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- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。俺ら戦争が乗っ取った! ( No.353 )
- 日時: 2012/05/05 22:29
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
- 参照: 大ヒット御礼! 参照2000突破!
第13章 黒影寮の問題児が妖精を拾ったようです
「これよりー、俺ら戦争を開始したいと思いますー」
「「「「「Yeah!!」」」」」
戦争組の皆さんが悲鳴のような声を上げました。発音がよすぎます。
蒼空さんは壊れたマイクを持ち、司会者のような口調でルールを説明して行きます。
「ルールは至極簡単。黒影寮VS戦争組の精鋭で小林さんをビビらせる。判定基準は俺・二条蒼空とおり川理央、そして木崎音緒と浅比奈奏人の4人で行います!」
小林さんって誰でしょうか?
すると、茶髪の人が話しかけてくれました。
「小林さんはさっきあんたらが追いかけられていた警察官の人。戦争組が結成してからの付き合いでさ、ライバル心の燃やしている訳。俺らもあいつが少し——目障りって言うか、何でもかんでも何もしていないのに突っかかって来るし」
茶髪の人から負のオーラが立ち込めます。怖いです。
とにかく、その小林さんを驚かせれば入団できるのですね。頑張りましょう!
「まずはお手本です。戦争組の精鋭、紅海狛君に夜月彩佳ちゃん。小山子海に来栖梓。そして逆羽傘ちゃんになります」
紹介されていく戦争組のメンバーさん。
蒼空さんが子海さんにマイクを向けます。
「さぁて子海。何を題材にしてやるかな?」
「そうですね。小林さんは伝説や噂などを信じやすいので、ここはドッペルゲンガーを使ってみようかと思います」
ドッペルゲンガーとは、自分と瓜二つの人間です。幻——みたいなものでしょうね。
そのドッペルゲンガーを見てしまうと、自分は必ず死んでしまうという噂があります。絶対に見れませんから、ドッペルゲンガーは。
子海さんは嬉々とした様子で語ります。
「ですから、風に乗せられてドッペルゲンガーを運んでこようと思います。羽傘さんの能力は風を操る事。僕がドッペルゲンガーをやりましょう。そして運んでもらい、その人の前に現れます。実際に死ぬわけにはいかないので、梓君の絶対殺しで後ろから不意に攻撃します。そして僕は今のうちに彩佳さんの能力を使ってここへ帰ってきます。狛君には小林さんがどこへ行くかなどを見てもらいましょう」
全ての概要を語ってもらいました。ものすごい長いです。
とにかく、これを本当にやるのでしょうか?
子海さんは早速小林さんに変身しました。すごいです、そっくりです。
「では、羽傘ちゃん。お願い」
「メンドクセー」
「面倒くさがらないで。ほら、嵐先輩も見ているからさ!」
羽傘さんはしぶしぶと言ったような感じで風を起こしました。ふわりと子海さんは浮かび上がります。
狛さんが言うには、小林さんは「校門の前で待機する」との事です。
「夜月。俺を運べや、あのポリ公の後ろに」
「ハイハイ。分かっていますよ」
彩佳さんはため息をつきますと、梓さんをどこかに消し飛ばしました。瞬間移動です!
「私の能力は心を読む事と、瞬間移動なの」
私のモノローグも読めるとはすごいです。
小林さんは変身した子海さんを目の前にして、すごく驚いています。目を皿のようにしています。その後ろに現れた梓さんが、手袋を外した右手で小林さんの背中に触りました。
「あづぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」
悲鳴を上げて飛び跳ねる小林さん。そのすきに彩佳さんが子海さんを瞬間移動させました。ついでに梓さんも瞬間移動させます。
と、ここまでが戦争組のいたずらでした。
「さて、次は黒影寮ですけど……。一体どんな伝説や噂を使うのでしょうね?」
にやにやとした様子で、理央さんが見てきます。私達ができないとでも言いたいのでしょうか。
いいでしょう。こちらはリアルの死神さんにシャーマンもいますし、超能力者もいます。私だって鈴と代われば悪魔だって神様だって降ろせますからね!!
負けません。戦争組に入るんです!
「そうだな。怜悟、小林に幽霊をお見舞い——っていうのもべただな。よし、空華。この辺一帯を夜にできるか?」
「できるよ。周りに気づかれずに、かつあの人だけ夜だと感じさせる術だね。簡単簡単。我流忍術をなめるんじゃないよ?」
空華さんは余裕そうに笑いますと、印を結んで何かを唱えました。
ブツブツと数分唱えますと、辺りがだんだんと暗くなっていきます。そして夜になり、満月が出ました。
「これぞ時送りの術。俺様達とあの人以外は夜だと思っているけど、他の人は昼のまま」
「よくやった、空華。よし——あとは俺と怜悟だな。怜悟、俺の周りに幽霊を取りつかせろ」
翔さんがあらぬ命令をしました。一体何をする気でしょうか?
怜悟さんは言われるがままに、翔さんの周りに幽霊を呼び出しました。サチコさんやイチローさん(坊主の奴)。ミドリカワさん(スーツの男)までいます。
翔さんは死神ルックになりますと、誰もいない校庭に降り立ちました。
校庭に入り込んでいた小林さんは、翔さんの姿を確認しますとびくりと体を震わせます。
「——貴様は何者かえ?」
酷く冷たい目で、翔さんは小林さんを睨みつけました。これではひとたまりもありません。
小林さんはすくみあがりますが、すぐに翔さんに言い返しました。
「貴様こそ……! 炎の死神だな? 貴様がいつの間に夜へ——!」
「黙れ。黙らぬと、貴様の魂を狩るぞえ」
翔さんは鎌の刃を小林さんの首筋に突き立てました。
怖いですー、見ている私も怖いですー!
「この者達のようになりたくなければ、今すぐここから去れ。二度目は言わん。去れ」
「は、ハイィィイ!」
小林さんは悲鳴を上げて逃げ出しました。
翔さんはVサインを見せました。
「……何してんの?」
蒼空さんがじとっとした目で見てきました。え、何か悪かったでしょうか?
「ハイ、質問。あれっていたずらに見える?」
「え、見えますけど」
「脅しじゃないの?! 去れって言ったよね? 驚かすどころかもう多分宮園高校に死神が出るって噂されるわ!」
えー、じゃあどうすればよかったんですか?
蒼空さんは深いため息をつきますと、
「まぁいいや。その能力は重宝するし……戦闘メンバーとして残ってもらおう。これから頑張って行こう、黒影寮の皆さん」
蒼空さんはにっこりとした笑顔を見せました。