コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。ただいま祭り開催! ( No.322 )
- 日時: 2012/04/08 21:47
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第12章 君と僕〜オリジナルと亜種〜
うーうー、ばれるの怖いよー。怖いよー。
すると、あたしの携帯が鳴った。あ、相手は鈴だ。こっちに電話かけられるんだ。
「鈴! あたしを助けなさい!!」
『ごめん無理』
あっさり鈴に断られた。この裏切り者。
鈴が電話をかけてきたのは、あたしが無事か確かめる為だった。
『でも、無事でよかったよ。もう昴にばれて消えてるのかと思った』
「失礼な奴め。帰ったら真っ先にコロシテヤル……」
『ひ、ヒィ?! ここに凶暴な生物がいるよ!』
鈴は電話越しに飛び上がっただろう。にやにやと笑ってしまう。
ちなみに、あたしが今いる部屋は銀の部屋だ。これから銀の部屋に居候する事になる。
銀は今はいない。食堂で夕飯の支度をしている。
「と・に・か・く! あたしはオリジナルを崇拝する気なんてさらさらないの! あんなへらへらした奴が格好いいと思う?!」
『案外酷い事を言うんだな、すみれさん』
「あたし、こっちでは美鈴って名乗ったんだけど」
『そー呼ぼうか?』
「コロスヨ?」
『ごめん』
本当に殺してやろうか、銀ごめん。鈴を亡き者にしたらごめん。
あたしは鈴の電話を(一方的に)切り、床に転がった。明るい天井を見上げる。
あーぁ、どうしてこうなっちゃったんだろう。あたしがいけないんだろうな。オリジナルを崇拝していないし。
「っていうか、どうして崇拝しなきゃいけないんだろう。もう少し格好よく書けよ。技量不足作者」
失礼な事を言うんじゃねぇよ(By山下)
うぉ、神の声が聞こえてきた。ルテオ君の仕業かな?
「面倒だ。銀とお話してこよう」
えーと、確か部屋を出て左に曲がって真っ直ぐだったよね。
あたしは部屋を出て、左に曲がる。そして真っ直ぐ進んだ。
すると、とある1つの部屋の前から話し声がした。名札には『東翔』と達筆で書かれていた。なるほど、翔子ちゃんのオリジナルの部屋か。
少し興味の持ったあたしは、翔の部屋をノックした。
「ん? あ、美鈴ちゃんだっけ」
「あ、どうも……」
何でこんなとこにいるんだよ、オリジナル! テメェ部屋行けよ!
奥を見ると、どうやら翔が勉強を教えていたらしい。
「ほら、昴。問3をやってみろ、さっき教えた公式の類似問題だ」
「えー、それすごく難しい。もう1回やってよー」
「しゃーねーな。もう1回だけだぞ、よく聞いてろよ」
と、また勉強会が再開される。あたしはその間、部屋を観察していた。
必要最低限のものしか置かれていない。黒を基調とした部屋だ。本棚には洋書がぎっしり詰まっている。
ふーん。さすが翔子ちゃんのオリジナル。部屋もきれいだね。
「じゃ、お邪魔しましたー♪」
……他の人の部屋にも興味あるな!
よし、次は向かいにある部屋……『堂本睦月』の部屋だ。確か堂本美月ちゃんのオリジナルか。
ノックをする。
「誰やー?」
「どうも、突撃☆隣のお部屋です」
睦月は何の疑いもなくドアを開ける。おーおーおー、信じやすい事だ。
さすが男の部屋。翔よりは少し汚いけど、結構片付いている。おいおい、美月ちゃんは片付け下手だぞ?
全体が茶色でまとめられていて、ポスターとか貼ってある。アメリカの歌手……だよね。
「お邪魔しましたー」
「え、もうええの?」
「十分堪能させてもらいましたよ」
さてお次は……お、『月読怜悟』の部屋にしよう。月読怜奈ちゃんのオリジナルかぁ。
「突撃☆隣のお部屋!」
「?!!」
やっぱノックはした方がよかったか。
怜悟は結構驚いていたらしい。刀を構えている。
でも、殺風景な部屋だなぁ。ベッドと箪笥と机しかない。スチール製の。まさに侍の部屋だね。
「……何?」
「いや、タイトル通りですけど。お邪魔しました」
「?」
さてさて、お次は誰の部屋にしようかな。『二条蒼空』の部屋にしよう。
今度はちゃんとノックをした。
「どちら様ですかな?」
「突撃☆隣のお部屋です」
「OKいいよ」
ドアを開けると、うわ汚い。
お菓子の食べカスとかはないけど、本が散乱している。主に漫画。服も散乱しているし、汚ぇなこいつの部屋。
だけど、青系で統一された部屋は何だか落ち着いた。
「え、と。結構散らかってるけど?」
「見りゃ分かる。お邪魔しました」
おー、汚い。さてお次は……『篠崎蓮』の部屋か。
よしよし。あのヘタレでビビりな篠崎蘭ちゃんのお部屋は可愛らしかったぞ?
「誰だー?」
「お部屋をご訪問しに来ました」
しぶしぶ、と言った感じで蓮は開けてくれる。
わぁ、可愛いものだらけじゃん。主に猫のぬいぐるみがたくさんあるし! 可愛い! ベッドは肉球の柄をしている。
「可愛い部屋だね」
「好きでこんなになった訳じゃねぇ!」
尻尾を逆立てながら、蓮は吠えた。
おし、次じゃ。『祠堂悠紀』のお部屋へ。
「お部屋の訪問ですー」
「帰ってください」
「問答無用です」
ガチャリと開ける——すげぇ。何ここ、ジャンク屋?
あちこちにはステンレス製の棚があり、パソコンが置いてある。全て電源はついており、ディスプレイには動画サイトやホームページなどがあった。
「な、何?」
「小説家目指しているんだよね、頑張って」
おし、次は——『国枝つかさ』の部屋だね。
ノックをして開ける。
「どうしました?」
「……そう言えば、女の子だっけ」
赤で統一された部屋。あちこちには星形やらハート形やらが散りばめられている。ずいぶんとメルヘンな部屋だった。
そう言えば、つばめちゃんは男の子だったな。つかさは女の子だっけ。
「ちなみに女の子しか愛せません」
つかさはニッコリ笑顔で言った。怖いわ!
最後は『王良空華』の部屋。うーん、華奈ちゃんのオリジナルか。
「お部屋の訪問の時間です」
「ん? 冒険でもしに来たの?」
まぁいいよ、と空華は開けてくれた。
何だここ。本だらけじゃないか! 翔よりすごい持ってる。基本的に黒か灰色が多い部屋で、もう本だらけ。
「あ、呪術の本が多いからね」
「そ、そすか」
そう言えば……華奈ちゃんはそうだったよな。
よし、これでお部屋訪問は終わり——にしたいけど。
「オリジナルの訪問、忘れてた……」
忘れたい。でも見たい。好奇心が勝った。
オリジナルは翔の部屋から戻ってこない。そのすきにあたしはオリジナルの部屋を開けた。不法侵入。
「うわ……」
白とオレンジで統一された部屋。翔の部屋と反対で、明るい印象を見せる。
何だろう、ものすごい負けた感じがする。
「やっぱむかつくな。オリジナル」