コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。企画・もしも彼らが○○だったら ( No.176 )
- 日時: 2012/01/26 22:08
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第10章 突撃☆隣の国のマフィアさん!
翔さんが何やら電話をしているようです。全員で壁の影から様子をうかがいます。
何を話しているのでしょう?
「……お母さんと話してるのかな?」
「分かるんですか?」
「だって話してるのが中国語だし」
あ、そうですよね。翔さんは中国出身でした。
でも、何を話しているのでしょう。私は中国語はよく分からないんです。日本人ですからね。
蒼空さんはピッカーッと顔を輝かせた。
「まさか、実家に帰って来いってか?! 翔の実家ってどんなだろー!」
「さぁ?」
その質問に、怜悟さんが答えました。興味なさそうな口ぶりです。
すると、鎌がこちらに飛んできました。
当本人、翔さんが電話を終えたらしく、機嫌悪そうな感じで立っていました。
「……何をしてるんだ? 盗み聞きか?」
「悪気はなかったんだよ! それより、何を話してたの?」
昴さんが私達をかばうように前へ出ます。
翔さんはチッと舌打ちをしますと、渋々口を開きました。
「……実家に帰って来い、だと」
「え、実家に?」
「あぁ。死神の移動術を使うな、旅行費は出してやるから、寮のお友達も連れて中国に帰って来い——だと」
翔さんは面倒くさそうに頭を掻きます。行きたくないのでしょうか?
「行くの?」
「行かなかったら、殺されるからな。母親には逆らえない」
再度翔さんは舌打ちをすると、私達に命令しました。
「30秒で支度しろ。今日の午後3時から飛行機に乗って中国に行くぞ」
突然過ぎませんか?!
***** ***** *****
翔さんに言われた通り、私達は30秒で支度をして空港に来ました。
残念ながら羅さん達はいません。誘ったのですが、白亜さんは「ごめん部活の合宿」と言われ、羅さんは音信不通状態です。
お兄ちゃんに電話をしたら本当に30秒で来ました。どこにいたんですか。
「零に連れてきてもらったんだよ。あ、零はそこにいるよ? 連れてくる?」
「方向音痴だからな、あいつはリードを持ってこい」
「ここにあるよ?」
さすが後輩のお兄ちゃんです。犬用のリードを使って零さんを引っ張ってきました。
翔さんは全員を確認すると、入口に向かいました。
機内。
「ふわぁぁぁあ! 飛行機ー! 空の上ー!」
蒼空さんが異常なまでのハイテンションで窓を見ています。その隣では鬱陶しそうな表情を浮かべた睦月さんが、目を閉じて寝ていました。
私も実は飛行機に乗るのは初めてです。まだ修学旅行にも行った事ありませんしね。
お兄ちゃんはさして興味なさそうな口調でつぶやきました。
「蒼空君さ、空の上は行った事あるんじゃないの?」
「あるよ! 能力の制御に失敗して、無重力になって風にあおられて気が付いたら雲の上!」
そんな笑顔で言わないでください、想像したら怖い事になりました。
「翔さんは飛行機に慣れてるんです——か?」
なんか翔さんの方を見やると、すごい青い顔をしていました。
隣で昴さんが翔さんの介抱をしています。苦笑いを浮かべて水を差しだしていました。
「あの、翔さんどうしたました?」
「翔ちゃんは飛行機が嫌いなんだよね。船と飛行機が嫌いでさぁ。電車と車は平気なのに、この2つだけがどうしてもダメで酔っちゃうの」
昴さんが翔さんに水を握らせて説明してくれます。
「だから、いつも実家に帰るのを嫌がるんだよね。周りの人に死神である事を知らせたくないから、飛行機で来るようにって」
「えっと、周りの人って何ですか?」
「——やくざだよ」
空華さんがコーヒーを飲みながら、言いました。
「翔の実家は中国の政治に精通するマフィア——構成員は全員人間だから、死神だと言う事をばらしたくないんだろうな」
そう言えばそんな事を言ってたような感じがするようなしないような?!