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Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。ただいま祭り開催! ( No.274 )
日時: 2012/03/16 18:05
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode

山下愁「第11章をやる前にシンデレラを黒影寮でやったらどうなるのか面白そうだったので、やってみようと思います。

それでは見てやってください。黒影寮メンツで『シンデレラ』です。
あ、キャストですね。はい分かりました。キャストキャスト……。

シンデレラ→神威銀——じゃダメ? 仕方ないな。じゃあこうすればいいね。

シンデレラ→神威鈴
意地悪な継母→神威銀
姉1→轟白亜
姉2→国枝つかさ
カボチャの馬車のおばあさん→東翔&椎名昴
王子様→高梨羅
そこら辺のわき役→神様達

これで文句ある奴は出て来い。だったら始めてやる!」


 〜シンデレラ〜


 昔々、あるところにシンデレラという大変綺麗で美しく、そして優しい女の子が——

「シンデレラー、ここの掃除やってくださいませんか?」

「ごめんちょっと今手が放せない」(←テレビ見ている)

 ……大変だらけている男の人がいた。
 彼の名前はシンデレラ。灰かぶり応じでシンデレラ。

「ちょっとシンデレラ?! 何をテレビ見ているのですか! 早く働きなさい!」

「痛?! ちょ、殴らないでしかもそれ緋扇! 緋扇だから!」

 シンデレラは継母に毎日いじめられていた。
 それを愉快そうに見る2人の姉。

「シンデレラ。何をさぼっているッスか。さっさと起きるッス」

 やけに体育会系な口調で言う1番上の姉。

「シンデレラさん。お菓子のくずを落としたら片付けてくださいよ?」

 そしてやけに大人しめな口調の2番目の姉。
 シンデレラは適当に返事をすると、寝ていたソファから身を起こし掃除をこなす。主にソファの周りに落としたお菓子のくず。それらを完璧にやり終えると、シンデレラはソファに寝直した。

「シンデレラー、お茶が入りましたよ? いりますか?」

「あ、いるいる。悪いね、母さん」

「いえいえ。シンデレラが買ってきた紅茶ですよ? 紅茶屋の前に座り込んでどれがいいか吟味していたって及川さんが言っていましたよ」

(あんのクソパジャマ。今度会ったらただじゃおかねぇ母さんにこんな事をばらしやがって)

 継母が淹れた紅茶をすすりつつ、シンデレラは心に誓うのだった。
 一方、及川さん(紅茶屋の主人・ニート)は、

「ぶぇっくし! あー、誰かが俺の噂をしているのか?」

「多分気のせいですよ」

 紅茶屋を主に経営している天音がニコニコ笑顔で言った。そして子供達である(?)天谷、天羽、天地に紅茶を仕入れてくるように頼んでいた。

***** ***** *****

 ある時、シンデレラの家にお城の招待状が届いた。
 チケットは3枚しか入っていなく、家に誰かが残る事になるのだが——

「あ、俺が残る」

 迷わずシンデレラが残る事を選択した。
 3人(特に継母)は申し訳なさそうに謝りつつ、舞踏会の準備をする。

「母さん、私のドレスってどこスか?」

「ほいさ。ここにあるぜ、白亜姉さん」

「髪の毛が上手く決まらないのですが、シンデレラ確か手先が器用って言ってましたよね。やってくれますか?」

「任せろ。つかさ姉さん」

「シンデレラー、火の元には十分注意するんですよ。日付が変わる前には帰りますから」

「いってらっしゃーい。楽しんで来てなー」

 シンデレラはめかしこんだ3人が馬車で揺られて行くのを見送った。そして誰もいない広いお屋敷の中に入る。
 とりあえず掃除はしておこうと思い、シンデレラは箒を装備した。
 その時である。

「可哀想に。舞踏会に行けなかったの」

「行けなかったんじゃなくて行かなかったんだよ。訂正しろ」

「だ、誰だ?!」

 シンデレラは虚空に向かって箒を突き出した。
 すると、空間が割れて2人のおばあさ——

「「お兄さん」」

 失礼しました。2人の青年が出てきた。1人は女の子見たいな姿をしていて、黒いコートを着た死神みたいな奴。もう1人は茶色の髪が綺麗な、簡単な布の服を着た奴。
 シンデレラはその2人を見て、首を傾げた。

「……不法侵入者?」

「失礼な。俺は椎名昴。で、こっちは相棒の東翔ね。シンデレラの願いを叶えに来たんだよ」

 自らを椎名昴と名乗った青年は、ニッコリと笑う。東翔と紹介された青年の方は仏頂面だ。
 シンデレラは怪訝そうに眉をひそめた。

「何でも願いを叶えてくれるんですか?」

「そうだな」

「じゃあ今すぐ出て行ってください」

「断る」

 翔がバッサリと切り捨てた。
 お分かりだと思うが、これが本編ならその願いは聞き届けられたかもしれない。だがこれはシンデレラのパロディなのだ。この2人は魔法使いとしてシンデレラの願いを叶えに来たと言うのに。
 遠まわしに『帰れ』が彼の願いか。

「これ銀の方が適役だったんじゃないか?」

「同感」

「シンデレラ本人が役を否定?!」

「あ、お前やれよ。翔。赤ずきんの時は似合っていたぞ?」

「黙れうるせぇ!」

 翔はシンデレラの事を思い切りはたいた。
 やれやれ、と昴は肩をすくめると、

「とにかく、シンデレラは舞踏会に行かなきゃいけない訳。分かる?」

「え、俺別に行きたくない」

「いいから行け。拒否権はない」

 翔と昴は短い魔法のステッキを持つと、同時に振った。きらきらとした粉が舞い、シンデレラを変化させる。
 シンデレラは見事なドレスに着替えていた。

「な、なんじゃこりゃー?!」

「ほらほら。次はカボチャの馬車」

「止めろそれ俺の夕食!」

 だがしかし有無を言わさず翔と昴はカボチャを馬車へと変化させた。
 愕然とした様子でそれを見ているシンデレラ。自分は男だと言うのにドレスを着させられ、挙句夕飯の材料であるカボチャを馬車に変えられてしまった。
 そんなシンデレラに、昴は笑顔でガラスの靴を差し出す。

「さ、これで舞踏会へ行け!」

「絶対に嫌だ。もう及川ンとこ行って晩飯もらってくる。適当に走らせておいて、その馬車」

 ガラスの靴を受け取りそれを履いたシンデレラは、及川さんの家まで歩こうとする。
 だが、翔が問答無用でシンデレラにラリアットをブチかまし、カボチャの馬車に叩きこんだ。壁に頭をぶつけて気絶するシンデレラ。
 カボチャの馬車は舞踏会が始まった王子様の城へと向かって行く。

「……確かに翔がやればシンデレラは遵守されたかもしれないね」

「殺すぞ」

「ごめん」

 気絶したシンデレラを乗せたカボチャの馬車を見送り、2人の魔法使いはつぶやいた。