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Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。企画・もしも彼らが○○だったら ( No.196 )
日時: 2012/02/04 22:31
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第10章 突撃☆隣の国のマフィアさん!


 広いお風呂です。かなり広いお風呂です。豪邸だからと言って、男子風呂と女子風呂が別々になるんですかね?
 ちなみに言います。私は現在、1人でお風呂に入っています。
 しかもかなり広いお風呂に。露天風呂です。

「つかささんも入ってくればいいですのに」

 男の子の格好をしているつかささんを誘ったのですが、何故だが断られました。
 うーん。理由が分かりませんね。

「鈴。何だか1人はさびしいんですけど」

「その格好で俺の方を向かないでくれる?!」

「? 皆さんはどうして私に冷たいんですか?! だったら数人貸してください! 女の子を特に!!」

「女キャラ少ないからなー。まぁいいや。一応呼ぼうか。クロエルー。天音ー。天羽ー。銀の相手になってくれないかー?」

 鈴の心配りのおかげで、神様と天使様と一緒に入浴しました。
 ※神様達は基本入浴しませんが、気分です。常時綺麗ですので(ただし鬼は例外)

***** ***** *****〜視点なし〜

 男子風呂。実際を言うと女子風呂の隣にある。これはもうベタな展開だ。
 そう。覗きである。
 興味本位に壁を越えようとする蒼空と睦月。黒影寮をきっての行動派馬鹿2人が壁をよじ登っていた。
 それを見やる残りの黒影寮メンバー+2人。

「妹の裸を見ようとしてる訳?」

 白刃が2人に冷ややかな目を送る。零が風を操りながら「テメェらいい加減にしねぇと殺すぞ」と言っていた。
 だがしかし、彼らは諦めない。振り返り、こう抗議する。

「だって銀ちゃんの裸は見たいじゃないか! 男子高校生の欲求だよ!」

「そうや! それぐらい見ないと男じゃあらへんで!」

「銀ちゃんに嫌われてもいいんなら見ればいいんじゃないの?」

 ズバリ、と鈍感代表・昴が言い放つ。壁から転げ落ちる2人。
 いい事を言う。副寮長。

「でも確かに銀ちゃんはスタイルいいよねー。プールん時はすごい可愛かったー」

「……あー」

 昴の隣で邪魔な髪を高々と結った翔がつぶやく。彼は銀に告白をした事があるからだ、プールで。
 それを察し、というか白刃から真実を告げられた空華は、唐突に顔をしかめた。
 彼も銀が好きだが、本人からは冷たい言葉をもらう一方だ。文化祭の時は思い切ってあんな行動をしたが、結局は効果なしだったようだし。
 空華はため息をついて、湯を顔にかけた。

「空華。どうした?」

「んー? 怜悟、どうしたよ。一体?」

 怜悟はキョトンとした様子で空華に訊く。

「何か、空華らしくない」

「俺様らしいってどうなの」

「いつも飄々とした雰囲気。空気っぽい」

 そんなイメージか、と空華は自嘲する。そして空を見上げた。
 夜だからか、空は真っ暗である。だが田舎である為、漆黒の空には星が浮かんでいた。
 と、その時。


「きゃぁぁぁぁっぁぁぁあああああああああああ!!」


 女子風呂の方から悲鳴が聞こえた。
 それに素早く反応した全員は、湯船から勢いよく立ち上がる。そして自分の力をもってして、女子風呂と男子風呂の壁を飛び越えた。
 大量の上がる湯気に浮かび上がった少女の姿。タオルを体に巻きつけて、呆然と前方を見やる銀の姿が目に入る。

「銀ちゃん! 大丈夫?!」

「く、空華さん。皆さんも……!」

 どこか怯えたような目で見てくる銀。傍には天羽、天音、クロエルが立っている。

「こりゃ厄介だね。私も水で応戦したんだが、どうやら効かないようだよ」

 クロエルが舌打ちをする。これは本格的に自分達の主である鈴を呼んだ方がいいのか。
 何事かと思い、全員は銀が見ていた方へ視線を投げる。
 壊れた壁。そこから見えたのは1人の人影である。湯気の向こうに見える髪は赤い。フードをかぶっている為、表情は見えないが——自分達はこいつを知っている。

「羅ちゃん?! 何してるの?!」

「みんなだけずるい! 何であたしも中国に連れて行ってくれないの?! だからストーカーしてきちゃったよ!! 銀ちゃん会いたかったー!!」

「嫌あぁぁぁぁ! 羅さん、抱きつかないでください!!」

 羅が突如として銀に抱きつく。その反動で、銀の体に巻きつけていたタオルがはらりと床に落ちた。
 あらわになる銀の裸体。それはまさしく幻想的で美しくて——。
 見る間に顔を赤らめる銀は、キッと目を吊り上げて手鏡に向かって叫んだ。

「鈴! 黒影寮の奴らを全員殺してください! あとキャス君を呼んでください!」

「ちょ、銀ちゃん! 不可抗力! 不可抗力だってぇ!」

「そうだぞ銀! 考え直せ! 俺らはテメェが叫び声を上げたから——!」

「言い訳は聞きたくありません!!」

 鏡の中から大量の修羅神仏が召喚される。鈴の力によってだろうか。
 そして羅に至っては、

「羅ゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウ! 会いたかったァァァァァァァアア!!」

「ぎゃぁぁぁぁああ! 来るなお前ぇぇぇぇぇぇぇぇえ!」

 女装少年、羅に抱きつかれていた。ついでに湯に落ちていた。
 黒影寮の奴らはというと、さすがに裸で夜空にぶっ飛ばすのはよくないという銀の命令により、湯に沈める事を決行した。
 ちなみに言う。やったのは日暮と日出。ついでに琳と美羽。


 一方、つかさは。

「何か中が騒がしいなぁ」

 ぽつりと1人つぶやき、脱衣所に入る。そこで見た惨事——銀が泣きながら修羅神仏どもに命令を出し、仲間は湯船に沈められ、その周りを笑顔で囲う翔の姉と母。日暮と日出。羅に至ってはびしょ濡れでキャスと戯れている。
 つかさは首を傾げ、とりあえず一言。

「何、してたの?」

 銀が告げた理由で、つかさはナイフを構えた。