コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。7月7日は神威銀の誕生日! ( No.409 )
- 日時: 2012/08/13 22:37
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第15章の前に! 久々の童話パロディですよ!
安泰のギャグ。シリアスムードを一気にぶち壊し! でも最近童話のネタがなくなってきたので誰かアイディアをくださいという年頃です。
さて、今回は7匹の子ヤギです。
キャストはドン!
子ヤギの母親……神威銀
子ヤギ……東翔、椎名昴、王良空華、国枝つかさ、リネ・クラサ・アイリス・咲音紅、夢折梨央
狼……ディレッサ(及川さん)
と言う訳で始まります。
***** ***** *****
昔々、あるところに子ヤギの家族がいた。
そこは7匹の子ヤギと子ヤギの母親で、仲良く住んでいた。
「チッ。テメェら『リヴァイアサン』は来るんじゃねぇよ。ヤキコロしてやろうか(焼き殺してやろうか)」
剣呑なまなざしで本来なら敵であるはずの『リヴァイアサン』を睨みつける長男子ヤギ・翔。
その隣では、知育パズルをあてはめながらキャッキャと嬉しそうな声を上げているのは次男ヤギの昴と三男ヤギの空華だった。
長女ヤギのつかさは絵本を読みながら次女ヤギのリネに向かって、まるでウィリアム・テルのように投げつける。頭に乗せていたリンゴに刺さる。
「こ、コラーっ! 剣呑な空気を醸し出さないでください、翔さん! 落ちついてください!」
「これが落ちついていられるか。どうして『リヴァイアサン』のメンバーと一緒になってこんな事をしなきゃいけねぇんだよ? 意味が分からない。皆目見当もつかない。誰かこの夢を覚まさせてくれ」
「というかぁ」
ザシュッ! と音がして翔の頭にナイフが突き刺さった。
つかさのウィリアム・テルごっこを見て面白そうだったのか、真似して空華が翔の脳天めがけて苦無を投げつけたのだ。
見事に突き刺さり、頭から血を滴らせる。
「おい? これは一体どういう事だろうか?」
にっこり笑顔で問いかける翔。
きょとんとした様子で、空華は答える。
「何言ってるの。刺したよ思い切り。それとも死神は、痛覚も鈍るのかな?」
にっこり笑顔で対応する空華。
それにブチ切れた翔は「ヤキコロ!」と叫んで炎の鎌を振り上げた。空華も笑いながらそれを避けている。
母親ヤギである銀は、痛む頭を押さえつつ三女ヤギの紅に人工血液を、四男ヤギの梨央にトマトジュースを与えた。
「それでは皆さん。私はお出かけに行ってきますので、危ない事はしないようにしてくださいよ?」
「ん? どこかに行くの銀——じゃねぇや。お母さん」
昴がくりくりした瞳で銀を見上げる。全員は幼児退行しているので、母性本能がくすぐられた。
銀は理性でそれを押さえ、笑顔で頷く。
「そっかー。じゃあ留守番しているよ。お母さん」
「ハイ。あと、皆さんに聞いてほしい事があるんですけどー。翔さんと空華さんは何で喧嘩を止めないんでしょうねリネさん止めてきてもらえませんか?」
「分かったですよ」
リネは空中からククリナイフを錬成してから、2人に攻撃を仕掛けて喧嘩を中断させた。
ぶーぶーと文句を垂れる2人。垂れてどうする。
「森から悪い狼さんが出てくるかもしれないので、私が『お母さんですよ』と言ったら開けるんですよ? いいですね? それ以外は開けちゃダメですよ」
「「「「「ハーイ」」」」」
「では行ってきます」
銀は扉を閉めて、1本道をスタスタとどこかに向かって歩いて行きました。
「でさぁ、狼なんて出てくるのかね?」
「蓮辺りが狼役として出てきそうだがな」
「現実を突きつけられたよ」
***** ***** *****
一方、狼の方はと言うと。
「うーん。お腹減ったな。何かねぇの?」
ディレッサが何と活動していた。
灰色のワイシャツに灰色のスラックス、そして頭には獣の耳までご丁寧に。ちなみにこの耳は、天谷が押さえつけて天音が装着させると言う荒技に出ました。
ディレッサは唇を尖らせて、生きたように揺れる獣耳に触れる。
「どうしてこんなもんをつけなきゃいけねぇンだろうな」
ディレッサはため息をついた。すると、それに合わせてだろうか、ぐぅと腹の虫が抗議を始めた。
再びため息をつき、辺りを見回す。
辺りはしんと静まり返っていて、鹿どころかウサギ1匹も通らない。
「くっそー、ルテオに言ってもう少し世界観をよくしてもらおうかな」
そんな簡単によくなる訳ないじゃないですか。何をおっしゃっているんですかねこの神様。
さてさて、そんなディレッサ狼の元に現れたのは1軒の小屋だった。窓から覗いてみると、そこには7匹も子ヤギが遊んでいる(1部険悪状態)
「うぉ。ヤギじゃんヤギ、ラム肉万歳」
意気揚々とした声で、扉を叩くディレッサ。
「誰ですか?」
リネが扉に向かって声をかける。
ディレッサは咳払いをしてから、何を言おうか首をひねった。はて、なんて言えばこの扉を開けてくれるだろうか?
素直に「食いに来た」と答えれば警戒して開かないどころか、中で険悪な状態を醸していた奴らに殺されてしまう。いや、実際に神様だから殺される可能性は限りなく0に近いが。
ちらりと見たところ、あそこには何と地獄業火(インフェルノ)を操る死神がいる。神様さえも燃やしつくしてしまうとされている炎をこちらに向かって放たれれば一たまりもない。
「何してんだよ、リネ」
そこで、昴がリネに言う。
「いえ、ノックが聞こえてきたから」
「お母さん以外がやってきても開けちゃダメだって言っていただろ?」
「だから誰ですかって訊いたんじゃないですか」
(なるほど。お母さん以外は開けちゃいけねぇのか)
にやりと笑う。
ディレッサは再び咳払いをしてから「お母さんですよ」と言った。
まぁそれがダミ声なのは言うまでもない。というか銀の声とは程遠い男の声だ。
「うん、お母さんじゃねぇや。紅、扉の向こうにいる奴を始末しちゃってくれ」
「お姉さんに任せなさいな」
窓から血の針を投げつけられ、危うく死にかけたディレッサは素早く退散した。