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- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。大ヒット御礼、劇場版展開! ( No.272 )
- 日時: 2012/03/15 21:46
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode
劇場版 エピローグ
八雲優奈は光があふれる自室で目を覚ました。
ベッドに寝ている。床に倒れた感覚があったのだが、誰かが運んでくれたのだろうか。
と、そこへ。ガチャリとドアが開く。
「うーい、おはよう。目が覚めたか」
「優羽」
ぼりぼりと同じ銀髪を掻く優羽は寝ぼけ眼で歩いてくる。
「ねぇ、何かすごい夢を見ていた気がするんだけど……あれって『2の2くえすと』?」
「さぁね。俺には分からないよ。本を見て見たら?」
優羽の指示通り、優奈は本を開く。
白紙のページには文字が書かれていた。
***** ***** *****
相崎優亜はふと目を開けた。机に突っ伏して寝ていたらしい。
優亜は欠伸をして大きく伸びをする。
すると、ドアがノックされた。「どうぞ」と声をかける。
「失礼いたします。優亜様、お茶のご用意ができました」
「ありがとう、翔」
からからとティーセットが乗ったワゴンを押してくる翔。そしてふと、優亜の手に手紙が握られている事に気づいた。
「そう言えば、未来の世界で優亜様はお姫様になっていましたね」
「そうね……。結婚しなくてよかったわ」
ふぅ、とため息をついて優亜は紅茶の入ったティーカップを口につける。
それを見た翔は、少し小悪魔な笑顔を浮かべて。
「もしよろしければ、プロポーズでもしましょうか?」
「ぐっ?! げほげほっ! な、何を言い出すのいきなり?!」
「いや。このまま優亜を取られるのはすごい癪に障るし、ならいっそプロポーズでもした方がいいのかなと」
「何その天然?! 恥ずかしいから止めて、あと翔は17歳でしょ17歳!」
日本の法律では男子は18歳からですよーっ! と叫ぶ優亜。
翔はくすくすと笑いながら「冗談だよ」と言う。少し残念。
そこへ、燐が。
「リア充はくたばってください!」
「何をいきなり銃を突きつけて——!」
「付き合うのはまだ許容範囲ですが、結婚されたら優亜様が奪えなくなるでしょう?!」
「奪う気なのかテメェ!」
「何を言っているのです。僕は優亜様を諦めてませんよ!」
「よし言ったなこの野郎! 勝った方が優亜と結婚できるって事で!」
「望むところですよ!」
自分が承認していないのに勝手に結婚を賭けた勝負を始めるメイドと執事。
優亜は小さなため息をついて、紅茶をもう1口飲んだ。
***** ***** *****
神威銀は黒影寮の食堂で目覚めた。彼女もまた机に突っ伏して寝ていたらしい。
ゴキゴキと鳴る背骨をそらし、時計を見やる。
午後4時。買い物に行かなくては。
「今日のお夕飯は何にしましょうか……」
刹那、遠くから悲鳴が響く。
何だと思った銀は、顔をそちらの方へ向けた。全員の部屋があるところからだ。
「皆さん、どうしましたか?」
「うわぁぁぁぁあん! 銀ちゃんこれ何ー?!」
蒼空がどたばたと走りこんできて、銀に泣きついた。その格好はウエディングドレス姿。
銀はそのドレスに見覚えがあった。
未来で結婚する時に着ていた、エンパイアドレスである。裾が長い奴。
「……あの、蒼空さん? 女性じゃないとそれは着れませんよ?」
「起きたらこんなの着てたの! 絶対睦月が着せたんだ、許せない!」
「でも似合ってますよ?」
「え、えへへ。そう?」
「否定はしないのですね」
素直にほめたら素直に喜んだ蒼空。
それをげらげら笑いながら、全員が部屋から出てきた。特に睦月と悠紀なんかは涙目である。
「あはははは……やば。死ぬ……」
バンバンと壁を叩いて今もなお笑い続ける睦月。
「……蒼空。哀れだな」
「哀れって言うなよ?!」
「あーもう! 皆さん、お買い物に付き合ってくださいよ。蒼空さん、そのドレスはキャス君に言って未来に戻してきてもらいますから。脱いでください」
「え、無理」
「じゃあ鈴になりますから。それで脱がせますね? いいですね?」
「嘘、銀ちゃんに脱がせてもらえるの?!」
「残念だけど銀の姿を借りた俺ね。さっさと脱げ、貴様の裸なぞ見ても興奮せんわ」
「うわー嫌だよ銀ちゃんに脱がせてもらいたかったー!」
今日も黒影寮はお祭り騒ぎ。
3軍勢とも別の世界へ帰って行った。
だけど、同じ時間に同じ言葉を同じタイミングでつぶやいた。
「「「「「ま、楽しかったしいいかー」」」」」
END