由羽 (ID: Lay1j2X4)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

   ——卯月——  『シワスンジャーって、なんですか?』


 師走高校——。
 がんばって勉強をすれば、行けないことはない学力、かわいい制服、より取り見取りな部活の種類、フリーダムな校則という、人気になる理由がそろった高校である。
 競争率は高いが、あたしは何とか入学できた。
 今日はその入学式。枯れ始めている桜の木の下を、満面の笑みで通っている。

「楽しみだね。睦月」

 隣にいる、黒いポニーテールを揺らし、天使のような笑顔で笑っている少女が、あたしに声をかけた。
 彼女は幼馴染の海南。一見美少女なのだが——。

「ねえこれさ、去年のアニメの『けんおん!』の舞台の高校の制服に似てるよね!」

 紺色のブレザー、赤と黒の縞模様のリボン、リボンとおそろいのがらのスカートの、制服を見て海南が言った。
 けんおんとは、去年大ヒットした深夜にやっているアニメ。主人公は保健の先生で、生徒の検温になるとすごい力を発揮させるという、ストーリーだ。
 そして、けんおんは、いわゆる「オタク系アニメ」と称されている。
 つまり、上のことから分かるのは、彼女はオタク。

 ——そしてあたしも、去年まではそうだった。
 中学校時代のあだ名は「腐女子」で、みんなから気味悪がられていた。でも、今は違う。

「海南、そんなに連発しないでよ。あたしが高校デビューしたのバレんじゃん」

 そう!あたしは見事、高校デビューを果たしたのだ!
 ずっと伸ばしていた髪を切り、おさげにしていた髪型をふんわりカールさせ、仕上げにメガネをコンタクトに変えた。
 そして、あたしは高校デビューの勝者になったのだ!

「でもでも、なんで高校デビューしたの?」

「何を言っているのかね海南君! こんなギャル風のの人がいっぱいいる高校に、腐女子として入れないじゃないか!」

 かっこよく言い切ったつもりだけど、海南は逆に質問をしてきた。

「じゃあ、なんで入ったの? 睦月だったら、結構入れるところあんじゃん」

 かわいらしく小首をかしげた海南に、近くを通った男子が叫びだす。

 あのですねー。この人オタクですよー。
 
 って言っても、無理だな。
 勝ち目がないのであたしは質問に答えた。

「だってね、あたし、軽音楽部に入りたかったんだもん!」