コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。企画・もしも彼らが○○だったら ( No.135 )
- 日時: 2012/01/11 21:57
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第8章 神威銀の誘惑
バスで1時間の距離に、神宮寺町のプールがありました。
たくさんの人であふれているのにもかかわらず、私達はあまり並ばずに入れました。さすが招待券です。
ひかげ先輩もわくわくした目つきでプールを見ていました。
「遊ぶぜ!!」
「服のまま飛びこもうとしないでくださいよ?!」
常識、というものはあるのでしょうか。はたして、この人達には。
***** ***** *****
〜空華視点〜
「ハァ、やっぱりプールはいいねぇ」
行き交う人々を眺めながら、俺様はため息と共に吐きだした。背中は更衣室の壁に預けている。
きらきらと輝く青い空。
その下に広がる色とりどりのプール。ついでに水着の女性達!!
まさに最高の楽園だね、ここは!!
「おいおい、顔がゆるんでるぞ。変態忍者」
「変態じゃないよ。男なら当然じゃないか」
この少女容姿死神め。水着の女の子を見て興奮はしないのだろうか。
ちなみに、黒影寮の全員は着替え終わった。つかさは元々女なので銀ちゃんに引き連れられて女子更衣室に行っちゃったし。
女子って言うのは着替えが遅いねぇ。
「男子って楽でいいわ」
「いきなり何を言ってるんや、こいつ」
睦月が怪しそうな目で見てきた。
何だよ。怪しそうな目で見るな、馬鹿。
すると、俺らに声がかけられた。知っている口調だった。
「やぁ、黒影寮の諸君?」
「あ。白刃さん」
蒼空が声の主の名を口にする。
銀色の髪に紺色の瞳。キャップをかぶっていて、パーカーを羽織っている。腕には『監視員』の腕章。
銀ちゃんの兄、神威白刃さんだ。やっぱり鏡を携帯している。
「遊びに来たの?」
「文化祭の賞品がここのチケットだっただけだ」
翔が機嫌悪そうに答えた。どうもこの人は苦手らしい。
白刃さんは至って普通の返事をする。
「ま、ここのプールは楽しいらしいし? 楽しんだら?」
「白刃さんはここで働いてるんですか?」
「バイトでね。僕は一応、大学生だし。母さんが仕送りをくれるけど、やっぱり自分の分は自分で何とかしないと。銀は特待生で学校通ってるし」
え、意外なんだけど。
「銀は結構頭いいよ? 運動も球技は苦手だけど、足は速いし。あ、コラ!! プールには飛び込むな、そこのガキ!!」
ピィィィィイイッと笛を吹き、白刃さんはプールに飛び込んだ子供を注意しに行く。その際、こちらを向いて、一言告げる。
「銀の事、よろしくね。僕もなるべく監視員の仕事をしながら見るけど」
「どうしてですか?」
昴が首を傾げる。
白刃さんは苦笑いを浮かべると、
「銀の鈴が覚醒し始めてる。このまま行くと——奴らに襲われる」
「奴ら?」
「ま、そのうち分かるさ。奴らには——ってコラァァァ!! だから飛び込むなって言ってんだろクソガキ!!」
白刃さんは今度こそ子供のもとに走って行った。
銀の鈴が目覚め始めてる? 一体どういう——。
「おい、イケメン。そこら辺の女を見てるんじゃねぇぞ」
ゲシッと誰かに背中を蹴られた。この口調からすると、羅ちゃんだ。
「痛いな! 何する——」
「ご、ごめんなさい! 着替えるのに遅れました!!」
水着姿の銀ちゃんが、いた。
肌は白いし腕は細いし足もすらりとして長いなー、とか思っていたけど、水着だとかなり分かる。
雪のような白い肌は、青いビキニタイプの水着と絶妙に合っている。腰には長いパレオをまいていて、スリットからはすらりと足が伸びている。セミロングの銀髪は、ポニーテールにまとめられていた。
銀ちゃんは少しだけ顔を赤らめている。超可愛い。
「あの——変、ですか?」
上目遣いで銀ちゃんは問いかける。
俺様達は急いで銀ちゃんから視線を外す。これ以上見てると鼻血が出る。
「え、変なんですか?!」
「変じゃn「変じゃねぇぞ、このクソビッチ。似合いすぎて逆に困る」え、翔?!」
銀ちゃんの事をビッチって呼んでいるのに、「似合ってますよ」みたいな台詞を言ってるの?
翔にそう言われた銀ちゃんは嬉しそうにはにかむ。
……やっぱり。銀ちゃんは翔が好きなんだ。
「おうおう。空華、浮かない顔をしてるぞ」
蒼空が脇腹を肘でぐりぐりと押してくる。
俺様は蒼空の腕を振り払うと、あくまで平静を装う。忍びなんだから、ポーカーフェイスは当たり前だ。
「どこがだよ! さ、女子のメンツもそろったみたいだし? 遊ぼうじゃねぇか!!」
どうか気づかないで。
無理して笑っている事には、どうか。