コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。 ( No.13 )
日時: 2011/10/10 22:17
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
参照: 実は桐生玲は山下愁でしたってオチです。ゴメンなさい。

第1話 ウェルカム、黒影寮。


 とにかく、全員が食堂に集合した訳ですが。
 さっきから殺気を放ちまくっている訳です。お互いさま。

「……空華。俺は言ったはずだが?」

 特に殺気だっている翔さんが、黒焦げで項垂れている空華さんに言います。
 原因はやはり、無断で連れてきた彼女にあるようです。
 ちなみに彼女さんは怜悟さんの幽霊で気絶させ、睦月さんが瞬間移動で送りました。どこかに。

「ナンパするのは大いに結構。好きにしろ。だが寮には連れてくるな。分かるだろう?」

「分かってるけどさぁ。別にいいじゃん、あの子が来たいって言ったんだから」

 空華さんが反論すると、翔さんの手から炎が飛びだします。
 炎の弾丸を空華さんは左へ上半身をそらしてよけました、が。

「俺の攻撃は甘くない」

 机を踏み台にして、翔さんは空華さんの顔面目掛けて足を振り下ろしました。
 空華さんは翔さんの蹴りをモロに喰らい、回転しながら飛んで行きました。そして床に盛大に体を打ちつけて動かなくなります。
 だけど翔さん、床に転がっている空華さんを見て不機嫌そうに吐き捨てました。

「分身を使うとはやるじゃねぇか」

「俺様の攻撃も甘くはないってね」

 いつの間にか翔さんの後ろには、小さな刀を構えた空華さんが建っていました。
 静かに殺気を放つ2人の間に、昴さんが割って入ります。

「喧嘩をする為に全員を食堂に呼んだんじゃないよ?」

「あぁ、そうだったな」

 翔さんは睦月さんの方を見ました。
 睦月さんは静かに頷くと、私の前に白い紙を出現させました。物質転送したのでしょう。
 その白い紙は、どうやら誓約書のようです。

「えーと?」

「これは、俺らの秘密を守る事を約束する誓約書だ。珊瑚の野郎もこれを書いて、管理人なんかをやっていたんだ」

 私は白い紙に目を通します。
 何でしょう。『黒影寮に通う特別能力育成クラスの者の力を他者に流出しない』——。

「特別能力育成クラスって一体何ですか?」

「俺らのような変人g「俺らのような不思議な力を持つ人が通うクラスだよ」

 翔さんが変人と言いかけたので、慌てて昴さんが訂正しました。
 他の人に、力がある事を教えてはダメって、どういう事でしょうか?

「軍事開発に利用されて死ぬよりかはましだ。特別能力育成クラスってのは自分の力をコントロールする事を学び、己が持つ力を乱用して悪事を働く馬鹿どもを葬る仕事をしているクラスだ」

「要は悪者退治って事」

 翔さんが難しく言ってきたので、悠紀さんが分かりやすく言い直してくれました。
 なるほど。悪者退治ですかー。
 何の漫画でしょうね?

「あぁ、監視はするからな?」

「え?! 家でも見られてるって事ですか?!」

 私が翔さんに訊き直すと、翔さんは首を傾げてきました。

「家に帰れるとでも?」

「え?」

「帰れる訳ねぇだろ。監視は目の届くところがいい。寮に住め」

 そんな理不尽な。
 私、学生ですよ? 学校は?

「英学園は近くだから送ってくぞ——睦月辺りが」

「何でワシやねん?!」

 睦月さんが翔さんにツッコみました。

「それとも何だ? 珊瑚のように家に帰らせてもらう代わりに寝る時も風呂の時も着替えの時も見られてて欲しいのか?」

 変態ですか?!
 ていうか、叔母さん見られてたんですか!!

「あいつはおかしいのな。見られて興奮してるようだったぞ」

 私は改めて、叔母と言う存在が分からなくなりました。
 叔母さん、あなたは変態なんですか?

「で、どうするんだ? 風呂も見られたくないんなら寮に住め。住むのが嫌なら全部監視させてもらうぞ」

 絶対に寮に住むのがいいと思うのは何故でしょう。というか家に帰りたいが為に全て監視されてた叔母さんが分かりません。
 私が選択肢に悩んでいると、空華さんが一言。

「今ならもれなく俺様がついてくるよ?」

「帰ります」

 即決です。
 あの時の空華さんで分かりました。空華さんは優しいんじゃないんです。
 私の体目当てで優しくしてたのですね……!

「監視するならどうぞお好きに。では失礼します」

 ペコリ、と頭を下げて私は黒影寮を後にしました。
 あんなとこ、早く出て行きたいです。

「なぁ、銀ちゃん出て行っちゃったんやけど。よかったんか?」

「……あいつが監視すればいいって言うんだから、いいんじゃねぇのか?」

「いや、そうじゃないねん」


「未来予知(テレスコープ)で見えたんやけど、力を悪用した男どもに銀ちゃんが攫われたんや」