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Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。オリキャラ募集!詳しくは本文へ ( No.47 )
日時: 2011/10/31 21:35
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
参照: なんやかんやで参照が100を突破。すげ。

第4章 兄より吐き気。


「何だよ。あたしがイケメンの何が悪いんだ?」

「イケメンがイケメン嫌いなのが悪い」

「じゃあ好きになったらいいのか?」

「違うジャンルに異動させなきゃいけなくなるからそれも悪い」

 羅さんと翔さんの言いあいが続いて30分が経過しようとしていました。
 この2人、引く気配がありません。一体いつまで口喧嘩をしているつもりでしょう?

「……あーもう。うるさいな」

 これに耐えかねた悠紀さんが、つけていたヘッドホンを取り外し乱暴に立ち上がりました。
 がタンッと椅子が倒れ、二人の言いあいがストップします。
 悠紀さんはイラついた目で二人を睨みつけ、言霊を発動します。

「『二人の上に雷を落とせ!』」

「「させるかぁ!!」」

 翔さんは落ちてきた雷を鎌で吹き飛ばし、
 羅さんは雷を粒子レベルに分解して四散させました。さすがです。
 チッと悠紀さんは舌打ちをしますと、さらに言霊を発動させます。

「『土砂降りが降る!』」

「「無駄だぁ!!」」

 これには降ってくる前に、翔さんが高温で雨を蒸発させ、
 羅さんが頭上に現れた雲を分解させました。

「まだやるのか、悠紀。相手になってやるぜ?」

「来いよイケメン。あたしも相手してやるよ」

「……静かにしててよ。僕は新人賞に送る為に原稿を書かなきゃいけないんだから。喧嘩するなら外でやってくれる? あと面倒だから僕を巻き込まないで」

 悠紀さんはそれだけ言い捨てると、倒れた椅子を起こして座りました。そしてパソコンの画面に向かって、キーボードを叩き始めます。
 二人は顔を見合わせると、そろってため息をつきました。

「ビッチめ。見逃してやるだけ感謝しやがれ」

「ハッ。今度こそ返り討ちにしてやる。覚悟してろよイケメン」

 仲がいいのか悪いのか分かりません。
 羅さんはこちらを向きますと、思い切り抱きついてきました。

「あー、最高!! この身長差がたまらない!! 超可愛い!!」

「わぷっ。や、止めてください! 抱きつかないでくださいぃ〜!!」

 羅さんは私の言葉を無視して頬ずりを開始します。
 すりすりすり。すりすりすり。

「に、人形じゃないんですよ?!」

「分かってるよぅ。だって本当に可愛いんだもん。ねぇ、お嫁に来ない? 今なら3食首輪付きでご奉仕させるよ?」

「何ですかそれ?! どこの本の台詞ですか! ていうかご奉仕するではなくさせる?! 私にしろって言うんですか!」

「メイド服付きでもダメ?」

「ダメなものはダメです。私は黒影寮の管理人としての義務があります!」

 ドンッと胸を叩いて言います。
 羅さんは恨めしそうに黒影寮の皆様を睨みつけました。そしてもう1度私の方を見ますと、言います。

「じゃあ、ここに住む」

「なんて事を言い出すんですか?!」

「えー。いいじゃん。嫁の手料理が食べたい」

「嫁って!! 嫁って!!! 私とあなたは結婚できませんよ!!」

「性別詐称を起こせば問題ない。だって胸ないもん」

「お馬鹿ですか?!」

 羅さんには困ったものです。
 ですが、翔さんなら分かりますが副寮長である昴さんも反対してきました。

「お前を寮の仲間として迎える事は出来ないよ。だって英学園の生徒じゃないじゃん。だけど、お前にもちゃんと役割はあるんだよ?」

「役割って何だよ。爽やかイケメン」

 羅さんは昴さんを睨みつけながら言いました。

「学校での銀ちゃんを守る事。これはお前にしか出来ない事だよ。銀ちゃんはたくさんのイケメンや不細工に狙われてるんだ。俺らは寮で守るしか出来ない。君は学校でしか守れない。だったら協力し合うべきじゃない?」

 お、おぉ。馬鹿なはずの昴さんがまともな事を言いました。

「ちょっと銀ちゃん? 今まで俺を馬鹿だと思ってきた訳?」

「ハイ」

「実際馬鹿だし」

「俺より上だけど!!」

「蒼空さん?!」

 黒影寮って案外——?
 羅さんはむーっと考えていましたが、やがて納得したように頷きました。

「おーけー。協力してやるよ。一蓮托生だ、イケメン」

「そう考えてくれるとありがたいや」

 昴さんは笑いました。子供のように笑いました。
 羅さんは今にも吐きだしそうな蒼い顔を浮かべましたが、何とか飲み込んで我慢していました。偉いです。
 こうして、羅さんは私を守る事になりました。