コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。ただいま祭り開催! ( No.285 )
- 日時: 2012/03/21 21:57
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
- 参照: 山下愁はある意味で変態です。馬鹿です。そして変態です。
第11章 王良家こんぷれっくす!
何やら鈴達が神様総動員で何かをやっていましたが、鈴にものすごい形相で見るなと怒鳴られたので放置していたのですが……。
それにしても、空華さんの家のお風呂もすごいですねぇ。
温泉に来たようです。
「……僕も一緒に来てもいいんだ」
「何を言っているんですか。女の子ですよ、つかささんは」
つかささんはかたくなに『風呂の前で見張る』とか言っていましたが、無理やり引き込みました。
「心が男だとしても、体はいつまでたっても女のままよ。そういうのって——姫、逃げないの」
「きぃお姉ちゃんの頭洗うの嫌ー、目が痛くなるー」
綺華さんの腕から逃げようとする姫華ちゃん。ほほえましい光景です。
日華さんは空を見上げて、つかささんと一緒に「あれが夏の大三角形ですー」とプラネタリウムを楽しんでいました。
「私が洗いましょうか?」
「え、銀さんが? いいわよ、妹だもの」
「大丈夫ですよ。私、結構子供好きなので。やらせてください」
「銀お姉ちゃんに任せるー」
姫華ちゃんは私に抱きついてきました。可愛いです。
綺華さんは渋っていましたが、「じゃあ頼むね」と告げました。
「じゃー、頭洗いましょうか」
「うん! わしゃわしゃーって!」
まだ小学生だからでしょうか、手足をばたつかせます。そう言えば、小学4年生って言ってましたよね。
空華さんのお家って、ご両親とかいないのでしょうか。
この家に、兄弟だけ……?
「昔は空華兄ちゃんとよく入ってたの」
「空華さんとですか?」
「そー! 空華兄ちゃんは優しいんだよ。そんでそんでとっても強いの! 姫が修行の時もねー、頑張れーって応援してくれたんだ! そのあとにご褒美としてハンバーグを作ってもらったんだ!」
「よかったですね」
兄弟思いの空華さんですか、何だか納得できます。
なんやかんやで黒影寮の中でも、1番気がつきますからね。飄々としているようですけど、人をよく見ていますし。女の子を前にするところりとやられちゃうのが玉にきずですけど。
じゃー、とシャワーで姫華ちゃんの髪を流します。
「銀お姉ちゃんも優しいね! 姫、好き!」
「ありがとう。お姉ちゃんも姫華ちゃんが大好きですよ」
人懐っこい子ですね。
姫華ちゃんはシュタッと立ち上がりますと、お風呂の方へ走って行きました。
「何かすみません。うちの妹が」
「いいんですよ。綺華さんは空華さんの事をどう思っているのですか? 姫華ちゃんが『優しくて強い』って言うように」
「え」
私は綺華さんの隣に並びます。
綺華さんは少しだけ悩みますと、
「……尊敬できる兄、かな」
「尊敬できる、ですか?」
「空華兄さんは何でもやっちゃうから。料理だって忍術だって体術だってコミュニケーションだって。何だってできちゃうの。そこが尊敬できる」
にごり湯に沈んで行く綺華さん。
そこへ、兄についての話題を聞いていたのか、日華さんも入ってきました。
「空華兄さんはすごいんですよー。私が術に失敗した時も、どうやったらいいかアドバイスをくれたりしたです。尊敬できる兄です♪」
「そうですか。空華さんはすごいですね」
「すごいね。空華君は」
「そうだね。すごいね」
あっはっはっはっはー、と笑う中で、皆さんが何かに気づきます。
あれー? 今、何か不思議な声が聞こえませんでしたかー?
私の反対隣に並んでいるのは、頭から血を流したおかっぱの女の子————?
「「「「「ひっぎやあぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」」」」」
***** ***** *****〜視点なし〜
ディレッサとソードと紫月とキャスと一緒にUNOをしていた黒影寮男子メンツは、家中に響き渡った悲鳴を聞いて、顔を上げた。
この声は銀とつかさと綺華と日華と姫華のものだ。
「行くぞ、テメェら!」
またこの前みたいに羅が強襲してきたかーっ! と叫んで黒影寮(+神様4人)は風呂へ特攻する。
そこへ、悲鳴を聞いて駆けつけた天華達もやってきた。
「綺華が叫ぶなんて珍しいですね。何かあったのでしょうか?」
「多分、俺様の知り合いがまた強襲してきたんだと思う! 銀ちゃん、つかさ、綺華、日華、姫華! 無事か!」
どんどんと空華は脱衣所を隔てるドアを叩く。
すると、ドアがいきなり開いて、空華に誰かがぶつかってきた。衝撃で後ろに倒れる空華。
濡れた肢体。同じく水気を放つ銀髪。黒曜石のような瞳からは涙がぽろぽろと出ている。
間違いなく銀だった。
「ぎっ……?!」
「お化け嫌です怖いです嫌です怖いですぅぅ……!」
ていうかタオルを巻きつけただけで抱きつかれていると、何かすごくまずいのですが——とはさすがに言えなかった。
お化け? と全員が首を傾げて風呂を見やると、女子メンツは湯船から上がっていて隅っこでガタガタと震えている。白い湯船につかっていたのは、血まみれでおかっぱな女の子だった。
耳元まで裂けた口に笑みを張りつけ、おかっぱな女の子は男子メンツへ目を向ける。
「ねぇ、一緒に来てよ……」
「誰が行くか!!」
本職・死神である翔は瞬時にして死神ルックになると、そのおかっぱな女の子を吹っ飛ばした。一瞬だった。
「ぎ、銀ちゃん。お化けはもう去ったよ、大丈夫だよ」
「本当ですか……?」
「本当だって」
涙目で空華を見上げる銀。
何とか理性で押しとどめた空華は、銀を引き剥がした。
「銀ちゃんさ、タオル1枚で抱きついてくるのはどうかと思うよ?」
「……ほえ?」
カクカクと銀の瞳が下へ移動する。
そう言えば、タオル1枚っていうかこのタオル濡れて自分の体のラインが見えているっていうか……。
銀は無言で立ち上がると、衣服の中から鏡と緋扇を取り出して。
「あ、そこに紫月君がいますね。ちょっと殺っちゃってください♪」
「任せて^^」
「待ってこれは不可抗力——!」
問答無用で紫月は紫電を放つ。
哀れ、助けに来た黒影寮男子メンツは吹っ飛ばされて夜空の星となるのだった。