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Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。7月7日は神威銀の誕生日! ( No.424 )
日時: 2012/09/22 23:29
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第15章 皇高校ホスト部!!


 〜空華視点〜


 銀の鈴が出せる神様悪魔天使鬼のメンツが勢ぞろい。その上、獄炎(ヘルプロミス)クラスのアカツキまでが出てくる始末。
 リネに至っては、ディレッサに対してトラウマじみたものがあるので、若干警戒している様子だった。

「あららららら? 何、銀の鈴が全員を召喚させるとかマジであり得ない。それほど焦っている系なのかな?」

 きょとんとした様子で、夢折梨央は首を傾げた。ライフルを肩に背負って、主に日出を睨みつける。
 対して日出はポリポリとその茶色い頭を掻き、

「んー、別に焦ってなんかいないよ? ただこの馬鹿どものせいで銀が泣いちゃってねー、ちょっと鈴がお怒りって訳よ。『泣かせる奴は親でも殺す☆』的などこかのバスケ漫画の主将みたいな台詞を吐いて瞳孔全開だったし」

 死神でも殺す勢いなんじゃないの? と日出はにやりと俺様達の方を向いて笑った。
 夢折梨央は面倒くさそうに顔をしかめると、

「……簡単には黒影寮を倒させてくれない訳。分かったよ、こっちも結構本気でやらないとまずいって事だよね?」

 ライフルを構え直し、夢折梨央はしゃがみ込んだ。安定させる為だろう。
 前衛としてリネ・クラサ・アイリスが両手に剣を錬成した。さすが創造主。

「久しぶりに出てきた訳だし、翔君を愛でていたいのだけど」

 ぶつくさとアカツキが文句を言うのを、天音が「仕方ありませんよ〜」とふんわりした口調で止めた。

「どうせなら、全てが片づいたら愛でてもいいのではないでしょうか〜? それなら銀様も鈴様も許してくれますよ〜」

「それなら僕は羅に会ってくるよッ!」

「羅様に極端に嫌われていらっしゃるのに、ものすごいポジティブ思考ですね〜」

 天音、笑顔で毒を吐く怖い神様。ズバッと正直に言われたキャスは、ズーンと地面に手をついてうなだれた。まさしくorzみたいな感じ。
 その隣に立っていた現が、チッと舌打ちをした。

「何で俺がこんなところに出てこなきゃいけねぇんだ? 面倒くせぇ」

「それは俺だって同じだよ、現よぉ」

 ディレッサが非ッッッ常に面倒くさそうな顔で言う。もう雰囲気からもだだ漏れである。
 現はそんなディレッサを見上げて「出番が多いくせに何を言ってんじゃ、この駄神!」と叫んだ。ディレッサは無言で彼の頭を殴っていた。
 ……いや、ごめんなさい。それを責めるなら私を責めてください。(by山下愁)

「ま、どうせ全部ぶっ潰すけどね。銀ちゃんが泣くと僕様だって悲しいし。ねぇハト?」

「分かっていますよ、紫月。それはみんなも同じ気持ちです。銀様は優しいですから、泣き顔はあまり見たくありませんので」

 ゆらゆらと頭を揺らす紫月と、その隣で微笑んでいるハト。

「まったくさぁ、面倒だから——まとめてかかってきなよ! 神様ども!」

「「「「「言われなくても!!」」」」」

 そして、神様達は夢折梨央とリネへと襲いかかった。

「行くですよ! ライオンに変身です!」

 ぴょんと飛び上がったのは、金髪のダメダメ天使・ラフレーだ。ライオンに変身するとか言っているけど、はたして大丈夫なのかな?
 くるくると空中で回りながら着地した彼女の体は————なんと、蛇になっていた。

「どうしてライオンに変身するつもりが蛇になっているんですかぁ!」

 蛇で嘆くラフレー。ダメだ、全然可愛くない。
 それを見たアカツキは、ひょいと蛇になったラフレーを持ち上げると、ぽいと天音の方へ投げた。

「その子、元に戻しておいて」

「アカツキさんはどういたしますか?」

「私? さっさとこの仕事を終わらせて翔君をなでなでするんだよ」

 空中から紅色の炎を噴出する巨大な鎌を取り出したアカツキは、獰猛な笑みを浮かべる。
 リネはそんなアカツキを見て何かを察知したのか、距離を取った。剣を構えたまま、ピタリと動きを凍結させている。

「んん? どうしちゃったのかな、そんなに怯えて。私は怖くないよ?」

「いえ、怖い訳ではありません。危険と判断したゆえに、貴方は敬遠する事になりました。今後一切かかわらないでしょう」

「あら、可愛いくせにスッパリと言っちゃう子なのね。でも私の萌えポイントはツンデレ黒髪だから」

 ピンポイントでこの少女容姿死神じゃねぇか——というツッコミは、心の中でしておこう。
 そんなアカツキを見た昴は、翔に一言。

「……翔ちゃんは今のうちに逃げた方がよくない? 銀ちゃんよりも先にアカツキさんにアブナイ事をされるよ?」

「……そうしたいのは山々なんだが……死神の追尾能力を舐めない方がいいぞ」

 目があるからな、と翔は言う。死神はスリーサイズまで分かる便利な目をお持ちなようだ、うらやましい。
 ものすごいうらやましいから、このまま調教してしまおうか? いいよな。いいよね!

「……黒影寮」

「ん? 確か、ヴァルティアとか言われていたよな! 守りの神様!」

 ひょっこりと姿を現したのは、長い赤髪を持った上半身裸の神様——ヴァルティアだ。
 ヴァルティアは守りの神様であり、体力と引き換えに強大なバリアを張れる事ができる。しかし、張った後は疲れてしまうので大量の食事が必要となるが。実は結構大食いなのだ。

「お前らが傷ついたら、鈴も銀も悲しむ。だから、守る」

 ポウ、とヴァルティアの手のひらに光がともった。それが徐々に広がって行き、巨大なドームが作られる。
 俺様達だけを包んでいるのではない。分散され、寝ている客にも同じようなドームがかぶさっていた。
 ヴァルティアはグッとサムズアップをして、

「ここに来る前、……鈴に、美味しいご飯をたくさん作ってもらった」

 あぁ、そうかい。戦闘準備は万端だったって事だね。
 透明なバリアの向こう側、リネと夢折梨央が戦っている。リネが相手をしているのは天谷、梨央が相手をしているのが日暮である。

「面倒くさい! 食らえ——『裏切り者には断罪を(トレチェリ・ギルティ)』!!」

 血のように赤い弾丸が、ライフルの銃口から放たれた。弾丸は日暮の頬をかすめ、バリアに当たって消滅する。
 日暮は自らの右手を自分の左手にやり、

「ダメージを拒否する!」

 何かが砕ける音が廊下へと響いた。
 日暮はにっこりと笑って、

「銀を泣かせる奴は誰であっても許さないの! 銀は、私達にとっても大切なんだから、なの!」

「そーだぜ。だから泣かせた罪は重いって事で」

 日暮を肩車した日出は、氷塊を手のひらでポンポンと投げていた。
 何だか、すごい戦いを見ているような気がするんだけどなぁ……。