コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。大ヒット御礼、劇場版展開! ( No.238 )
- 日時: 2012/02/22 21:49
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
- 参照: バレンタイン? 何それおいしいの?
明日に向けて。
受験生の皆さん、こんばんは。山下愁です。
突然ですが、私も去年の今は受験シーズン真っただ中でパソコンなんか全然できなった訳ですが。こうして高校も無事に合格したのでこうしてバンバン更新しまくってますww
と言う事はさておいて。
明日は都立高校一般入試ですので。先輩より(偉そうな事を言ってすみません)プレゼントをしようと思います。
まぁ気休め程度に見てやってください。
ちなみに言います。出ているのは銀ちゃんと鈴君と翔君と空華君です。↓
〜銀の桜咲け〜
「あれ、まだ勉強してたのですか」
綺麗な銀髪が俺の視界の端に映る。皇中学高等学校に通う神威銀先輩だ。
神威銀先輩は、高等部の1年生にいる女性で、学校ではマザーっていうあだ名で呼ばれている。今は黒影寮の管理人をしてるとか。
そんな先輩が、何で俺の前にいるのだろう?
「勉強しすぎると体に毒ですよ」
「でも、テストに合格しないと高等部に上がれないし……」
そうなのだ。皇中学高等学校は、テストをしないと高等部に上がる事はできない。
俺はそのテストが危ういから、勉強をしているのだ。
「大丈夫です。ちゃんと休憩は取ってますから!」
「そうですか? ならいいんですけど……。フフ、私にも後輩ができるなると少し嬉しい気分です」
神威先輩はニコニコとした笑顔を俺に向けた。それだけで癒される。
すると、先輩の手が俺のノートの上に突き出された。
その手に握られていたのは、桜のお守りだった。おそらく手作りだろう。
「あなたに、桜が咲くように。健闘を祈ります!」
そう言って、神威銀先輩は行ってしまった。
何だか、頑張れるような気がした。
〜鈴の桜咲け〜
「んー。お前、何やってんの?」
ノートを覗きこまれ、私は慌てて隠す。いや、別にやましいものなんて書いてないけど!
透き通るような銀髪。神威鈴さんだ。コーヒーを片手に首を傾げている。
「と、図書館は飲食禁止ですけど……」
「知ってるよ? あ、お前受験生だっけ? どこの高校受けるの?」
私は目指している難関校の名を教える。
鈴さんは呆けたような表情を浮かべ、
「それでもう勉強してたのか。感心だね」
「あ、いえ……。これぐらいしなきゃ受からないから……」
「でも偉いよ。夢があるんでしょ、そんなランクの高い高校を受けるなんて」
鈴さんはニッコリとした笑顔を浮かべている。腰に差した緋色の扇が揺れた。
鈴さんが通っている高校は、梓中学高等学校。中高一貫の私立校で、鈴さんは説く体制で言ってるって言ってたような気がする。舞の名手だと聞いた。
だから緋色の扇を持ってるのかな。
「……舞、踊れるんですよね」
「元気づけてあげようか?」
「結構です! わ、私は勉強がありますので!」
大慌てで断り、ノートにシャーペンを走らせる。
は、早くどこかに行け……! ドキドキがおさまらない!
「ねぇ。こっち向いて」
鈴さんが声をかけてきて、思わず視線を向けてしまう。
そこにいたのは、緋色の扇を広げた鈴さんだった。鮮やかな赤い扇は、シャリンと音を立てる。
「神様に言っておいてあげる。君に桜の花が咲きますようにって!」
そう言って、鈴さんはニッコリと笑って。くるりと1回転した。
〜翔の桜咲け〜
何だか見られているような気がする。
私はふと視線を上げて、辺りを見回した。誰もいない。どうしてだろう。
すると、声が降ってきた。
「問5。答えが違う」
「ふぇ?!」
いきなり添削され、私は驚く。見ればそこには、髪の長い男の人が立っていた。
あ、知ってる。東翔さんだ。英学園に通う、めちゃくちゃ頭のいい人。間近で見ると——何だか、かわいい。
「分からないのか?」
「え、え?」
翔さんは私が間違えた英語の問題を指す。え、嘘。あってると思ったのに。
「ここの問題はメアリーが何を聞いたのかっていう問題だから、メアリーが言っている台詞を目で追っていけば分かる——って、英語が苦手なのか?」
「う、うぅ……。実は」
どうしよう。これじゃあ高校に受かるかどうかも心配だよ。絶対笑われる。
だけど、翔さんは何故だか知らないけど、ため息をついた。もしかしてできなさすぎて呆れられた?
「……ほら。他にも分からないところがあるのか?」
「え、あの」
「頭いいからって見捨てるとでも思ったのか? 前々から見てるんだよ、テメェは。一生懸命志望校に向けて勉強している姿」
み、見られていたんだ……。って、えぇぇ?!
「分からないところがないなら俺は行くぞ。今日は本を返しに来ただけだからな」
「あ、あの! ありがとうございました!」
去りゆく背中に、私は頭を下げる。
翔さんは可愛らしい顔にあどけない少年の笑顔を浮かべると、こう言ってきた。
「テメェに桜が咲くように。祈ってるぜ」
〜空華の桜咲け〜
「ねぇねぇ、もしかしてさ数学苦手なの?」
苦手な数学の問題を取りかかっている最中に声をかけられた。
誰だろうと思って顔を上げると、眼帯の人が私のノートを覗きこんでいた。エメラルドグリーン色の瞳が印象的だ。
王良空華さんだ。英学園に通う。
「……ハイ。苦手で」
「そりゃそうだよね。数学は誰でも苦手になるもんね。難しいもん。証明とか分からないでしょ」
「ハイ。そうなんです!」
何だろう、心を見透かされているような。
すると、空華さんは私が解いていた問題の冊子をひったくると、それを眺める。
「んー。やっぱ証明は難しい問題だね。基礎の——教科書に書いてある奴を確かめて、どうしてこうなるのかを理解する為に答えも見た方がいい」
「そ、そうですか」
「俺様もそうした」
ほい、と空華さんは私に問題の冊子を返す。私は何かが挟まっているのに気づいた。
それは小さな手紙だった。本当に小さな、綺麗に折りたたまれたノートの切れ端。
気づくと、いつの間にか空華さんはいなくなっていた。
私は小さな手紙の封を切る。内容はこうだった。
『君に桜が咲きますように! 志望校に合格する事を祈ってるよ』
何だか、苦手な数学も今は解けるような気がした。
私は空華さんに言われた通り、教科書に基礎的な問題に取り組む事にした。