コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。7月7日は神威銀の誕生日! ( No.423 )
日時: 2012/09/17 23:13
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

 銀が泣くのは少しいただけない。
 俺は銀が好きだし、大切だ。だからこそ黒影寮に任せられるし、黒影寮と一緒にいてほしいと願う。それは、俺が隣にいられないという事もあるが、何より銀を笑顔にできるのはあいつらだけだ。
 だけど、銀を泣かせるのであれば俺は黒影寮でも殺す覚悟でいる。
 こちらの世界には亜種の皆さんがいらっしゃるが、それがどうした? それでも構わない。泣かせるのであれば誰であっても。

 銀を守る為なら、俺は。
 どんな悪人にもなれる覚悟はある。


第15章 皇高校ホスト部!!


 〜空華視点〜


 前衛としてリネ・クラサ・アイリス。後衛として夢折梨央。こりゃ反則なペアが来た。
 おそらく俺様達が戦った中では、前衛として最強なのはリネ。後衛で最強なのは夢折梨央じゃないかな。その最強コンビが今俺様達の前にいるって、神様恨んでいいですか。

「起きる事はないんだろうな?」

 翔は後ろで待機している悠紀へと問いかけた。
 悠紀は平然とした様子で答える。

「僕の催眠を解けたら、普通の人じゃないって考えてね」

 あぁそうかい。そうだったわ。お前って言葉使いだもんな。
 よし、それなら暴れられる——まぁ、この人達を傷つけない程度に、だけど。
 俺様はいつも使っている苦無ではなくて、小太刀を取りだした。こっちはあまり得意じゃないんだけど、やるっきゃない。

「……我流忍術——」

 深呼吸してから、俺は地面を蹴った。
 そして斬った。

「お了り空(オワリゾラ)!!」

「甘いですよ」

 ギィンッ! という音が耳を突き刺した。
 リネが想像で作りだしたサーベルで、俺様の刃を受け止めていた。これ、一応俺様の持ち技の中で速い技なんだけど!

「空華、そのまま押さえておいて!」

「昴?!」

 まさかの天井を駆けて来た昴は、リネの脳天めがけて青く輝いた足を叩き下ろした。

「氷——氷解(ヒョウカイ)!」

「甘いわ」

 昴が風によって吹っ飛ばされる。そのまま数メートルぐらい吹き飛ばされて、壁に叩きつけられた。
 夢折梨央がこちらに銃口を向けている。トマトジュースのブリックパックを吐き捨て、犬歯を剥きだして笑った。

「速さだけだったら勝てるとでも思った訳?」

「く、そ……ッ!」

 昴が舌打ちをした。
 俺様はリネを受け止めていたサーベルを払って、一時避難した。怖気づいた? 馬鹿言え。俺様が殺されちまう。
 何で逃げたかって言うと、こうなったからだよ。

「————テメェ、今何をした?」

 背後から襲ってくる、紅蓮の炎。一応理性はあるらしく、きちんと人をよけてはいるが窓ガラスは一瞬で空気に変わった。鉄も高熱で溶け始める。
 まぁね。『リヴァイアサン』は分かってないだろうね。俺様だって怖いからこういう事はしなかったのにさ。
 読者のみんな、翔のトリガーって分かるかい? 怒りのトリガーねそうそう。黒影寮が傷ついた、もしくは銀ちゃんが拉致されたってのも最近ではトリガーに含まれちゃいるけど。昔からある固定されたトリガーがある。
 それは、『椎名昴を傷つける事』だ。
 何かと昴に恩があるらしく、翔は昴を守ると決めたとか。曰く日本語を教えてもらった。曰く常識を教えてもらったなどなど。だからこそ、翔は昴を傷つけられるとこうやってキレる。この前、昴に殴りかかった馬鹿な不良さんがいたが、病院送りにされていたっけな。
 こういう事があるから、昴は昔からこう呼ばれている。『死神の従者』と。

「しょ、翔ちゃん。止めなって! 相手は人間だからダメだって——ダメだ、聞いてない」

 昴が翔の背中に叫ぶが、今回は相手が悪かったな。相手は俺様達と同じ能力者な上に銀ちゃんを狙う不埒な輩『リヴァイアサン』だ。
 おうおうおう。殺気がびんびん伝わってくるよ。気持ち悪くなってくるわ。

「ねぇ、空華。あれは止められないの?」

「止められないとは?」

「空華が前に翔が操られた時にやってたじゃん。金色の光っぽいの。できないの?」

 蒼空が俺へ問うてきた。
 あぁ、あれか。死神操術(サーリットコントロール)。死神を調教する為にある術ね。

「俺様が血反吐を吐いても平気だと言うのなら、迷わず使いますがどうしますか? それともあれ? 翔を殺しても平気?」

「ごめんなさい」

 ならよし。
 このまま翔の怒りが収まるのを待ちましょうかねぇ……ってそんな事も言ってられないか。
 しょうがない。俺様は蒼空の耳元に口を近づけた。

「いいか、昴に言っとけ。翔をこれから止めるから、多少の事は見逃せって」

「へ? え?」

「あ、一字一句間違えるなよ? 間違えたら——どうなるか分かるか、小僧?」

 一瞬だけ初代を出して、蒼空へと笑いかける。
 ビクーッ! と飛び上がった蒼空は、慌てた様子で「昴ぅぅぅぅぅあああ!」と叫んで行ってしまった。よし、これでおk。
 さて、さっさとやりますか。

「……死神操術」

 指先から金色の糸を垂らして、翔を拘束する。今度は縛りあげるような形ではなく、周りを柵で囲むような。これだと痛みは感じない。
 翔の鎌から発されていた炎は、二酸化炭素に入れられた如くフッと消える。おぉ、すごい。

「……どういうつもりだ?」

「昴が悲しんでいるところを見てもそう言えるのなら、俺様はお前に拷問を仕掛けるつもりでいますが」

 どうする? と問いかける。
 翔は舌打ちをしてから、

「もう落ちついた」

「そ。だったら昴のところに行ってあげてね」

 死神操術を解除して、翔を解放する。
 さてさて、まぁそうしたはいいけど、どうするかね? 一体この状況。
 正直言うと、俺様も迷いものです。リネは当然のように強いし、梨央も後衛ならそれなりに。

「……あー、どうするべきかな」


「それならば、私達がこの勝負を引き受けましょう」


 ザッと地面を踏みしめる音——おそらく20人はいるだろう。
 振り返ればそこには、

 鈴が呼び出せる神悪魔天使鬼の20名に死神、アカツキが立っていた。