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Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。大ヒット御礼、劇場版展開! ( No.253 )
日時: 2012/03/05 21:51
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
参照: テスト爆発しろ!

劇場版 第11章


 落ちて行った先にあったのは、水だった。

「クロエル————ッ!!」

 鈴は即座に水を操る天使、クロエルを召喚した。
 面倒くさそうに自前の白い髪を掻きまわすクロエルは、主の鈴に問いかける。

「で、私を呼び出した理由は一体何?」

「今まさにこの状況をどうにかしてくれ死んじまう!」

 死んでしまったらお前ら召喚できねぇ——とドップラー現象を残して、鈴は落ちていく。まとめてみんなも。
 クロエルは再び白い髪を掻くと、パチンと指を弾いた。
 水がゆらりと浮かび上がり、全員をクッションのように包んだ——が。

「あ、数人落ちた。ごめん」

「ごめんで済むかぁぁぁ?!」

 翔は昴に命令し、拾って来させた。3秒で戻ってきた。
 クロエルをひっこめた鈴は、今度は日出を呼び出す。

「この水を凍らせてくれ」

「別にいいけど、ここはトンネルの中だぜ? ホールみたいなところがあるんじゃねぇの? 話聞いてた?」

 日出の話を聞いて、全員は顔を見合わせる。
 優奈の話を思い出した。

『下に行ったら1部水が通っているトンネルがあんのよ。どんな技術を使ったのか分からないけど、水が浮いているんだって。結構深いから蒼空君の重力操作でみんな落ちて行ってね。そこ越えればホールがあるから、潜水艦に乗ってよ』

 ハッとした。

「蒼空、重力操作」

「体が冷たすぎて頭が回らない……」

 某顔があんパンでできているヒーローみたいな事を言い出した蒼空。仕方がないのでここは睦月の瞬間移動で全員移動する事に。
 日出は、誰もいなくなった虚空に問いかけた。

「帰っていいか?」

***** ***** *****

 スタタタッと音がして、瞬間移動される。中は広く白いホールになっていた。1部には水があり、そこから出入りすることが可能になっている。

「ここは一体どのへんだ?」

 濡れたTシャツを絞りながら、リオンが全員に訊いた。帰ってきた答えは「さぁ?」だった。
 ただ1人、未来の翔を除いては。

「ここはおそらく現代で言ったら池袋辺りか。有名な60階建てもあるビルが埋まるぐらいだ、相当深いだろう」

「じゃああの、634で有名なタワーも?」

「完全に埋まっているぞ」

 平然と返すな、それを。
 直人はひょこひょこと潜水艦に近づくと、首を傾げた。何やら薄っぺらいと言うか安っぽいと言うか。
 その隣に翼が並ぶ。

「ワシが見てこようか?」

「いや、潜水艦に乗って行った方がいいだろ。優羽さんはいる?」

「ハイここに」

 壁から優羽が出現した。お前、幽霊だから平気なのか。
 優羽は怪訝そうに眉をひそめ、外の様子を説明する。

「水は澄んだ青い色をしているけど、魚が1匹もいない。どうしてだろう?」

「さぁな。生態系により、魚は滅んだか」

 翔は死神ルックになり、水の中に赤い鎌を突っ込んだ。そしていつもの技を水の中に叩きこむ。

「地獄業火、獄炎乱舞!」

 ボンッと音がした。水が蒸発するかと思われたが、案外しなかった。
 翔はチッと舌打ちすると、鎌を抜く。

「ダメだったか」

「ダメだったかじゃないよ。何でむやみに獄炎乱舞なんかを水の中に叩きこむの? 馬鹿なの?」

「地獄の業火は水をも蒸発させる。その考えは悪くない。だが、もうすでに水の星と化している現在の地球では炎の死神は無意味だ」

 未来の翔も同じように鎌を突っ込むと、翔を見やった。

「いいか? 同じタイミングでやれよ」

「あぁ」

「「地獄業火、獄炎乱舞!!」」

 ボンボンッと爆発音がした。ここら辺の水が蒸発した。
 ——蒸発、した?

「相乗効果だ」

「こいつら何者なの?!」

 翔汰はダブル翔を指差して叫んだ。いや、まぁ一瞬で地球を火の海にできるぐらいの死神だから、これぐらい当たり前なのか。
 ちなみにもうこの状況に慣れた黒影寮は、さっさと地上へ降り立っていた。
 水はなくなっていはいるが、また生まれるかもしれない。早く戻らないとやばい。

「俺様と昴で一応見てくるから、鈴は神様をフル活動させて。怜悟も幽霊をフル使用しておいて。蓮は一緒に来れる?」

「あぁ、行こう」

 蓮も空華と昴の間に交わった。ついでに翔と未来の翔も。
 残りのメンバーはどうするか話し合った結果、瀬野翔と崎守翔汰と水無月彩佳が同行する事になった。他はお留守番。

「では、お気をつけて」

「全員頼んだぞ」

 通信機能を持ったトランシーバーを装備し、地上へ降り立った空華達。