コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。俺ら戦争が乗っ取った! ( No.355 )
- 日時: 2012/05/09 22:27
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
- 参照: 大ヒット御礼! 参照2000突破!
第13章 黒影寮の問題児が妖精を拾ったようです
と言う訳で。
夏目祭りに向けて皆さんが出し物を考えています。出し物って何がいいんでしょうね?
「射的は?」
「あるだろ。林さんのところが毎年射的を出してる」
「じゃあ、りんご飴」
「松本さんのとこ」
「腕相撲」
「やれるものならやってみろ」
案が次々に出されては一蹴されます。
私達は、ただその様子を見て黙っているしかありませんでした。戦争組のメンバーの空気が、まだ慣れないからです。
黙っている私達に、蒼空さんは問いかけてきました。
「銀ちゃん達は何がいいと思う? 特に翔と空華には出してほしいかも。翔は頭いいし、空華は大体の事は何でもできちゃうんだから」
勝手な決めつけはおかしいと思いますけどね。
「えー、いきなり言われても思いつかないよ。翔は?」
「まったくだ。大体、予算はいくらぐらいあるんだ? それによって材料だの何だのを買って経営するんだぞ」
「うわー、現実的な話は聞きたくないー。ついでに言うと、予算は町長さんが出してくれます。必要経費も大体は」
蒼空さんは翔さんの言葉に耳をふさぎました。
でも、一体何がいいんでしょうね?
「鈴は何か思いつきます?」
「思いつかないかも。日出ー、暑いからちょっと氷を出して」
「クーラー代わりにするのは止めようぜ」
鏡の中から鈴と日出さんの声がします。
すると、蒼空さんがきらりと目を輝かせました。
「鈴……よし、決めた! 町長さんに連絡して、ガラスを貰って! ていうかあれか。シンデレラの世界に行った時に大量のガラスの手紙が落ちてきたからあれを加工する! 子海! 風鈴の作り方は分かるか?」
「えぇ、本で習得済みです」
「よし! 祭りは大量の風鈴を作って売るぞ! 題して『願いが叶っちゃう☆風鈴商売』大作戦・決行!」
嵐のように出し物が決まりました。
***** ***** *****
その日の夕方です。
蒼空さんに呼ばれて、私達は蒼空さんの実家に行く事になりました。
小さな1軒家のチャイムを押した蒼空さんの前に、瞳が赤くて黒い髪の女の人が出てきました。
「どうしたの、蒼空。鍵でも忘れた?」
「実際鍵も忘れたし、それに黒影寮の奴らがいるからさぁ。紅姉ちゃん」
紅?! あの吸血鬼の?!
赤い瞳の女の人は、私達を見てにっこりと笑いました。
「あたしは二条紅(ニジョウ・クレナイ)よ。この愚弟の姉ね。あ、能力は発火能力(パイロキネシス)だから」
そう言うと、紅さんは手のひらに炎を生み出しました。
あとから別の女の人も出てきます。瞳が琥珀色で、そしてこちらも黒い髪です。
「清廉。起きたの?」
「……おやすみしたい」
「ダメよ。弟のお友達も来ているのよ、歓迎しなきゃ」
琥珀の瞳を持つ女の人は、ぺこりと頭を下げました。
「にじょう、せいれん。ぐていがいつも、おせわになっている」
清廉さんと言うらしいです。
「のうりょくは、ほうじゅつ。せんにんがつかうじゅつなの」
ほら、と清廉さんは浮かび上がります。念動力じゃないですよね?
紅さんと清廉さんは、私達を家に上げてくれました。
「紅姉ちゃん、清廉姉ちゃん。銀ちゃんと羅ちゃんに浴衣を着せてほしいんだ。清廉姉ちゃんは浴衣、たくさん持っているだろ」
「持っているけど……その子達はどうするつもりなの? 蒼空は浴衣なんて持っていないでしょ? 子供サイズのを着せる訳?」
「変態か? 俺は変態か?」
蒼空さんに押され、私と羅さんは紅さんと清廉さんに連れていかれました。
えと……一応鈴には見ないでおくように言わなければなりませんね。
〜蒼空視点〜
さて、銀ちゃんと羅ちゃんが着替えている間に、俺はこいつらに作戦の概要を説明しないといけない。
風鈴は町長にかけあってみたところ、古い風鈴が街中から集められたらしい。この町の名産物は風鈴なのだ、えへん。
と言う訳で、風鈴は作らなくてもよくなった。
「——けど、まだまだ作戦はある。風鈴を売る為には購買意欲をあおらないといけない」
ふむ、と黒影寮はうなずいた。おぉ、気持ちいい。
当然買ってくれなきゃ商売にはならない。夏目祭りはたくさんの人が来るのだ。
「なので、叶えられるお願いは叶えてしまおうってのが作戦なのです」
「叶えられる願いってのは具体的にどういう奴なんだ?」
昴が挙手で質問してきた。
「まぁ、素敵な彼氏とデートがしてみたいだったらまだいける。この町は結構妄想している人がいるから、台詞だけってのもあるかもな。『笑顔で「愛しているよ」って言ってください』ってな」
俺も言われた事あるし。
あ、翔が顔をしかめた。さすが女嫌い。
「あとは『嫌いな奴を懲らしめてほしい』とかあるぞ。そう言う時は怜悟、幽霊を少し仕掛けてやれ」
「了解」
「冗談で『世界征服したい』とか言う奴がいると思うから、その時は翔だな。まぁ、こういう事はできないんだぞ的な感じで懲らしめてくれ」
「了解」
「つー訳で。イケメン軍団にはもちろんイケている服を着てもらわなくてはならない! あ、ちょっと皆さん? 女装じゃないから女装じゃ。じいちゃんので悪いけど!」
俺はビラッとあるものを広げた。
それを見たみんなは、驚愕の表情を浮かべた。