コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。連載1周年突破! ( No.488 )
- 日時: 2013/04/29 21:59
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: RXnnEm2G)
断章 下剋上☆黒影寮!!
〜伊月視点〜
ハーイ、おこんばんわっしょい!
みんなのアイドル、神楽伊月ちゃんだよ。って言っても、分からないよね!
顧問に下剋上という名のいたずらを仕掛けている吹奏楽部で、ホルンの担当をしているんだ。勝手に吹いていろっていう言葉は聞きませんよ俺。
さてさて、今回は出張下剋上! あの有名な黒影寮との下剋上です、ハイ。
町を歩き回っていると、めるちゃんから連絡がきた。「その犯人は今、とあるマンションの1室にいる」との事だ。
なるほどね、マンションの1室か。どこのマンションか聞いてみたら、セキュリティ万全の高級マンションだった。ボンボンか、うぜぇ。
「……ねえ、優月。俺さっそくムカついてきたんだけど、殺人起こしても怒られらないかな?」
「警察にお世話になってもその事実を捻じ曲げる事ができるなら俺は止めないがな」
優月から辛辣な台詞をいただきましたー、えへへ。
分かりましたよ頑張りますよ俺。殺さない程度で人に迷惑をかけないような。
かといっても、銀を救う為の事だからなぁ……何をしようかな。
「めちゃくちゃ鬼畜ないたずらをしてやろうかと思う」
そういう訳で、黒影寮に待機してもらっているめるちゃんに電話をかけた。
電話に出ためるちゃんに「悪いけど、寮長さんに代わってもらえる?」と言って、寮長の東翔さんに代わってもらう。どういう力を持っているか分からないけど、場所を把握するぐらい簡単でしょ。
「——そのジジイの住所と名前を教えてもらえません?」
***** ***** *****〜視点なし〜
何故かめるのもとへ電話がかかり、そして翔に渡されたので首を傾げながら電話に出ると、男の住所と名前を教えてほしいとの事だった。
翔は不思議に思ったが、調べた男の住所と名前を教えてやったのである。
名前は田中三郎汰(タナカ/サブロウタ)。高級マンションに1人で暮らしている、変態の男だった。ロリコンという異常な性癖を持っている。
「……一体何をする気なんだ?」
「……伊月は、その男にいたずらする」
めるの淡々とした声が、食堂内を突き抜けた。
怪訝そうに眉を顰め、昴が問いかけた。
「いたずらするって、見ず知らずの男に?」
「伊月は怖さなんてない。それに優月いる。……絶対に、後悔するようないたずらする」
その時、軽快な着信メロディが食堂に響き渡った。何だと思って電話に出てみると、いきなり笑い声から始まった。
『ブッフォwwwwwwwやばいwwwwやりすぎたwwww男の人www服返してくれたけどwwwフヒィww』
電話に出たアリスはいきなり電話を切りたくなったが、我慢した。
相手は伊月。何故かげらげらと笑っている。服は取り返したらしいが、何故か笑っているのである。何で笑っているんですか。
「……伊月君、経緯を話してくれるかしら? 今まで何をしていたの?」
『いwwwwたwwwwずwwらwwですww』
「……笑わないでくれる? シャイニングウィザードをお見舞いするわよ。あんたの従妹ちゃんの銀ちゃんから」
『止めてください切実に』
声が真面目に戻ったので良しとしよう。
後ろで銀は「え、私ですか? しゃいにんぐうぃざーど?」などと首を傾げていた。格闘技は分かりませんか。
何やら不思議そうな顔をしている黒影寮を尻目に、アリスは伊月から話を聞いていた。
***** ***** *****〜伊月視点〜
住所を手に入れた俺は、さっそく田中氏の家まで行こうと思う。
さてまぁ、オートロックなんだがどうしよう? と悩んだところで、正攻法で行く事にした。
普通に田中氏の部屋の番号のインターフォンを鳴らして、俺はなるべく声を低くしてマイクに向かって言う。
「えー、ごめんください。宅配便です」
『え、ちょ、宅配便なんか頼んで……ちょっと、一体なぁに?』
ん? なんか女の人の声が聞こえてきたけど。え、まさか彼女持ち? 独身男性じゃないの?
速報。1人で暮らしていると思ったら、彼女がいました。そして現在、彼女が来ています! やばい、これは笑うしかないでしょ!
そしてこの瞬間を使えると思ってしまった俺に、幸運が舞い降りる。なんと、ガラス戸が開いたのだ。女性が『宅配便さん、いいですよー』なんて言ったからだ。GJ! 疑わない女性は好きだぜ。
優月と燐、そして付添できていた理乃先輩と美姫ちゃんと顔を見合わせて、俺らはマンションの中に侵入した。いえーい。
エレベーターに乗り込み、6階のボタンを押す。そこに住んでいるらしい。きちんと部屋番号も覚えた。そしていたずらの内容も俺がきちんと考えた。
「……いいですね、理乃先輩」
「構いませんわ。こんな楽しい事に参加できるんですもの、全力を尽くしませんと」
にっこりと満面の笑みで言う理乃先輩、マジドS。
俺は少しだけ理乃先輩に対して恐怖を抱いたが、彼女のいいところだ。うん。きっとね。
さて、6階にたどり着き男の住まう部屋のインターフォンを改めて押す。女性の声が部屋のドアから聞こえてきて、「ハーイ」と答えてドアを開ける。あ、若い女性。
ブロンドの髪がきれいな女性に理乃先輩は微笑みかけて、「お邪魔しますわ」と断りを入れてからずかずかと部屋に侵入。
「ちょ、一体何なんですか?!」
「お嬢様、お待ちくださいなのだ!」
「構わないで! わたくしは、この男に誑かされて……! 夜のうちにあんな事やこんな事を……!」
迫真の演技すぎるわ、何この子ww
俺はその様子を優月と燐で覗き見ながら、笑いそうになった。吹き出したらダメだ。吹き出したらダメだww
「なあ、これは俺らどうすればいいんだ?」
「……とりあえずコーラ買ってきて」
「炭酸飲料水なら作れますけど?」
「飲めなくていいよ。作って」
「顔溶けますよ?」
「やっぱり無害なもので」
燐に頼むとあら不思議、非公式なコーラが出来上がりました。何でやねん。しかも空気入っているからそのまま振って開けたら飛んでいくよね。
これを優月に持たせます。
振らせます。
しゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃか……とやる事数十秒。何故かゴゴゴゴ、と音を立て始めたその液体。何これ?
「じゃ、あの部屋に特攻」
「了解」
慌てた様子だったのか、女性は鍵をかけていなかった。ダメだよー。
俺はドアを静かに開けて優月を侵入させる。ついでに俺も侵入。燐は誰か来ないか待機。
「酷いわ! わたくしよりも、この女を取るんですの?!」
「ちょ、一体何を——」
俺は理乃先輩が昼ドラを繰り広げている間に、銀が盗まれた服を探す。
あった。袋にきちんと入っていた。それを回収し、優月にコーラもどきをかけろと命令。
「ハイ、どいてどいてー」
理乃先輩と美姫ちゃんを押しのけて、優月はぽかんとしている男に向かってコーラもどきを噴射。
「ぶわぁぁぁ?!! 何これクサッ! クッッッサ!!」
「ふはwwww」
臭いんだ、あれ臭いんだww
女性はそんな悪臭がする男の胸倉を掴んで平手打ちをかまし、「別れる!」と言って出て行ってしまった。
わぁ、ついでに女関係にも終止符をうっちゃったやべえwwでもざまぁww