コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。俺ら戦争が乗っ取った! ( No.382 )
- 日時: 2012/06/17 17:44
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第14章 もし黒影寮の管理人代理が町の草野球大会の広告を見たら
さてさて、もう試合の日にちがやってきました。
第1試合は————
「あん? て、テメェら! 学校の行事以外でこういう事に参加する奴だったのか?!」
「げ、安心院寮……」
炎さんと岬さんと姶良さんがいました。
相手はどうやら英学園正規の第1寮・安心院寮らしいです。特に炎さんは発火操作という能力を使えます。かつて、私がさらわれた事もありました。
炎さんは寮長である翔さん、そしてその後ろにいる昴さん達を眺めます。赤い目が細められました。
「真面目でガリ勉な特別クラスの奴らがやってきたぜ。おい、テメェら! 貧弱どものお出ましだ!」
安心院寮には人がたくさん集まっているようです。それも全員屈強な連中でした。
炎さんを筆頭に、全員が笑います。
「貧弱どもが、俺らに勝てるとでも思っているのかアァ?」
炎さんは翔さんに向かってメンチを切りました。
その時です。私は聞きました。
————皆さんの頭から、ブチッという音がするのを。
黒影寮の皆さんは平然と立っていますが、全員が拳を握っていました。これは相当怒っている様子です。
翔さんはいつもは浮かべない、にっこりとした笑みを張りつけました。
「悪かったな、貧弱そうで。だが安心しろ、負けるのはテメェらの方だ」
「黙れ少女容姿が。テメェはそこで男でも捕まえて色目を使ってやがれ、バーカ」
翔さんが死神ルックで攻撃しそうになっていましたが、昴さんが必死になって押さえていました。
***** ***** *****
さて、1回表です。攻撃は安心院寮の皆さん、守備は黒影寮の皆さんです。
実は皆さん、『守備がいい』と言っていましたので、睦月さんの未来予知を使ってじゃんけんを負けさせるように仕向けたのでした。
「ハーァ。あんな挑発に簡単に乗っちゃうなんてね。黒影寮も馬鹿な連中が多いこった」
お兄ちゃんが私の隣で、偉そうに足を組みながら座っていました。その隣には零さんの姿も見えます。この2人は監督です。
ちなみに空華さんの投球速度を計る為、リデルさんは私のすぐ近くにいます。
……大丈夫でしょうか。いえ、黒影寮ではなく安心院寮の方です。
「おやおや、大変そうッスねー」
「銀ちゃん銀ちゃんチアリーダーの格好はしてくれないの?」
と、そこへ白亜さんと羅さんがやってきました。この大会を嗅ぎつけてきたのでしょうか?
白亜さんはにっこりと笑いました。
「いやぁ、私らもこれに参加するんスよ。多分黒影寮さんが勝ち抜けば当たりますよ?」
——————エ?
黒影寮に当たるって事は、つまり——
「死ぬ気ですか、白亜さん? 羅さん?」
「何で死ぬ気になっているんスかね。私は全然死ぬ気なんてありませんし、むしろ勝つつもりでいますよ?」
「そうそう! 優勝すればお米1カ月分! それを銀ちゃんにプレゼントすれば好感度アップ! あわよくばウフフな展開に持ち込める! あ、鈴様でもいいよ!」
「鈴なら多分お付き合いするのには構いませんけど、鏡の向こう側に行かなくてはなりませんよ?」
羅さんは相変わらずのようです。
すると、試合を告げるホイッスルが鳴りました。空華さんが遠くでボールを振りかぶって投げます。
————ズバアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアンンンンンンッッッッ!!
いつもよりすごい音が、グラウンドに響き渡りました。
私の肩に乗っていたリデルさんは、ポテチをくわえながら答えます。
「3000キロなの」
「「3000キロ?!」」
さすがのお兄ちゃんと零さんも驚いたようです。そして2人はグラウンドの方を見ます。
唖然としているバッターさんを見て、余裕そうに笑う空華さん。手加減なんかしないようです。
「おいおい、何してんだよ。少しぐらい手加減しねぇとまずいだろ?」
「えー? でもこいつらは手加減しないでいいんじゃないの?」
にやにやと笑う翔さんと空華さん。絶対に負かす気です。
「……あいつら、テレビに放映されたいのか?」
「いえ、別にそういう訳ではないと思うんですけど」
で、結果ですけど。
150対0でコールドゲームで黒影寮の勝ちでした。