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Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。 ( No.17 )
日時: 2011/10/15 21:56
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
参照: 行きます山下初のハーレム!!

第2章 とある彼女は銀の鈴。


 学校についた私は屍でした。
 訂正します。屍のようでした。
 何故なら朝、怜悟さんの自転車に乗せられて学校に登校してきたのですから。
 私の学校は自転車による登校が許されていません。なので、朝から職員室に呼ばれて質問攻めにされました。

「う、うぅ……。黒影寮の皆さんは私の話を聞いてくれませんね。本当」

 すると、クラスメイトの1人に名前を呼ばれました。
 誰かと思い、私は視線を上げます。
 私の目の前に立っていたのは、茶色の髪を後ろで縛ったいかにも若者らしい生徒が立っていました。
 どちら様でしょうか。

「あの、俺はサッカー部の矢崎春馬(ヤザキハルマ)って言うんだけど。少しいいかな?」

 矢崎さんと言えば、サッカー部のキャプテンをしている方です。
 そんなスポーツマンが私に何か用でしょうか。

「実は、3日後に試合を控えてるんだけど、マネージャーが怪我をしちゃって動けないから代わりにマネージャーを頼みに来たんだ」

「そうなんですか。そういう事でしたら喜んでお引き受けします——あ、」

 そうです。遅くなるなら黒影寮の誰かに連絡をしなくてはいけません。
 私は矢崎さんに断りを入れて、携帯とノートを持って廊下に出ました。
 んー。翔さんは連絡をするなって言ってました。だとすると、寮長としての仕事が忙しいのでしょうか。でしたらこの人ですね。
 ノートを見ながら、私は番号を丁寧に打ちこみコールボタンを押しました。

***** ***** *****

〜昴視点〜

 英学園特別能力育成クラス——生徒からは特別クラスと呼ばれているこのクラス。
 表向きはすごい勉強しなきゃ入れないとされているけど、実際はそうじゃない。能力者じゃないと入れないのだ。
 そりゃあ、特別クラスになったら名誉ある事だと思うけど、結構つらいんだよ?

「おい、昴。携帯なってるぞ」

 翔が隣で本を読みながら言ってきた。
 鞄の中に入れていた携帯がブーブーと振動している。電話のようだ。
 どうしよー。今、力の訓練中なんだけどな。

「俺から上手く言っておく。出てこい」

「ありがと。今度パフェか何かを奢るよ」

 こういう時、翔とは本当に友達でよかったって思う。特別クラスでトップの実力を持つ翔の発言は、先生でも文句は言えない。
 俺は睦月に頼んで瞬間移動で廊下に飛ばしてもらうと、電話に出た。
 相手は銀ちゃんだ。

『あ、昴さんですか? 授業中に申し訳ありません』

「大丈夫。翔ちゃんが上手く理由をつけておいてくれるから。どうしたの? 翔ちゃんに電話すればよかったのに」

 スピーカー越しの銀ちゃんは、苦笑いのような声で言う。

『朝に翔さん、言ってたじゃないですか。連絡は俺以外の誰かにしろって』

「……あー。電話しちゃえばいいのに。翔が文句を言ってきたら、俺が何かフォローするよ?」

 ほら、昔からの仲だしって言って笑う。
 すると、銀ちゃんもクスクスと小さな笑いをこぼした。

『昴さんは頼もしいですね。用件は、サッカー部の臨時マネージャーになったので帰りが少し遅くなりますので』

「そう? 夕飯までに帰って来てくれれば俺としては大丈夫なんだけど。山に寮があるから、空華か睦月辺りに迎えに行かせようか」

 俺も行った方がいいかもしれないんだけど、副寮長としての仕事も少しあるから。
 銀ちゃんは(きっと)笑いながら、

『大丈夫ですよ。私の学校、完全下校は6時なので。まだ明るい時間帯ですよ?』

「あ、そっか。でも心配だよ。女の子だもん」

『優しいですね。なるべく早く帰りますけど、それ以上遅くなる場合はまた連絡しますね。あ、矢崎さんに呼ばれましたのでこれで——』

「待って銀ちゃん。何て言った?」

 銀ちゃんは不思議そうな声で教えてくれた。

『サッカー部キャプテンの矢崎春馬さんですよ?』

「そっか。ありがと。じゃあ気をつけるんだよ」

 俺は通信を切る。
 同時に教室から先生が出て行くところを見て、俺は教室に入る。
 力を使って疲れたのか、ぐったりした様子のみんなが見えた。

「なぁ、翔ちゃん」

「何だよ」

 みんながぐったりしているって言うのに、翔だけは平然とした様子で本を読んでいた。
 俺は、さっき銀ちゃんから聞いた『ある男』の名前を言う。

「矢崎春馬って知ってる?」