コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。俺ら戦争が乗っ取った! ( No.345 )
- 日時: 2012/04/27 22:06
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第13章 黒影寮の問題児が妖精を拾ったようです
蒼空さんが出て行ってしまいました。かなり怒っていたようですけど。
さすがに翔さんも「言い過ぎたか……」なんてつぶやいていました。翔さんなりに反省しているようです。
それにしても、蒼空さんが怒るなんて珍しい事ですね。
「なぁ、何であいつってあんなに怒っていたんや?」
睦月さんがキョトンとした様子で全員に問いかけました。
理由が分かりません。蒼空さんって「にゃんだとー?!」とか「何おう?!」とか言ってポカポカ叩いたりしますが、結局は怒らない人ですから。でも、あんなに怒鳴っていたのは始めて見ました。
すると、悠紀さんが大変言いにくそうに、
「……僕かも」
「え? 悠紀さんが?」
「ほら、蒼空って2年生の時に転校してきたじゃん。僕らと違ってさ」
蒼空さんは高校1年生の時に黒影寮へやって来たと聞いています。
悠紀さんは苦い顔を浮かべました。
「集中力が切れただの何だの言うから、ついむかついちゃって。『元の学校でつるんでいた奴が馬鹿だったとか?』って言った」
なんて酷い事を!
ですが、悠紀さんもしょんぼりとした顔をしました。
「僕が、やっぱりいけないよね……」
「悠紀さん……反省しているなら、蒼空さんを迎えに行きましょうよ」
「そうだね。蒼空も一応は黒影寮の住人で、銀ちゃんを守って来た訳だし!」
空華さんが携帯を取り出して、蒼空さんに電話をかけました。
一方の蒼空。
「げ。空華から電話がかかってきた」
携帯のディスプレイを見て、蒼空は顔をしかめた。
相手は王良空華。自分が出てきてしまった黒影寮の住人である。
「よし、切るか」
迷わず電源ボタンを押して切った。そして携帯電話の電源を落とした。
「そーくー。だれー?」
「内緒。さて、田舎に行くには何時の電車があるかなーっと」
空華さんは携帯を片手に顔をしかめました。
「電話がつながらない。あいつ、電源を切りやがった」
「ハァ? それぐらいにむかついたって訳かよ。悠紀、面倒な事を起こしてくれやがって」
翔さんは恨めしそうに悠紀さんを睨みつけました。
悠紀さんは反論もせず、ただ閉じられたノートパソコンに向かっていました。
「でも、蒼空君はどこに行ったんでしょうね?」
つかささんが首を傾げます。
蒼空さんが行く場所なんて見当たりませんけど……。まだ町内にいますでしょうか?
「探しに行きましょう! まだいるかもしれません!」
「翔ちゃん、死神の目を使って蒼空を探して!」
「仕方ねぇな」
その時です。
黒影寮のインターフォンが鳴りました。まさか、帰って来たのでしょうか?
「やっほー!! 銀ちゃん銀ちゃん会いたかったよー! あたし、田舎に無理矢理帰省させられててさぁ。なかなか会えなかったんだよねー!」
「きゃぁ?! ら、羅さん?! いきなり抱きつかないでくださいーっ!」
蒼空さんではなく羅さんでした。
羅さんは出合い頭に私をハグします。
「久々の銀ちゃんだよ……あぁよかった」
「おい、羅。今から蒼空探しをするからテメェも手伝え」
翔さんが命令口調で羅さんに言いました。
羅さんはもちろん嫌そうな顔をしましたが、「蒼空」と聞いて声をもらしました。一体何があったのでしょうか?
「蒼空って、あの結構可愛い顔をしたイケメンだよな。目が青い——まるで空みたいな奴」
「そうそうそいつ。え、見たの?」
「何か小人みたいなのを連れて電車に乗り込んでた。茨木辺りに行く電車の」
「「「「「茨木ぃ?!!」」」」」
それを聞いて、全員で目を丸くしました。
な、何の為に茨木に?!
「そ、蒼空の田舎ってどこだっけ?」
「さぁ? でも、前に言ってたよな。結構田舎の方からやって来たーって」
「おい、蒼空の実家の居場所なら分かるぞ」
翔さんが死神の目で情報を集めてくれました。
「蒼空の実家、茨木の錦海町ってところだ」
と言う訳で、蒼空さんを迎えに行く為に実家である茨城県へ行く事になりました。
***** ***** *****
茨城県・錦海町(キンカイチョウ)。
ここは、俺が育った町である。海が近くて本当に懐かしい。
あらかじめ電話で呼び出しておいた昔の仲間達が、駅を出た瞬間に手を振って来た。
「久しぶりだな、お前ら!」
あぁ、帰ってきてよかった。
こいつらとなら、黒影寮でできないような事も一緒にやれる。