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Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。連載1周年突破! ( No.449 )
日時: 2012/12/03 22:01
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
参照: ノートパソコンに変わったぜ! いえーい!

 ハァ、お久しぶりです。山下愁です。覚えておいでですか?
 実はですね、このたびパソコンの方がいかれちゃいまして、10分に1度はシャットダウンするという謎の壊れ方をしてしまいました。ついに臨終です。
 新しいパソコンを買ったはいいですけど、期末テストがすぐそこまで迫っていて、なかなか更新する事ができませんでした。
 もちろん、この時もそうですけど……テスト真っ最中なんですけど!

 それがどうしたって言うんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!

 いいじゃないですか、更新したって!
 いいじゃないですか、話を書いたって!!
 そりゃ成績下がりますけど!!!
 山下愁は今回も頑張っちゃいますよ、というわけでぇぇぇぇ!! 簡単なものを更新していきたいなと思います!


***** ***** *****

 どうか、この手で、もう1度。
 あなたを抱けたらいいのに。


 どうか この手で もう1度


 二条蒼空は、黒影寮に住まう高校2年生である。
 重力操作を得意として、みんなを盛り上げたりする盛り上げ隊長というかなんというか馬鹿である。馬鹿。

「いやぁ、恋っていうのは上手く行きませんね!」

「いきなり何や。アホ?」

 そんな不謹慎な事を言うのは、同じ黒影寮の住人である堂本睦月である。彼は超能力者だ。
 ズコーッ! とコーラをすすりながら、蒼空は、

「だってさ、俺ら銀ちゃんが好きなはずなのに、銀ちゃんはこっちの方へ向かないんだぜ? そこどう思うよ、堂本さん」

「知らんわ」

「言うと思った」

 蒼空はヘラリと笑いながら、再びコーラを口に含んだ。
 彼らが恋をするのは、同じ黒影寮に住まい、管理人代理として頑張っている銀髪少女、神威銀である。家庭的で、そして笑顔がとても素敵で、彼らは惚れた。
 しかし、彼女が恋をしているのはたった1人の——死神である。

 東翔。

 黒影寮の寮長である、炎の死神。

「翔に敵うと思うてん? あいつは炎の死神やぞ。敵う訳があらへんよ」

「そうだけどさ。でも納得いかないんだよ。翔はツンデレ俺様死神だよ? それなら俺の方が断然いい男」

「アホ。脳天がいかれているって言うのに、銀ちゃんが惚れるかい」

 酷ぇ!! と蒼空は叫びながら、睦月へ怒鳴った。
 最初から諦めている訳ではない。あの時、彼は1度だけ銀を抱きしめた事がある。
 下心があった訳ではない。断じて。これは銀を、安心させるようなための感じでうん。

「銀ちゃん、抱きしめたらいい香りがすると思うんだけど」

「変態や。変態がここにおる」

 黙れ、と蒼空は睦月に言ってから、ふと自分の手を見やった。
 もうずいぶん前の事だが、温かい体温が手のひらから伝わってきたと思う。銀の体には何もやましい事していない。だけど、女の子のぬくもりなんだなと知った。
 蒼空は戦争組というチームのリーダーをしていた。そこから転校してここまでやってきた訳だが、そのチームにも当然女の子はいた。怖いけど。
 小さくため息をつき、蒼空は残りのコーラをあおった。

「ゲプ」

「汚っ」

「うるせぇ!! 悔しかったらお前もゲップしてみろゲェェェエプ!!」

「汚ぇって! おい、コラ!!」

 睦月の声が背後から叩きつけられるが、そんな事も無視して蒼空は建物——黒影寮の中に入っていく。
 さて、今回のメニューをこなさなくては。今回は、何だったっけ?

「トラックでも潰してみようかな……」

 物騒な事を考えるが、これも立派な修行である。
 その時、彼の双眼はとあるものを映した。やましいものではない、かといってピンチの様子でもない。
 神威銀。
 件の、銀髪少女。

「あ、銀ちゃ————ん?!!」

 その光景を見て驚いた。
 なんか、銀はとてつもなく重く荷物を抱えていた。どうやら買い物帰りらしいが、誰も手伝ってやる様子はない。何故ならそこには誰もいないから。
 ふらふらと右へ左へ動きながらやってくる銀を、蒼空は腕を広げて抱きかかえた。

「ふわぁ?!」

 驚いたような声を上げる銀。そして蒼空の顔を見上げると、にっこりとした笑みを作った。

「蒼空さん、どうしたんですか?」

「いや、何でも。それより手伝うよ、それ持つよ」

「いいですよ。もうそこですし……」

「何言ってんの。俺は重力操作が得意な人間ですよー? こんな荷物を運ぶくらい、屁でもありませんー」

 にっこりと銀に負けないぐらいの笑みで返す蒼空。そして重量のある荷物の重さを操作して軽くする。
 まるで羽でも持っているのかと思うぐらいの重さにして、ふと蒼空は銀の方へ振り返った。

「あ、じゃあさ。これ運び終わったらご褒美ちょうだい」

「ご褒美ですか? アイスはダメですよ。お腹壊します」

「違うくって。そのね、えと……」

 銀に顔を近づけて、不敵に微笑みながら、


「ぎゅって、してね?」



 願わくば、この手で、もう1度。
 あなたを抱きしめてみたい。


 蒼空と銀ちゃん。時々睦月。ほのぼのでどうですか?