コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。連載1周年突破! ( No.489 )
- 日時: 2013/05/06 22:36
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: RXnnEm2G)
- 参照: コラボはこれにて終了!
断章 下剋上☆黒影寮!!
〜銀視点〜
従兄の伊月が来ていると思ったら、私が買った服を取り返してきてくれました。アリスさんが頭を抱えていましたが、何かあったのでしょうか?
ともかく、伊月には感謝をしなくてはいけませんね。
「ありがとうございます、伊月」
「どってこたないよ。いつでも頼ってくれていいんだぜ?」
普通の人代表と言ったら伊月ですからね、私にとっては安心できるオアシスです。
羅さんが伊月を睨みつけて、「テメェ銀ちゃんと馴れ馴れしいんだよ!」と叫んでました。確かに馴れ馴れしいですけど、家族ですよ? 血のつながりはありますよ?
すると、伊月は満面の笑みで、
「銀の友達だっけ? あ、従兄の神楽伊月です。これからも妹をよろしく?」
「こちらこそよろしくお願いします」
態度を変えすぎです。確かにですね、私と結婚すれば伊月ともつながりを持つ訳ですけど。いえ、しませんよ? ここを百合小説にする気はありませんよ?
白亜さんもリネさんも「そうですか」なんて言っていました。それでいいんですか。私、伊月とあまり容姿は似ていないんですけど。あ、でもよく目は似ていると言われます。
まぁ、伊月がどうやってこの服を取ってきてくれたのかは詮索しないようにしましょう。怖いですし。
「……とまぁ、今日は楽しめたし銀にも会えたし。帰ろうかな」
「帰るんですか? ご飯でも食べて行けばいいじゃないですか。作りますよ?」
「んにゃ、今日は親父が帰ってくるんだ。姉貴に料理を作らせたらたまったものじゃないから、俺が代わりに作る事になってんの。そういう訳だからさっさと帰らないと本気で泣かれる」
まぁ、伊佐美さんは伊月厨ですからね。息子離れできるんでしょうか。
そんな事を思っていますと、外から怒声みたいなのが聞こえてきました。誰でしょう? と思って外に出ると、そこには服をひったくった男の人が!
名前は田中さんです。怒っている様子です。
「この野郎! お前らがこの洋館に入っていったのは分かっているんだぞ! 出てこい!」
「誰だ、誰のことを言っているんだ?」
翔さんが首を傾げていましたが、伊月は「気にしなくていいんじゃないですか?」と言っていました。
「そんじゃ、黒影寮の皆さん! これからも銀と仲よくしてやってください、お願いします! あ、でも泣かせたりしたらどうなるか分かりますか? 下剋上して後悔させちゃいますんで」
にっこりと笑って、伊月は外に出て行きました。お友達の皆さんも、それについていきます。
せめて駅まで送っていきましょう、と思って、私は翔さんに断りを入れてから黒影寮を出ました。そしたら全員ついてきました。何で?
田中さんが伊月を見つけますと、
「おい、お前だよ!」
伊月の事を突き飛ばしました。伊月は地面に尻餅をつきます。完全に不意打ちだったので。
な、さすがに私でも許せませんよ!? 伊月は不思議な力なんて持っていない普通の人間なんです。そんな人を突き飛ばすなんて一体どういう了見をしているんですか。
私は鈴に呼びかけようと思いましたが、そこで気づきました。この人には不思議な力が一切効きません。
「おい、お前! こいつに一体何をして——」
「大丈夫です、昴さん」
テコンドーが得意な昴さんが前に出ましたが、伊月が止めました。
伊月は地面から立ち上がり、お尻を叩いて土を落としました。それから、
「おい、死神。やれ」
何かに命令するように、言いました。
死神、でしたので翔さんが「え、俺?」と首を傾げていました。翔さん、炎に死神ですからね。でも、そこまで私は言っていませんが。不思議な力を持っているとだけは言いましたが。
違いました。動いたのは別の人——背が高くて、目が赤い帽子を被った人でした。片手にゲームを持っていました。
「伊月、人遣いが荒いな」
確か、名前は優月さんだったような気がします。
飛び蹴りで田中さんを吹っ飛ばした優月さんは、携帯ゲームの電源をスリープモードにしますと、伊月に渡しました。
「病院に行かせる程度でな。マジで死にたくなるような奴はこれからだ」
「ていうか、何で俺に任せる訳……面倒くさい」
「今度いいゲームを教えてやるから」
「だったらやるわ」
優月さんはゲームで懐柔され、地面にうつ伏せになる田中さんへ近づきました。
田中さんはヒッと悲鳴を上げました。
「お、あ、お前は……しし、死神!」
「あれ? ここでも有名なの俺。あ、そういえば20人ぐらいやったっけ……」
優月さんは面倒くさそうに髪を掻き——ていうか、死神ってあなただったんですか!
それから瞬殺でした。卍固めで気絶させました。早いです。
「……ねえ、伊月。これどうするの?」
「んー?」
伊月はにっこりとした笑顔で、気絶した田中さんの襟首を掴みました。
「おい、起きろよ豚野郎」
「ぶ、ひ」
平手で叩き起こしました、鬼ですか。しかも満面の笑みでやるんです、それを。
さすがのリネさんや梨央さんも「それはない」と言いました。あなた達、元は敵ですよ?
「くっはwwwマジで豚の鳴きまねをしやがった。何? プライドとかどうでもいいの? いやいや、ここで沈んでもらったら困るよ、ここから楽しい事の始まりなんだからさ! 盛り上がって行こうよおじさん。気持ちよくイカせてやるからさぁ」
田中さんを無理やり立たせますと、んっん、と咳払いをしました。
何をするんでしょう? と見守っていますと、伊月はメイドさんの方を向きました。確か、美姫さんです。
「……鬼さんこちら、手の鳴る方へ」
パンパン、と2回手を叩きます。
すると、美姫さんは震えだしました。
「その台詞を言うのは誰だぁぁぁぁぁぁぁ地獄の底まで追いかけてやるぅぅぅぅぅぅぅぅううううううううううううううううううう!!!!」
「さぁ田中氏! 鬼ごっこの始まりだ、死ぬ気で逃げろ!」
「てか何で私達まで巻き込まれる訳!?」
「あはははははははは!!」
伊月は笑って去っていきました、皆さんと。
最後の方、「じゃーなー」と言っていました。帰りましたよね、きっと。