コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。俺ら戦争が乗っ取った! ( No.385 )
- 日時: 2012/06/18 22:14
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第14章 もし黒影寮の管理人代理が町の草野球大会の広告を見たら
と言う訳で第2試合は、まさかの皇高校運動部の皆さんです。しかも助っ人として羅さんがいます。
こ、これは強敵ですね! 皆さん大丈夫でしょうか?
「フッフーン、こっちが勝ったら銀ちゃんを嫁としてもらうから」
「まだそんな事を言っていたのか。いい加減にしろ、この野郎」
ピッチャー羅さんに対して、バッターは翔さん。
ちなみに言っておきます。4番バッターは空華さんです。ここは経験者である空華さんがやった方がいいのでは、という事になりまして。
翔さんはバットを構えます。
羅さんは勢いをつけて——投げました!
ズバンッ!
球が、見えなかったんですけど。
リデルさんが蒼空さんの肩から速度を計ります。
「170キロなの」
「170キロ? でも、球が——あ、そうです!」
羅さんは、物質を好きなように分解して好きなように戻せるというチート的な能力を持っていました!
投げてミットに行く時になってから戻せば、簡単にストライクです。
ですが、翔さんはバットを振っていませんでした。そしてチッと舌打ちをすると、バットを担いでこちらに帰ってきました。勝手にタイムを使った様子です。
「おい、少し俺もチートを使うがいいよな?」
「え、あの……?」
「あぁいいぞ。思い切りやってこい」
私の意見を仰いだはずなのに、何故か答えたのは零さん。翔さんはバットを置いて、空中から鎌を抜いて死神モードになりました。
え、一体何をする気ですか?
「これで打つ」
翔さんは鎌を変形させてバットの形にしますと、赤いバットを構えました。
羅さんは、ピッチャーの位置からにやりと笑います。
「死神モードになって。本気で負けられないらしいね?」
「こんなところで負けたら炎の死神の名が廃る。——来い、ビッチ。全力で相手してやる」
久々に聞きました、翔さんのビッチ。
羅さんは額に青筋を立て、本気で投げました。どういう力を以てしてなのか、球はすごい速度を叩きだしている様子です。が、物質分解はしていませんでした。
翔さんはそれを見逃しませんでした。バットに変えた鎌をフルスイングして、蒼穹の彼方へとボールをふっ飛ばしました。ホームランです。
「ッシャァ!!」
ベンチからは黒影寮の皆さんで、1点が入った事が何よりも嬉しかったようです。
***** ***** *****
4番バッターである空華さんまで何とかつなげましたが、2番バッターのつかささん、3番バッターの怜悟さんはこらえられず、3振してしまいました。空華さんもホームランを叩きだし、2点を獲得しました。が、次の蓮さんで3振をしてしまいチェンジです。
第1試合と同じような形式で、空華さんはピッチャー、蓮さんがキャッチャーを務めます。
グローブをつけた空華さんは、大きく振りかぶって投げました。
ズッバァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッッッ!
第1試合よりもすごい音を立てて、ボールはミットに収まりました。だ、大丈夫でしょうか?
すると、バッターである白亜さんが何を思ったのかバットを捨てて審判に話に行きました。一体何をしているのでしょうか?
審判はコクリと頷くと、大きな声を張り上げます。
「ポジションチェンジを要求します。今の球は速すぎて打てないとの事! もはや人間ではないので、誰か他の人とチェンジをお願いします!」
唖然としました。まさかの空華さんによる狙撃者マッハピッチングがここで使えなくなってしまうなんて。
さて、どうしましょう?
他に投げられると言ったら翔さんか昴さんか蒼空さんぐらいですよね?
「だったらワシが投げたるわ」
睦月さんが手を挙げました。どういう風の吹きまわしでしょう。
そう言えば、睦月さんは物質を移動させる物質移動(アポーツ)というものを持っていましたね。これで勝てるかもしれません!
え、どうしてそこまで勝利に執着しているのかですって? 決まっているじゃないですか。お米はほしいですけど、羅さんのお嫁には行きたくありません。私の貞操がピンチです。
「キャッチャーは蓮で続行。空華はワシとポジション交代してくれ。ホームラン打たれたらごめんな」
「気にするな。その時は俺様が全部取ってやる」
ポン、と睦月さんにボールを渡して、空華さんはライトへと行きます。睦月さんはグローブを構えて、そして何かに気づいたように空華さんに何かを言いました。
空華さんは少し黙ってから「了解」と返します。そして右目にしてある眼帯を取りました。
毒々しい紫色の瞳があらわになります。一体何をしようと?
「プレイボール!」
審判の声と共に、睦月さんはボールを投げました。
フッと姿を消します。そして情けないポスッという音がして、蓮さんのグローブに収まりました。
「……い、今の何スか?」
「消える魔球や」
睦月さんはにやりと笑います。
白亜さんは顔を険しくしました。
————そして3振。スリーアウトチェンジです。
あとで分かった事ですが、白亜さんが審判を洗脳して空華さんを封じたようです。さすが神の命令。