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Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。ただいま祭り開催! ( No.317 )
日時: 2012/04/06 23:08
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

黒影寮ふぇすてぃばる! 梨花様リクエスト


もしも銀ちゃんを怒らせたらどうなるでしょうか?!


「なぁ、銀ちゃんって怒らないよなぁ」

 昴が突然そんな事を言いだした。
 確かに、銀が怒っているところなんて見た事がない。黒影寮の全員は、全員腕組みをして考えた。

「ほら、羅が銀を好きだって言ってた時あったじゃん。あの時は『もー、止めてくださいよ!』ぐらいのレベルだったと思うけど。基本的に全然怒らないじゃん」

「確かにそうだな。でも、あの銀を怒らせるのは至難の業だと思うぞ?」

 翔が昴の台詞に意見を述べる。
 銀を怒らせるのは難しい。だったらどうするべきか。

「ラピスルもめったに怒らないんだよな」

「あの死神ちゃんも?」

 空華が翔に尋ねる。(参照:複雑ファジーの劇場版にて)
 ラピスルは優しい性格なので、基本的に怒らないのだ。そう、怒らせると怖いの典型的パターンである。

「……銀ちゃんって、どうやったら怒るんだろう」

 蒼空が首を傾げた。
 そこで、全員の探索魂に火がついた!
 よし、銀を怒らせてみよう!!

「——つっても、どうやったら怒るかだよな」

「やっぱうるさくするとか?」

 前の学校では散々悪さをやらかしていた蒼空が提案する。それで幾度となく先生に怒られたものだ。
 しかし、空華が首を振って却下をした。

「銀ちゃんだぜ? きっと『うるさいですよ。静かにしましょう』とか笑顔で言ってくる事間違いなしだ」

「あー、だよなぁ」

 じゃあどうする?

「いっその事、銀ちゃんの下着を盗むとか」

「変態に思われてもいいならやりゃいいじゃねぇか」

 空華の意見は却下。

「銀の写真を最大まで引き伸ばして、鼻毛を書く」

「嫌われてもいいならやりゃいいじゃん?」

 悠紀の意見も却下。

「じゃあどうすればいいんですか!」

 つかさが机をバンと叩いた。
 全員はうーんと考えて、

「てか、大体何で銀ちゃんを怒らせようとしたんだっけ?」

「え、見たかったからじゃないの?」

「そうだっけ?」

「目的見失ってんじゃねぇよ! さっさと考えろ!」

「えー、もう面倒くさいよ。翔、1人で頑張れ。僕は原稿してくるわ」

「ハァ?! テメェ、何で1人で俺に任せようとするんだ。昴! 空華! テメェらは残れ!」

「何で? 俺様、宿題やらなきゃー」

「どうして終わってないんだよ、この眼帯忍者!」

「あーっ! 言ったなこの少女容姿死神め!」

 翔と空華の喧嘩が始まる。流れ弾がみんなに当たり、それが大乱闘の引き金を引いた。
 もう食堂はぐちゃぐちゃ。
 戸棚からはカップが落ち、皿が割れ、椅子が壊れ、机が真っ2つになる。
 そこへ、今まで買い物に行っていた銀が帰ってきた。

「ただいまですよー……って、何で喧嘩をしているんですか!」

 銀の声は届いていない様子だった。
 ため息をついた銀は、そこでとあるものが壊れている事に気づく。
 それはマグカップだった。自分が愛用している、ピンク色のマグカップ。これは、銀の兄である白刃が昔にくれたものだった。
 大切に使っていたのに。大切に、使って、いたのに!


「おい、テメェら」


 冷たい声がして、全員の大乱闘がストップする。
 銀の髪がゆらりと上がる。何かをまとったかのように、周りの空気が変わった。手には自分のマグカップの残骸が握られている。

「えーと、銀ちゃん……?」

「直せ」

 銀は空華の前に残骸を突き出した。

「……これを? 俺様が?」

「くだらない喧嘩をしている暇があるなら、さっさと直せ。割れた皿も、椅子も、机も、全部この空間を直せ。さもなくば——」

 緋扇を取り出した銀は、無表情のまま緋扇を振る。
 胸元に下げられた鏡からディレッサと日暮を呼び出した。

「無力化した後に、私に近づけないようにしてやる」

「「「「「ごめんなさい!!」」」」」

 銀ちゃん、怒らせるとマジで怖い。
 そう思った黒影寮でした。