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Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。大ヒット御礼、劇場版展開! ( No.249 )
日時: 2012/03/04 21:37
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
参照: テスト爆発しろ!

劇場版 第9章


 と言う訳で、未来の翔に婚約パーティーに参加するよう頼んでみた。

「ハァ? パーティーに参加しろだぁ? ふざけんな、誰があんなパーティーに出るか!」

 全力で断られた。
 だがしかし、こちらにも意地がある。未来の翔を説得するべく、過去の翔が立ち上がった。

「どうしても参加しないのか」

「しねぇ」

 頑として参加しないと言い張る未来の翔。そしてお茶をすすって——ふと、翔の事を見上げた。
 幸いにも、未来の翔と翔の容姿は似ている————。

「だったら、テメェが参加しろよ。容姿が似てるんだし、ばれないと思うぜ?」

「ハァ? どうして俺が参加しなきゃいけねぇんだよ?! あれ、でも俺が参加すれば万々歳?」

 ここ最近頭を使っていないせいか、回転が鈍っている東さん。
 その時、ブロロロロロロロと音がした。境内の方だ。

「あーずまーさーん。いい加減参加してもらわないと困るんですけどー」

 優奈が今度はバイクで来たのだ。
 全員で窓の外を唖然とした様子で見ていると、未来の翔が翔の事を蹴りだす。ついでに黒影寮とメイドと執事とルーキーも。
 優奈は不思議そうな表情を浮かべ、首を傾げた。

「どうして蹴りだされたの?」

「あぁ、いや。住人に、な」

 翔は苦笑いでごまかす。本当に役をやれって言うのか、お前。
 だが仕方がない。ここまで来て参加するチャンスを失う訳にもいかない。翔は立ち上がって優奈に言った。

「婚約パーティーに参加する。だから案内しろ」

「そうこなくっちゃー。メリアスさんも喜ぶぞ。あ、後ろの人達も付添って事ならいいと思うよ」

 やや上機嫌になりつつある優奈は、城の方へバイクを飛ばした。

***** ***** *****

「……ホテルみたいだな」

 ぼそりと怜悟がつぶやく。彼らは今、赤いじゅうたんの廊下を歩かされていた。
 ここはクイーンズ・オブ・キャッスルの最上階。でかいホールへとつながる1本の廊下である。先頭を歩くのは、もちろん特務警備隊で慣れている優奈だ。

「や、やーさん」

 優羽が優奈の背中へ語りかける。

「ん? どうした優羽。別に能力は使ってもおkだよ?」

「そうじゃなくて……どうしてルーキーのところに戻ってこないの」

「まだやる事があるからね。さぁ、ここだよ会場は。ゆっくりして行ってね!」

 バンッと大きなドアを開けた先には、色とりどりのドレスに身を包んだアンドロイドと人間。ワインを片手に会話している男性女性。そしてオーケストラを奏でているロボット。
 料理は様々なものまで並んでいる。さすが婚約パーティー。女王のパーティーだけある。

「ふわぁぁぁ! すげぇぇ!」

 蒼空は目をきらきら輝かせて叫んだ。
 すると、何やら奥の方が騒がしい。そちらの方へ自然と目が向けられる。

「ど、どうしましょう。女王のケーキがまだ!」

「お、落ち着け! こういう時はとりあえず魔法使いを」

「いや、あなたが落ち着いてくださいよ支配人!」

 どうやら話の内容を聞く限り、ケーキを落としてぐしゃぐしゃにしてしまったらしい。これは困ったものだ。
 まだ女王——銀の姿は現れていないが、どうするのだろう。
 そこで、瀬野翔が彼らに声をかけた。

「あの僭越ながらよろしいですか?」

「おや、あなたはお客人の——」

「瀬野翔と申します。そのケーキ、私がお作りいたします。厨房へ案内してください。必ずや女王様のお気に召す最高のものを作らせてもらいましょう」

 笑顔でそう告げる完璧メイド・瀬野翔。支配人達は瀬野翔を厨房へと連れて行った。
 その姿を見ていた3軍勢は——。

「瀬野さんってさ、何者なんだろうね?」

 昴がそこの使用人にもらったパイナップルジュース(3000年世界にもあるらしい)を飲みながら、翔に訊く。

「あの人は何でも完璧のこなしますからね。もちろん、体術も棒術も完璧ですよ」

 燐はワインを片手でくるくると回しながら言った。あれ……あなた、未成年じゃないでしたっけ?

「残念ながら、僕は成人しました」

 さいですか。
 白刃も零と共にワインを飲みながら、首を傾げる。

「でも綺麗な人だよね。美人で性格もよし、まさに完璧じゃない。完璧メイドさんじゃない」

「ハァ。でもですね、ご主人さまと付き合っているのですよ」

 ……。みんなの動きが止まった。
 燐がワイングラスに口をつけたところで、みんなが燐にストップをかける。

「なぁ、今何て言った? ご主人さまって優亜ちゃんの事だよね。優亜ちゃんって女の子だよね?!」

「ハイそうですが」

「まさか——羅ちゃんと同じn「な訳ねぇだろあたしの心は鈴様のものじゃー! でも銀ちゃんも好き!」

 羅に物質分解されたグラスを大量に落とされる空華。その横では鈴が顔を真っ赤にして、「恥ずかしい事を言うなよ」と言っていた。
 すると、オーケストラの合奏が鳴り終わる。

「さぁ、これより女王と友人の優亜様のご登場です!!」

 アナウンスが流れ、反対側にある大きなドアが開かれる。
 そこから現れたのは、ピンク色のドレスに身を包んだ優亜と、白いドレスに身を包んだ銀の姿だった。