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Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。俺ら戦争が乗っ取った! ( No.352 )
日時: 2012/05/04 16:19
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
参照: 大ヒット御礼! 参照2000突破!

第13章 黒影寮の問題児が妖精を拾ったようです


 私達は蒼空さん達に連れられて、とある高校の1室に来ました。教室のようです。夏休みの為、解放されているようですけど。
 そこには数人の人がいました。背の高い人や低い人、女や男も。傘を持った人もいます。
 一体、蒼空さんとはどういう関係でしょうか?

「蒼空ー、そいつ誰だァ?」

 全身が真っ黒な人が、蒼空さんに問いかけました。
 わ、私達ですよね?

「こいつらはー、黒影寮の奴ら。俺の仲間! そんで黒影寮諸君、こいつらは戦争組のメンバー。まぁ大勢いるから紹介は割愛させてもらう」

「そんな言葉、知ってたんだ」

 昴さんが感心したように言いました。
 蒼空さんはきょとんとした様子で、

「あれ? 割愛ってこういう感じでいいんだよね。理央」

「間違いないよ。馬鹿の蒼空でもそんな言葉を使えるとは驚きだけど。そっちで学んだの?」

「ううん。子海に貸してもらった本に書いてあったから」

「それでか」

 茶髪の人が大きなため息をつきました。
 蒼空さんはけらけらと軽そうな感じで笑います。

「……蒼空さん、あの」

「さぁて戦争組の諸君! 少しここで祭りの事について考えていてくれたまえ!」

「お前その口調止めろよ。吹きそうだから」

 蒼空さんは華麗にその言葉をスルーしますと、私達を連れて教室の外へ出ました。
 出た瞬間に、私達の体に絶大な重力が襲いかかります。体が動きません。思わず座り込んでしまいました。

「どーして帰ってくれなかったのかなぁぁぁぁ?」

 蒼空さんは笑顔で言います。あれ? 蒼空さんってこんなキャラでしたっけ?

「テメェに命令される筋合いはねぇ……!」

 翔さんは蒼空さんを睨み上げました。
 しかし、蒼空さんはそんな睨みをさらりと無視します。慣れているのでしょうか?

「だって……蒼空さんも黒影寮の仲間でしょう?」

「そうだとしても……俺もちゃんと帰るつもりでいるからさ。絶対に帰らないって事はないから。ただ少し、こっちの祭りに用事があるの」

 祭り——?

「夏目祭りって言って、この辺りでは最大の祭りなの。それに俺ら戦争組も参加する事になっている訳。こりゃもう楽しむしかないでしょ! ってんで、俺も参加しに来たの。何せ、戦争組のリーダーですからね!」

 えへん、と胸を張る蒼空さん。肩では妖精さんが同じように腰に手を当てています。
 でしたら何故、黒影寮を出て行くなどと言ってしまったのでしょう?

「う、それは……戦争組の事を馬鹿にされてすごくムカついて……。なんていうの? あいつらはある意味お前らよりも大切な野郎だからさ。どんな馬鹿な事もやって来て、叱られたりして、たくさん笑って来た仲間なんだ。馬鹿にされたら誰だって怒るだろ」

 ま、たとえるなら翔と昴の間柄みたいな感じだよ、と蒼空さんは付け足します。

「確かに、俺も翔ちゃんの事を馬鹿にしたら蹴るね」

「俺も昴の事を馬鹿にしたら炎で焼くわ」

 ただでさえ蹴り技が強力な昴さんが翔さんを馬鹿にすると相手を蹴る——死にますね。
 そして何もかもを焼き尽くす翔さんが昴さんを馬鹿にすると燃やす——死にますね☆
 他にも空華さんは兄弟を馬鹿にすると、多分その瞳を発動しますと思いますし。蒼空さんの気持ちは分かりますね。

「銀ちゃんを心配させないで、さっさと帰ってやれよ」

 羅さんが言いました。
 蒼空さんは申し訳なさそうに頭を下げます。

「ごめん。黒影寮を家出してきちゃったのは本当にごめん。だけど、俺はまだ帰る気ないから。祭りに参加するまで絶対に!」

「でしたら、俺らも参加する」

 翔さんが言いました。え、何で?
 蒼空さんはきょとんとした様子で、「ハァ?」と首を傾げました。

「俺らが参加すれば、蒼空が何をしでかしても大丈夫だしな。その戦争組とやらに入れてもらおうか」

「……え、それはマジで言っているのでせうか?」

 蒼空さんは確認するように言いました。
 寮長である翔さんと、副寮長である昴さんが同時にうなずきました。
 確かに戦争組とやらに参加すれば、蒼空さんと一緒に帰れる事もできますし。

「……でもなぁ。お前ら何やるか分からないもんなー……」

「それはお前もだろうが……」

 空華さんがため息をつきます。

「あ、でも怜悟のシャーマンとか睦月の超能力も使えるよな……。翔は死神だし、鎌持っていれば若干コスプレっぽいし……。蓮は肉体変化で人狼にでも……。銀ちゃんは結構可愛いからそのままでも使えるし、羅は物質分解だし……悠紀は言霊で何でもできそうだし、昴は空飛べるし……空華は忍者だから紫音と一緒に使えるし……」

 ぶつぶつと蒼空さんは言います。そしてポンと手を叩いて、指を弾きました。それだけで重力が解けます。
 蒼空さんは教室の中に呼びかけました。

「お前らー、ちょっとテストみたいなのやんないか?」

「何のテストだよォ? 楽しい事じゃないと俺ァ動かねェぞ」

 真っ黒の人がひょこひょこやってきました。
 蒼空さんは私達を指差して、

「戦争組、入団テストだ。こいつらが本当に使えるかどうか、やってやろうじゃん?」

 入団テスト……?