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Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。企画・もしも彼らが○○だったら ( No.134 )
日時: 2012/01/09 21:58
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第8章 神威銀の誘惑


「隣町のプールですか?」

 7月です、7月! リアルでは1月ですけど、世界観は7月の真夏です。
 私は昴さんに言われた単語を復唱しました。
 隣町——ここは白雪町と言うのですが、隣町『神宮寺町』はビルがたくさんある人の多い場所です。リアルで例えるなら池袋です。

「うん。文化祭の賞品がその招待券だったんだ。銀ちゃんの分もあるよ。よかったら行かないかい?」

「ハイ。行きたいです! あ、でも、水着が必要ですよね……。私、可愛いの持ってないです……」

 ちょっと残念です。私、スクール水着しか持っていませんので。
 その時です。
 どこから出てきたのか、羅さんが出てきました。

「銀ちゃぁぁぁぁあん! 会いに来たよ、あたしを癒してぇぇぇえ!」

「え、えぇ?! 羅さん?! どうして、きゃーっ!」

 いきなり抱きつかれて身動きが出来ません。苦しいです羅さん。
 昴さんはため息をついて、反閇技を羅さんに叩きこみました。
 羅さんは技を分子レベルに分解して、事なきを得ました。よかったです。

「ちょうどいいや。羅ちゃんも行かない?」

「行かない」

「あそ。じゃあ銀ちゃん、白亜ちゃんも誘ったら? ほら、あとひかげちゃんだっけ? 誘ったらどうなの?」

「ハイ。誘ってみますね」

 2人だけで話しているのにムカついたのか、羅さんが昴さんに噛みつくように怒鳴ります。

「何だよ! あたしを差し置いて何を話してるんだよ!」

「プールの話。隣町のプールの招待券が手に入ったから、行かないかって。さっき訊いたじゃん」

「主語が抜けてるから分からなかった。銀ちゃんが行くなら行く!」

「でもお金は自分で出してね?」

「りょーかい」

 羅さんも交えて、楽しいプールです!
 っと。その前にやる事がありますね。
 そうですそうです。水着を買いに行かなくては! スクール水着しか本当に持ってないんで。

「羅さん、少し付き合ってもらえませんか?」

「え? 銀ちゃんと結婚を前提に?」

「違います! 違いますから!!」

 何を言ってるんですか、この人?!
 私は携帯を掴み、白亜さんに電話をかけました。

***** ***** *****

「へぇ。神威さん、スクール水着しか持ってないッスか」

「う……。そうなんです」

 白亜さんに核を突かれて黙り込んでしまいます。
 あのあと、2人を誘ってみた結果、見事にOKをもらいました。2人とも行く気のようです。

「まぁいいスけど。ひかげさんは持ってるんスか、水着」

「持ってないぜ☆」

「綺麗な笑顔で言わないでくださいよ?!」

 そういう場合じゃない人がいましたね。
 白亜さんはふーん、と唸ると、今度は羅さんに目を向けます。

「羅っちは?」

「持ってるよ、一応。今年、銀ちゃんを無理矢理引きずりだそうと思ってね」

「何をしてくれようとしちゃってるんですか?!」

 私、危なかったです。

「じゃあ、とりあえず神威さんとひかげさんッスね。神宮寺町に大きなショッピングモールがあったはずッス。そこに行きましょ」

「ハイ」

「……神威さんって、案外ナイスバディッスよね」

 え?
 白亜さんが私の胸を見てきました。何かあるのでしょうか。
 皆さん、私の体を見てきますけど。一体何か? 特に胸と腰の辺り。

「……だから黒影寮は惚れたのか」

「待ってください?! 何か勘違いされてません?!」

「銀ちゃん、君の貞操はあたしが守るよ」

「ちょっと羅さん?!」

「うーん。小学生並みの体系の私が銀ちゃんに敵うはずないぜ!」

「何を言ってるんですか、ひかげ先輩?!」

「先輩言うな、呼び捨てでいい! ダメならさんづけ!」

 こんなメンツで大丈夫なんでしょうか。
 すると、私の携帯電話が鳴りました。黒影寮の方でしょうか?
 ディスプレイには知らない電話番号が映っていました。空華さんが新しい携帯を買ったんでしょうか?

「もしもし?」

『あ、銀?』

 知らない男の声が聞こえました。
 誰でしょうか。

『気をつけな。プールに行く時は携帯を必ず持って行って。黒影寮の奴らと離れないで。忠告はそれだけ』

 一方的に喋り、電話は切れました。
 何でしょう。ていうか誰ですか?
 まぁ、気にしないようにしましょう。


「まったく、銀ったら」

 俺は鏡の中を覗きながらつぶやいた。
 まったく、銀は無防備すぎるだろ。本当に。

「まぁ、いいか。いざとなったらまた電話すればいーし」

「おーい。何してるんだよ、鈴」

「何でもないよ。みんな」