コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。ただいま祭り開催! ( No.323 )
日時: 2012/04/10 21:59
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第12章 君と僕〜オリジナルと亜種〜


 やばい。マジで怖い。何が怖いって? もう全てが怖いに決まっているでしょ!
 だってオリジナルに囲まれて食事ってどういう事よねぇ?!

「美鈴さんはどのくらい食べますか? 夕飯はカレーですけど」

「え、えぇと……少なめ? ごめん、自分で盛るわ」

 銀には悪いけど、できる事はあたしがして行こう。じゃないと本当に、鈴みたいに頼りそう。
 それにさっき、翔の事は「翔子ちゃん」と呼びそうになった。焦った。
 あー、もう。やばいよ! どうしようねぇどうしよう?!

「カレーが余りましたねぇ」

「明日もカレーにするの?」

「お昼はカレーうどんにしましょうか。結構たくさん作ってしまいましたし」

 銀は寸胴のふたを閉め、席についた。もちろん、あたしの隣。
 うひょー、銀めちゃくちゃいい匂いなんだけど♪

「それではいただきます」

「「「「「いただきやーす」」」」」

「いただきますー」

 男らしい号令の後に続き、あたしも合掌する。
 うーん、すごい美味しい。確か市販のルーを使っていたと思うけど……はたして他にはどんなものを入れたんだ?
 酸味もあるし、リンゴも入れたのかな。

「美鈴ちゃんはどこから来たの?」

「え、あたし?」

 いきなり空華があたしの話題を振ってくる。
 いやぁ、どこって言われても白影寮って答えたらあたしは即お陀仏だよねぇ……(泣

「と、遠く?」

「へぇ、どのぐらい?」

「すごく!」

 アバウトな答えを返したけど、空華は信じてくれた。フゥ、女好きで助かった。
 だがしかし、次にあたしの話題を振ってきたのは蒼空だ。

「特殊能力とかって持ってるの?」

「へ? い、一応?」

 うん。一応昴の亜種だから。それなりに。
 だから全然不思議な能力を見せてくれても構いませんよ、えぇ本当。

「じゃあじゃあ友達は何人いる?」

「んーと……結構いるかな。女友達も男友達も平等に。あ、1人美少女嫌いがいてさぁ。これが困ったもんだよね」

 もちろん、美少女嫌いは高梨羅の亜種である高梨莱(タカナシ/ライ)だ。
 え、翔子ちゃんは? 翔の亜種だからイケメン嫌いじゃないかって? 甘いよ、世の中そんなんじゃないのさ。翔子ちゃんはドSの女王様なんだよ!

「へぇ。それってまるで翔ちゃんみたいじゃん」

「馬鹿、お客の前で言うなよ」

 オリジナルが翔を茶化すように言う。仲いいな。
 ま、あたしも翔子ちゃんとは仲いいよ? こいつらにも負けないよ。

「……幽霊、見える?」

「ハァ。まぁ、見えるけど……。そんなにビビらないよ。友達にシャーマンいたし」

「?! 本当?」

 怜悟とやらが期待の眼差しで見てきた。いや、そんな……。
 月読怜奈ちゃんのオリジナルですからね。怜奈ちゃんもシャーマンだけど、こいつと違って饒舌。

「へぇ。面白いね」

 悠紀はさして興味なさそうな口調で言う。

「おしゃべりしていないで、さっさと食べちゃってくださいよ」

「早ぁっ?! 銀、早ぁ?!」

 銀、早くも2皿目突入。よく食べるなぁ。

***** ***** *****

「美鈴さんは謎めいた人ですね」

「え、いきなり何?」

 寝る際に、銀にいきなり言われた。
 言えないだけであって、言ったらきっとびっくりするよ。だって鈴と一緒に住んでるもん。それに昴の亜種だし?

「でも、美鈴さんが来てくれて少しよかったかもしれません」

「どうして?」

「私の友達に羅さんっていう人がいるんですけど」

 はいはい、知っていますよ。莱のオリジナルね。

「その人は無理矢理実家に帰らされているって言ってました。メールが来ましたよ、早く帰りたいって」

「少なくとも帰ってくるのには時間かかりそうだね」

「あはは。そうかもしれません」

 銀は軽く笑い飛ばす。

「それに白亜さんって言う人もいるんですけど。その人はバスケ部の合宿で長野に行っちゃってて」

 あぁ、あの黒亜(クロア)の……。オリジナルか。確か黒亜もバスケ部の合宿だって言ってたよね。
 そうか。銀はさみしんだ。友達が旅行に出かけちゃってるし、この小説に女の子ってあまり登場しないもんね。
 天使とか悪魔とか神様とか鬼とかにも女の子はいるけど、それは鈴を介さないといけないし。

「だから、美鈴さんが来てくれてお姉さんみたいで嬉しいんです」

「そっか……」

 お姉さん、か。
 あたしは椎名昴の亜種で、設定では17歳。銀より年上って事になる。

「だったら、美鈴って呼んでもいいよ?」

「え? あの……」

「お姉ちゃんでも可ww」

 冗談っぽく笑って見せる。
 銀もニッコリと笑い、照れくさそうに、

「お、お姉ちゃん……?」

 と、あたしを呼んだ。
 可愛いなぁ。鈴にはもったいない。オリジナルにももったいないし、あげたくない。

「あはは。好きに呼ぶといいよ。でも、お姉ちゃんって呼んでもいいからね。お姉ちゃんみたいに銀を扱うから——あぁ、あたしが銀って言うのも厚かましい?」

「いえ、銀でいいですよ。その方が……何だか姉妹っぽくていいじゃありませんか」

 超可愛い! 萌える!!