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Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。企画・もしも彼らが○○だったら ( No.185 )
日時: 2012/01/29 21:45
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第10章 突撃☆隣の国のマフィアさん!!


 屋敷の中はとても広く、日本の平屋にきたみたいです。
 長い廊下を歩いていると、とある和室から声がかかりました。女の人の声です。

「あら、翔。その可愛らしい子達は一体誰なのかしら?」

「姉貴、帰ってたのか。天界で会議とか言ってなかったか?」

 あら、うふふと笑いながら綺麗な女性が翔さんの前に立ちました。
 本当に綺麗な女性です。黒いボブの髪に蓮のピンが刺さっていて、チャイナドレスを着ています。普段着なのでしょうか? 水色の綺麗な布地です。
 女性は私の方を見て、また笑いました。

「この子が神威銀ちゃん? あらあら、予想以上に可愛いじゃない。さすが翔が惚れた女の子ね」

「え、いや、あの」

 返答に困っていると、翔さんがペシリと女性にチョップをしました。

「失礼な事を聞くな。銀も困るだろ」

「あら。じゃあ何かしら、翔はこの子に恋愛感情を持ちませんっていうのかしら? あら〜? 話と違うじゃない。『俺が惚れてる女だから手を出すな』みたいな事を言ってたのに?」

「うるせぇ黙れ行くぞテメェら!」

 翔さんは顔を真っ赤にして女性から走り去りました。

「あらら。逃げちゃった。初めまして、あんな弟をよろしくね? 姉の東美羽(アズマ/ミウ)って言うの。これでも21歳よ?」

「え?! 若く見えるんですけど?!」

 空華さんが率直な感想を述べました。この人ときたら……。
 美羽さんと名乗った翔さんの姉は、嬉しそうに微笑みました。

「実際、私は2100歳なのよねぇ。翔とは400歳ぐらい離れてるかしら?」

「あ、ははは。翔さんは死神ですものね」

「あら。私は天使よ? 大天使・サキエルって名前なの。でも人間界では美羽って名前で通ってるから」

 美羽さんは笑いながらどこかへ行ってしまいました。お出かけですかね?
 翔さんが死神だと、お姉さんは天使なんですね。あれ、じゃあ大地さんは?

「大地さんも死神だよ。だけど翔ちゃんとは別格の死神」

「昴さん。どこへ行ってたんですか?!」

「泊まる部屋を案内されたからそこに荷物を置いてきたよ。それより、銀ちゃん達も荷物を置いてきたら? そしたら翔ちゃんの家族にご挨拶しに行こう」

 昴さんは笑顔で言いました。
 ご家族って——やはり神様とかなんですかねー?

***** ***** *****

 荷物を置いて、廊下を歩きます。先頭は翔さんです。
 翔さんは1つの部屋の前で歩みを止めますと、そのドアをノックしました。

「親父。入るぞ」

「うむ」

 渋みのある声が奥から聞こえてきます。
 襖をスッと開けますと、暗い和室には着物を着た翔さんに似た男の人が座っていました。何やら青い炎に話しかけているみたいです。
 男の人は青い焔に向けて笑みを見せますと、右手を持ち上げました。
 青い炎が虚空へと吸い込まれていきます。ポンという軽いピアノのような音が聞こえてきました。

「来世では幸せに生まれるようにな」

 男の人は柔らかい口調で、そう言いました。そして翔さんの方へ向き直ります。
 真正面から見ますとますます似ています。大地さんも翔さんもお父さん似でしょうか?

「翔ちゅわぁぁぁぁぁあん! 元気にしてたぁぁぁあ?!」

「離せ親父ぃぃいいいい! 帰るなりいきなり抱きついてくる親がいるかぁぁぁあ!!」

 翔さんはお父さんをガッとつかみ、無理やり引き剥がしました。

「どうしてだよぅ。お父さんだよ? 胸に飛び込んでおいでー」

「炎神」

「待った。炎の玉で飛び込んでこないように。人間モードのお父さんは焼け死んじゃうからね? 死神と違って僕は人型と元の姿とは区別してるんだからね?!」

「いっそ死ね。マジで」

 死神ルックに変化した翔さんは、本当にお父さんを焼き殺そうとしています。止めてくださいよ?!
 なんとか止めることに成功し、お父さんはこちらを見ます。

「息子がいつも世話になってるね。あ、昴君はお久しぶり。東菊牙(アズマ/キクガ)って言うんだ。気軽にお父さんって呼んでもいいからねー、神威銀ちゃん?」

「どうして名前を?! まさか翔さんが教えました?!」

「んー、それもあるけど、僕には一応目が備わってるからね。死神と同じような目が」

 お父さん——菊牙さんは、ニッコリと笑いました。
 そこへ、女の人が現れます。スッと通った鼻梁に艶やかな黒い長髪。桜の花をあしらったチャイナドレスを着ています。
 女の人は翔さんの存在に気付くと、ニッコリと笑みを見せました。

「翔。帰っていたのですね」

「……お袋」

「お袋ぉ?! 何、この人が?! 嘘だろ!」

 黒影寮の全員で叫びます。

「東琳(アズマ/リン)と申します。お見知りおきを。これでも天界を統べる神をしております」

「神様?!」

「あ、僕は地獄を統べる閻魔さまだよー?」

「閻魔ぁ?!」

 あなたの家族はすごい人だらけですね、翔さん?