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Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。企画・もしも彼らが○○だったら ( No.112 )
日時: 2012/01/01 22:04
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
参照: 今年も終わりですからパーッと盛り上がろうぜ! バイ盛り下がり隊長。

1月1日 黒影寮、お正月スペシャル!!


 〜視点なし〜


「あー、くそ。あのビッチがいねぇから寮内がさびしいな」

 この変人——ゲフンゲフン、能力者が集まった寮『黒影寮』の寮長、東翔が舌打ちをかました。
 その隣で副寮長の椎名昴が苦笑いを浮かべる。

「ほら。銀ちゃんがちゃんとご飯を作ってくれてたみたいだし。これ食べようよ?」

「伊達巻をよこせ!」

「自分で取れよ」

 おせち料理を口に運ぶ銀髪の猫耳少年、篠崎蓮は言葉を吐き捨てる。相手が寮長で、しかも死神だと言うのにもかかわらず——だ。
 だが翔はそんな小さな事ではキレないので、自分で料理を皿の上に移して口に入れる。もさもさとリスみたいに咀嚼を始めた。

「銀ちゃんはあとで来るで。未来予想で見えた」

「本当、睦月の未来予想は便利だなー。それで俺の今年の運勢を占ってよ」

「占星術なら空華に言えや」

「俺様かよ?!」

 黒豆を口に入れた時、自分に責任転嫁された事に憤慨する我流忍術『王良家』筆頭、王良空華。
 向かいで煮物をもさもさと食べている超能力者、堂本睦月は行儀悪く箸で空華を指す。

「せやて、お前さんは呪術とか詳しいんやろ? それやったら蒼空の将来を占ってやれや」

「お前がやりゃいいじゃん。呪術と占いは紙一重です。それに俺様は未来は見えません。見てもらうんなら銀ちゃんのお兄さんにでもやってもらったらー?」

 空華は嫌みのように睦月へ言う。
 対する睦月は、何も言えなくなってしまいムスッとした表情で黙り込んだ。
 今までほったらかしにされていた重力を操る能力者、二条蒼空が不機嫌そうに口を開く。

「なぁ、俺は無視?」

「蒼空。ワシは近い未来は見える。だけど将来は見えんのや。堪忍な」

「じゃー、これから俺に何か不幸な事が起こる?」

「それはあらへん。大丈夫や、見えへんから——ん?」

 睦月は蒼空の顔を見て怪しそうに眉をひそめた。まさか?

「蒼空。上空に注意しとけ」

「へ? じょーくー。ジョーク?」

「アホ。上の空って書いて上空だよ」

 箸をくわえながらパソコンのキーを叩く言葉使い、祠堂悠紀は天井を指した。
 蒼空は言われた通りに上を向く。
 上についている電球が、いきなり落ちてきた。

「うっそぉ?! 重力操作、無空!!」

 自分の力を使った蒼空は、電球に当たって大怪我という新年早々嫌な事を免れた。
 その一連の動作を見ていた全員は、大きなため息をつく。

「さすが蒼空。トラブルメーカー」

「トラブルメーカーじゃないやい! ただちょっと運が悪いんだい!」

「それをトラブルメーカーと言う。覚えておけ、馬鹿。ついでに『あれ? そうじゃねぇの?』と言っている空華も」

「うぐっ!」

 空華は翔に指摘されて苦々しげに顔を歪める。

「とりあえず、電球は直した方がいいんじゃない? 確か、替えの電球があったはずだよ?」

「そうだな。俺は空を飛べねぇから睦月」

「何でワシやねん。ワシかて遠隔念動力は辛いんねん。蒼空」

「無理無理! 俺がやったらふわふわ浮いてるだけだって!!」

 なすりつけ合いが起こる。
 とりあえず、と狂戦者である男装少女、国枝つかさが言葉を遮った。

「空が飛べる奴の方がいいんじゃないかな?」

「空が飛べる——って言ったら」

「昴しかいねぇよな」

 全員でじーっと昴を見つめる。
 お雑煮を食べている途中だった昴は、全員の視線に首を傾げた。

「俺?」

「お前しかいねぇし」

「やっとけよ、昴」

「えー。今やるのは面倒だよ!」

 昴は自分に命令した翔にバシッと平手打ちを入れる。こういう事は寮の中で昴しかできない。
 すると、今まで黙りこんでいた怜悟が口を開いた。

「とりあえず、あとで替える」

「じゃあ少し暗い中で食べろって?」

「違う」

 怜悟は上へ指を向けた。みんなの目もそっちの方へ向けられる。
 今まで電球があったところは、青い火の玉になっていた。

「火の玉で我慢」

「「「「「出来るかぁ?!!」」」」」

 この後、黒影寮は急いでおせち料理を食べ、電球を替えた。