コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。企画・もしも彼らが○○だったら ( No.199 )
- 日時: 2012/02/05 21:42
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第10章 突撃☆隣の国のマフィアさん!!
次の日です。そうです次の日です!
突然現れた羅さんの客間は用意してなかったらしく、琳さんと美羽さんが引き取ってくれました。優しかったです。
そして、何でか分かりませんが——
「…………」
私の周りに、何で黒影寮の人達が寝てるんでしょうかねー?
別の客間を用意されていたはずでは? というか、私は一応乙女なのですが。
「……見間違いでしょうかね?」
「いや、確かに現実だぞ」
鏡の中から鈴の声が聞こえてきました。1人ではやっぱり不安なので、鈴と神様達と一緒にお話をしていたのです。
鈴は鏡の中から周りの状況を見ます。
「うん。お前を襲いに来たんじゃない?」
「縁起でもない事を」
「いやいや、だったら何ですかその手は」
手? と私は自分の手を見やります。
何故だか知りませんが、私の手を握って寝ている翔さんが——あれぇ?
ついでに布団に入りつつある昴さんと空華さんなんですけど。騎士のように寝ているのは怜悟さんだけですね。刀を抱えている時点で何かあったら即抜刀という雰囲気が感じられます。
誰か教えてください。
この悪夢を覚ます方法を。
「トビラ。銀の夢を覚まさせてやってくれ」
「無理」
「だよな。現実だもんな」
「そんな薄情な! トビラさん、あなた夢を操れるのに!!」
手鏡をガンガン揺らします。
その時です。その衝撃で昴さんが起きました。眠たそうに眼をこすっているところを見ますと、何だか子供っぽい印象を与えます。
昴さんはボケーとした様子で壁を眺め、そして私の方へ目を向けました。
「おはよ、銀ちゃん」
チュッという音が頬からしました。昴さんが頬にキスをしたのです。
うな、何を——?!!
「んー。銀、あさぁ?」
「ふぁ……眠い。銀ちゃんおはよー」
「……お兄ちゃん零さんこの人達をどうにかしてください! あと鈴、紫月君を呼んでください!」
「て、テメェ! 朝からあんな奴を呼びだす——!!」
おはようございます。皆さん。
ここまで変態さんだとは思いませんでした。えぇ。
***** ***** *****
ややボロボロになった皆さんと朝ごはんです。メニューはおかゆです。東家ではおかゆを朝に食べるのが常識だとか。
翔さんは不機嫌そうな様子で蓮華を口に運んでいました。
「何ですか、翔。朝から不細工な顔をして」
「うるせぇ。こいつが朝から離れねぇんだよ」
そう言って背中を示す翔さん。べったりと紫月君が張り付いていました。
さすがに食事をする時は邪魔ですよね。
「紫月君。ご飯の時はせめて降りてあげてください」
「えー。銀ちゃんのいけずー」
「あとで一緒に遊びましょうね?」
「うわーい」
紫月君は翔さんの背中から降りますと、私の手鏡の中に帰って行きました。あとで読んであげましょう。
翔さんは大きなため息をつき、肩を回します。
「面倒な奴に取りつかれた」
「でも、あれでも従弟でしょ?」
空華さんが完食したおかゆの椀を円卓に置きました。すぐさま黒いスーツの方が持って行ってしまいました。
翔さんは心底嫌そうな顔をしましたが、頷きます。従弟としては認めているようです。
その隣で昴さんがのんきに笑いました。
「あはは。翔ちゃんは小さい子供とか嫌いだもんねー?」
「うるせぇな」
ベシッと昴さんの後頭部にチョップを入れつつ、翔さんは席を立ち上がります。そして菊牙さんに訊きました。
「あいつら、どこにいる?」
「もう修練場に行っているんじゃないかな? 参加してくれば?」
「あぁ。そうする。体がなまっているかもしれないからな」
翔さんはそう言うと、部屋をあとにしました。
何をするのでしょうか?
私達が首を傾げていますと、大地さんが教えてくれました。
「翔の戦ってるとこ、見たい?」
かなり広い道場みたいなところにやってきました。
ドアを開きますと、数百人を超える男性達が同じ動きをしていました。太極拳というものでしょう。中国では健康法として行われていると言われていますが。
その中に、袖のない黒い中国服を着た翔さんが立っていました。右足を高々と上げ、そのポーズをキープしています。ふらふらしたりなどしていません。
「これから始まるよ。乱取り」
「柔道とかの?」
「違うよー。東家ではね、乱取りっていうのは自分以外の敵と戦う事を指すの」
ほら、と大地さんは翔さんを指します。
翔さんは襲いかかってきた自分よりも数倍の身長がある男性のあごに蹴りを叩きこみました。あれは痛いです。
続いて、まとめて襲いかかってきた男性達に飛び回し蹴り。そして掌底などを食らわせます。
あっという間に男性達は床に沈められました。
強い、強すぎます翔さん!!
「ん? 何だ。いたのか」
「翔ちゃん、相変わらず八極拳はすごいねー。鮮やかな手さばきです事」
昴さんは笑顔で賞賛します。翔さんはまんざらでもなさそうな顔をしました。褒められるのは素直に嬉しいようです。
そこへ、羅さんが。
「勝負しろ、イケメン死神ィィィィィイイ!!」
「赤ビッチ……。銀は諦めろよ」
「嫌だ! 銀ちゃんも鈴様もどちらもあたしのものだ!」
「そんな覚えはありませんけどね!!」
羅さんが翔さんに喧嘩を売っていました。