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Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。ただいま祭り開催! ( No.321 )
日時: 2012/04/07 22:17
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第12章 君と僕〜オリジナルと亜種〜


 あぁ、神様。何でこんな運命をあたしに与えてくれたかな。
 あたしが悪かったよ。本当に悪かった。心から謝るから、だから帰してよ白影寮に。
 オリジナルが目の前にいる事が耐えられないんだよぉぉぉおお!

「え、えーと……美鈴です?」

 すみれ→美鈴って何か不自然だな。
 だが、オリジナルである椎名昴はふーんと案外あっさりと頷いた。

「銀ちゃんの友達?」

「ま、まぁそんなとこ?」

「そっか。じゃー、よろしくな。俺は椎名昴」

 知ってるつーの。お前の亜種なんだからよ。
 でも、案外知らないんだな。よし、ならばごまかしが効く。

「おい、昴。そいつは誰だ?」

 げぇ!! 東翔!
 翔子ちゃんのオリジナルがどうしてここに来るんだよ、お前は厄介なんだよぉ!

「翔ちゃん、この子は美鈴ちゃんだって。銀ちゃんの友達だってさ」

「銀の……? そうか」

 名前は言わなかった。まぁ、女が嫌いだからね。
 あたしはオリジナルの事は知らないけど、他の人のオリジナルなら大体分かる。格好よかったし、少し興味あった。
 あー、もう何で帰してくれないの? ルテオ君、あとでしばく。


「……?! な、何だろう、さっきの」

「どうしたルテオー」

「い、いや……何か寒気がした」


 オリジナルはあたしの事をじろじろと見る。何だよ。

「お前ってさ、俺に似てるよな!」

 当たり前だろ、お前の亜種なんだからよぉ!

「勘違いと思うよ?」

「あはは。案外毒舌だね♪」

 お前に限ってはな。
 ……ねぇ、まだ帰してくれないの。お願いだよ、何でもするから。世界を崩壊させたっていいから。
 もういっそ「死ね」って言ってるのか。神様。

「あ、いました!」

 そこへ、銀が駆け寄ってきた。助かった。
 1秒も早くオリジナルの傍から離れたい!

「えーと、名前を訊き忘れていました。私は神威銀です」

「美鈴よ。ごめんね、さっきそこで会ったのに」

「いえ。大丈夫ですよ」

「あれ? お友達じゃなかったの?」

 オリジナルうぜぇ。
 銀は首を傾げる。だろうね、あたしの嘘だし。

「さっきそこで知り合ったの! あたし、友達がいないから心の優しい銀が友達になってくれた訳(小声)」

「なるほど。だったら俺も友達になってやるよ!」

 オリジナルはニッコリとした笑顔で手を差し伸べてきた。
 いいよ、そんなん。余計な御世話だよ。
 だけどここで握らねば怪しまれる。あたしはとりあえず笑顔で握っておいた。

「銀ちゃん、アイスか何かない?」

「ゴリゴリ様なら冷蔵庫にありましたよ? 業務用が」

「どこで買ったの、そんなん」

 オリジナルはま、いーやとか言いながら食堂へ戻って行った。
 銀はその背中を見送った後、

「で、あなたはどこに帰るつもりですか? 家がなくなったのに?」

「あ、あの……お、叔母さんが迎えに来るんだけどね? その前に家がなくなっちゃって……」

 途端に銀は泣きそうな顔になった。嘘八百なのに?

「か、可哀想です! 黒影寮に泊まりますか? その、叔母さんが迎えに来るまで!」

「え、いいよそんなの! 黒影寮の皆さんにも迷惑だよ!」

 ていうかあたしはオリジナルとは一緒にいたくないから。大丈夫だから。
 でも銀は聞いてくれない。
 黒影寮の寮長である翔子ちゃんのオリジナルに話をつけに行った。

「OK出ました!」

「嘘でしょおい?!」

 感激で言ったのだと勘違いしたのだろう、銀は嬉しそうに頷いた。
 嘘でしょ……オリジナルと1つ屋根の下ってどういう事だよ、どこの逆ハーレムだよ!!

 ※これは逆ハーレムの小説です。