コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。俺ら戦争が乗っ取った! ( No.372 )
- 日時: 2012/05/28 21:53
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
夏休みももう終わりに近づいてきたころ。私は町でこんなものを見つけてしまいました。
白雪町・草野球大会。
優勝賞品は、お米1カ月分。
「…………」
私はその場で少し立ち止まってしまいました。
第14章 もし黒影寮の管理人代理が町の草野球大会の広告を見たら
「ただいまですよ」
「おかえり〜〜〜〜〜〜〜」
帰るやいなや、ぼんやりとした悠紀さんの声が聞こえてきました。見ればクーラーの下でグ○コのポーズをしているからです。何をしているんですか。
私は今日の夕飯の食材を、とりあえず台所に入れました。
食堂は蒸し暑いです。クーラーを効かせているはずなのに。
「今日は節電なんだと。さっき零が言っていた。白雪町もついに電力不足を気にし始めたらしいからな」
まぁ、関係ねぇけど、と言いつつ翔さんは本を読み続けます。
実は何故クーラーを効かせているかと言いますと、昴さんと空華さんが雷の技で発電しているからです。おかげさまでクーラーが点きます。
私は額に浮かんだ汗をぬぐいました。
どうしてこんなに暑いのでしょうか?
「鈴、そちらから紫月君もお呼びできませんか? 発電してもらいたいんですけど」
「え、そうなの? こっちは全然暑くないよ。むしろ気温なんて感じないけど」
鈴は半袖にパーカーと言う暑苦しい格好できょとんとしていました。今、ものすごく鈴がうらやましいと感じました。
そう言えば、町では草野球大会があるようですね……。
「翔さん、草野球大会の事をご存知ですか?」
「あぁ?」
翔さんは鬱陶しそうに黒髪をポニーテールに結い直し、眉をひそめた。
「何だよ、その草野球大会ってのは。まさか野球でもするのか?」
「えぇ、そうなんですよ」
「町の連中も馬鹿な奴らばかりだからな。そんな発想がよく思いつく。俺は考えられない。こんな暑い中、何でやらなければならないんだ?」
翔さんはぶつくさと文句を垂れました。そりゃ嫌ですよね……。
ですけど、優勝賞品はお米1カ月分ですから……。
「あの、出てくれませんか?」
「ハァ? どうしてだよ、何で暑い時に限って野球を——」
「野球?! 何それ、やるの?」
そこへ、蒼空さんがキラキラした瞳で飛び込んできました。蒼空さんは興味あるようです。
翔さんは心底嫌そうな表情を浮かべました。
「何でそんなキラキラした目でこっちを見て来るんだ、止めろ!」
「だって野球ってチームプレイじゃん? 楽しそうじゃん?! やろうぜ、寮長! 暑さしのぎになるかもよ!」
「ならねぇよ!」
なる訳ねぇだろ! と翔さんが蒼空さんに抜群のコントロールで洋書を投げつけました。狙撃者に向いているんじゃないでしょうか?
そこへ発電の仕事を終えたのか、昴さんと空華さんが汗だくで帰ってきました。
「一体何の騒ぎ?」
空華さんは冷蔵庫から麦茶を取り出して、首を傾げました。
「何かー、銀が草野球大会に出てほしいってー」
話を聞いていた悠紀さんが理由を説明しました。
空華さんはフム、と頷くと、
「俺様は出てもいいぜ?」
「ハァ?! 何を言ってやがる、暑さで頭が沸いたか?!」
翔さんが反論しました。
空華さんはグラスに注いだ麦茶を飲みほしますと、濡れた口元を手でぬぐいます。
「好きな子の為なら、どんな事だってしてみせますよ? あれれ? それとも死神翔さんはできませんかね?」
「え、翔ちゃん出ないの?」
昴さんもきょとんとした様子で言いました。本人は出るつもりだったみたいです。
「野球って楽しそうじゃん。だからちょっと出てみたいなって思って。ちょうど人数もいるし、いいんじゃない?」
「だ、だからって……」
さすがの昴さんに言われて、翔さんも戸惑っています。
「翔さん……お願いします」
私は前に白亜さんに教えてもらった事をやりました。上目づかいでおねだり——だそうです。男の人はこれでイチコロだそうですが、翔さんに効くでしょうか?
翔さんは「う、」とうめき声を上げますと、降参するように手を上げた。
「分かった、わーかーった! 全員集めろ、野球の練習をしてみるぞ」
と言う訳で、参加する事になりました!