コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。大ヒット御礼、劇場版展開! ( No.254 )
- 日時: 2012/03/06 21:31
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
- 参照: 今度の規格は何にしようか考え中。
劇場版 第12章
ビルばかりが建つ、旧・東京の池袋。
空華達は有名なサンシャイン通りをてくてく歩いていた。別にこれと言って何かが見つかる訳でもない。
「俺様達の世界に池袋なんてなかったよね」
「なかった。1番のレジャー施設が神宮寺町だからね。もしかしたら異次元かもしれない」
来た道を見失わないように、昴は後ろを向きながら歩く。
蓮は狼に変化し、ビルの屋上と言う屋上を駆け回っていた。そして止まっては辺りを見回し、「何もない」と知らせるように遠吠えをする。
「瀬野さん、そっちはどうだ?」
「ダメですね。人影すらも見当たりません。この街にはいらっしゃらないのでは?」
メイド服をひらひら舞わせながら、瀬野翔は街を駆け回る。その後ろでは水無月彩佳がきょろきょろとしながら水色の銃を構えていた。
「おかしいですねー。人が1人もいないってどういう事ですかね」
「洪水でほとんどの奴らが死んだんだ。無理はない」
蓮は狼から姿を一転させ、普通の人に戻る。肩をぐるぐると回し、首を横に振った。
「こっちも何もない。人のにおいも感じられない」
「人物を追跡する術でも組み上げた方がいいのかな。それだったら、1度戻った方が得策だよな……」
空華はぼさぼさの黒い髪をさらにぼさぼさにして考える。
昴は地を蹴り、空へと舞う。空中を踏みつけて辺りをぐるりと見回して、そして集中する為なのか目を閉じた。
「何をしているのでしょうかね」
「さぁ?」
崎守翔汰は、あれに雷龍を撃ちこんだらどうなるだろうと考えていた。きっと跳ね返されるか周りの仲間に攻撃されるだろう。
昴はスッと瞳を開けると、
「音も何もない。死んでいるのかな、この世界は」
と、厨2病めいた台詞を吐いて降りてきた。習得なし。
その時だった。
「見つけましたですよ黒影寮————————ッッッッ!!!」
金色の影が突然彼らに降ってくる。
瀬野翔が素早く察知し、鎌を瞬時で組み立てると、降ってきた金色の影に突きつけた。金色の影は瀬野翔の攻撃を防ぐ。ギィンッという鋭い音が聞こえてきた。
ごろごろと床を転がったのは、なんとリネ・クラサ・アイリスだった。
「リネ?!」
「見つけました黒影寮……。私をこんなところに放り込んで、ただで済むと思っているのですか?! そこのメイド、あなた黒影寮の寮長に似ています。双子の姉か妹でもいたのですか?」
リネは鎌を突きつけてくる瀬野翔へ問いかける。
瀬野翔はニッコリとした笑みを浮かべると、さらりと。
「残念だが、俺は男だ」
————————ハァ?
「瀬野さん……、男?」
「ハイ。男ですよ? メイドの格好をしているのは、主が男嫌いゆえです。私は別に女が嫌いなわけではありませんよ。だからこういう格好をしているのです、男というプライドを捨て去り」
この局面で新事実が発覚し、瀬野翔を除く全員が立ち尽くす。
瀬野翔は鎌を突きつけたまま、リネに問いかけた。
「この辺りで神威涙という奴を探している。容姿的にはおそらく、神威銀と同じような姿だ。知らないか」
「知りません。それよりもその椎名昴と王良空華と篠崎蓮をお渡しください。『リヴァイアサン』の時間外労働は嫌なのです。無駄が嫌いですので」
空中から剣を生み出すと、リネは瀬野翔に襲いかかった。
だが、能力なしで強い瀬野翔。リネの剣を弾き返し、柄をうまく使ってリネを地面に叩き落とした。
体勢を立て直そうとするリネの首筋に、鎌の刃が押し当てられる。
「だったら知っている情報を吐いてもらうまでだ。お前はどこから来た?」
「……上からです。新・東京というところでしょうか。時間外労働は好きじゃないので少し暴れたら国外追放になりました。しばらくこの街を歩いていた訳ですが」
「歩いていた? そんな事が可能なのか」
「どうせ、この街を見立てた街を別の空間に作ったんだろ。自分のフィールドに」
空華が横から口をはさむ。リネはむっとした様子だった。
「じゃあ神威涙は知らないか」
「ハイ。そんな女は知りません。神威銀に似たような人だったら速攻狩っていますから」
物騒な事を言うロリッ娘だった。
瀬野翔は鎌を離し、肩に担ぐ。リネは立ち上がって、ポンと手を打った。
「そう言えば、こういう人がいるとは聞いた事がありますね」
「誰だ?」
「そこの眼帯忍びの子孫ですよ。えーと名前は……王良閃華だったと思いますけど?」
それを聞いた全員は、リネ・クラサ・アイリスを拉致る事を決定した。