コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。ただいま祭り開催! ( No.289 )
- 日時: 2012/03/24 21:43
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
- 参照: 山下愁はある意味で変態です。馬鹿です。そして変態です。
第11章 王良家こんぷれっくす!
「よし、花火はやり終わったか? っていうか、翔が帰ってこないんだけど。寝たかな」
空華さんは部屋の中を覗き込みつつ、首を傾げます。
機嫌が悪そうだったので、先に寝てしまったのでしょうか。明日はお菓子でも作った方がよさそうですね。
その時、
「……あの。夜分遅くに失礼します」
闇の中からいきなり人が現れました。
青い髪に瞳。プールで見た夢折梨央さんと同じような人ですが、まさか梨央さんですか?!
「誰だお前」
昴さんが青い人に向かって問いかけました。
「僕は、ノア・ウミザキ……。あ、本名はウミザキノアですが……作者の都合上、面倒くさいので英名でと」
作者さん、せめて人の名前ぐらいは……きちんと変換しましょうよ。
ノアさんと名乗った人は、ぺこりと頭を下げます。
「神威銀さん……僕と一緒に来てくれませんか?」
「断ります」
「……ニッコリ笑顔で言われると、すごい傷つくのですが」
ついて行きたくありません。リヴァイアサンの人達ですね。
その台詞を聞いた黒影寮と王良家の皆さんは、一瞬で私の周りを取り囲みます。
「兄さん、あの人は誰ですか?」
「秘密結社『リヴァイアサン』っていう奴の一員だな。銀ちゃんを狙ってる!」
「じゃあ、さっさと倒した方がよさそうね!」
綺華さんが浴衣だというのに、高々と飛翔しました。煌々と輝く金髪を月夜へさらし、ノアさんへと襲いかかります。
ズドン、という重たい音が庭に響き渡りました。
「……いきなり襲いかかるなんて、怖いですね……」
「銀さんを狙うなら死になさい!」
「そうですね、僕は死んだ方がいいかもしれません。弱いですし」
あれ? 肯定しましたよ?
ノアさんはいじいじと庭に「の」の字を書きまくります。一体何が……。
「僕は早く死んだ方がいいです。そうですよね、ぐすぐす」
「あの、おい綺華! へこませてどうするへこませて!!」
「え、えぇ?」
綺華さんは空華さんの台詞に困惑します。
ノアさんはバコンと何かを開けました。背負っていた黒い箱ですね。中から取り出したのは、銀色に輝くフルートでした。
「僕は、フルート奏者なのです……。どうぞ、魅惑の音色をご堪能あれ」
ノアさんはそう言いますと、フルートを奏で始めました。
綺麗な音です。ですが——少し眠くなり……
「銀、寝るな!」
不意に鈴の声が聞こえたかと思いますと、意識がそこで途切れました。
あぁ、鈴が入れ替わったのですね。では任せましたよ、鈴。
***** ***** *****〜鈴視点〜
と言う訳で神威鈴の登場だぜ。浴衣は動きにくいだろうけど、頑張るよ俺。
緋扇を取り出して、神様達を召喚する。
「『拒絶の堕天使よ、雲を操る鬼よ、幻影を操る鬼よ、傷を操る鬼よ、降臨せよ!』」
日暮・陽花・隠花・現を召喚する。これだけじゃ——不安か?
「うん、やっぱりディレッサも召喚しようかな」
「何だよ! 何で俺を召喚しておいて他の奴も召喚しようとするんだよ!!」
現が俺に噛みついてきた。いや、うるさい。
まぁこれでも大丈夫か。隠花・陽花いるし。日暮はいるし。
「現は心配だけど」
「心配言うな!!」
さっさと戦えって。
召喚した鬼と悪魔を見たノアは、顔をしかめた。
「……鬼と悪魔を召喚するなんて。君は、鈴の方?」
「当たり。でも賞品は出ないから。行け、4人!」
「「「「らじゃー!!」」」」
4人は敬礼すると、ノアへ飛びかかって行った。
「あはははは! リヴァイアサンだからぼこぼこにしてもいいんだよねいいんだよねぇ!」
げらげら笑いながら雲を呼び出す隠花。何か怖い。その隣では陽花が頭を抱えていた。
だが次の瞬間、予想していなかった事が起きる。
ノアの周りを人間どもが囲み始めたのだ。
もちろん、幽霊じゃない。ましてノアは、人を創造する創造主じゃないはずだ。フルートで世界を作れない。
「……お前、演奏者?!」
「当たりです。賞品は出ませんよ?」
さっきと同じ台詞を返したノアは、周りの人間達に命令を出して俺らを襲わせた。
俺は日暮達をいったん退却させ、ヴァルティアを召喚する。
「短時間でいい、俺らを守れ」
「了解した」
ヴァルティアは快諾すると、薄くバリヤーを張る。さすが守りの神様!
くそ、演奏者は面倒だ。人を催眠させるし、何よりその催眠術は強力だ。攻撃しない限りは解けないだろう。
だが、問題なのはここからだ。
相手が能力者ならばまだ攻撃しようもあったが、今回は人間である。攻撃したら死んでしまう。
「天華——だっけ。お前でも無理?」
「残念ながら、演奏者の催眠を解くのは簡単ではありません。日華はどうですか?」
「錬金術で催眠を解くものなんてないですよ。月華もダメですよね。攻撃専門ですから」「うん。炎は?」
「殺してもいいなら」
「ダメダメ」
どうすればいいんだぁぁぁあ!
すると、空華が立ち上がった。何をする気だ?
「演奏者の催眠術に、演奏者の催眠を重ねれば何とかなるんじゃないか?」
「ハァ? お前何を考えてやがる。演奏者って言うのはめったにいないんだぞ。それこそ天性の才能じゃないと。演奏者はまず楽器を操れないといけないし」
「操れる」
空華はいつの間にかヴァイオリンを持っていた。まさか、あれで……?
ヴァルティアに言ってバリヤーを解除させる。
「……君は」
ノアは空華に向けて言葉を放った。
空華は不敵にほほ笑むと、ヴァイオリンの弓を構える。
「王良空華。王良家当主の演奏——ご堪能あれ」