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Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。連載1周年突破! ( No.494 )
日時: 2013/05/20 22:11
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: RXnnEm2G)

第18章 今日、私は告白をします


 まず第1のプログラムですが、しょっぱなから100メートル走が始まります。
 出るメンバーは蒼空さんと昴さんと空華さんのようですね。黒影寮でも1、2を争う運動神経の良さを誇る2人がさっそく登場です。
 え? 黒影寮で1番運動神経がいい人は誰だって?
 分かりました。ランキング形式でご報告します。

 頭のいい人ランキング
 1位 東翔
 2位 王良空華(理系に限る)
 3位 月読怜悟
 最下位 二条蒼空

 運動神経のいい人ランキング
 1位 椎名昴
 2位 王良空華
 3位 東翔&二条蒼空
 最下位 祠堂悠紀

 家事が得意な人ランキング
 1位 王良空華
 2位 東翔&椎名昴
 3位 国枝つかさ
 最下位 祠堂悠紀(ていうか何もやらない)

 こんな感じです。あれ? 全部のランキングに翔さんと空華さんの名前がありますが。
 翔さんは大体オールマイティです。ずば抜けて頭がいい感じですけど。空華さんは下にご兄弟がたくさんいますし、家事はできて当然ですよね。なのにランキング全部あるんですけど。
 王良家の当主様って全部できなきゃいけないんでしたっけ?


「ひっくしゅ。誰だ、俺様の噂をしているのは」

「風邪でも引いたか?」

「ていうか、鼻水垂れてる。拭け拭け」


 そんなこんなで選手入場です。
 て、あれ? 昴さん……1番速い人達と当ってません? 大丈夫でしょうか? 重力制限がなければ確実に勝てますが……大丈夫ですか!?

『位置について、よーい!』

 パァン! というピストルの音が青空に響き渡ります。
 1番目に走り出したのは蒼空さんです。重力操作がかけられているのにもかかわらず速いです! 5人と走っていたのですが、一気に追い抜いて1位でゴールしました。
 そういえば、戦争組といういたずら集団では警察さんから走り回って逃げていましたっけ? うーん、悪い事をやっているんですけど、どうしてもすごいと思ってしまいます。


「ひっぐし!! うへ、俺もくしゃみ出てきた……空華の事を馬鹿にできねえな……」


 何でくしゃみをしているんでしょう?
 さて、第2走者と第3走者で知らない人達が走りまして、第4走者で空華さんがスタートラインに立ちました。
 え、あれって……陸上部の人がいますよね? あれって大丈夫なんですか? 高校生新記録を作った人ですよね!?

「……うーん、空華君も体力が人並みに落ちていなきゃよかったんだけどね」

「大丈夫でしょうか……」

「でも昴君にすぐ抜かれていたなー」

 とか言っていました。え、そんな速い人と走るんですか!?
 ハラハラしながら見守る第4走。スタートしました。

「あ、」

 相手が陸上部だろうと、空華さんはやっぱり速かったです。
 なんて言いますか。忍者だからという理由は使えません。何故なら、呪いをかけられて身体能力が人並みに落ちているんですから。
 でも、空華さんは速かったです。陸上部で活躍していたんですか? と訊きたくなるぐらいに。

「いえーい」

 空華さんは先にゴールしていた蒼空さんとハイタッチをかましました。
 それから私が見ている事に気づいた空華さんと蒼空さんは、こちらを見て満面の笑みでVサインを作りました。思わず私も微笑んで、Vサインを返します。可愛らしいです。
 そして最後の走者がやってきました。黒影寮のスポーツマン、椎名昴さんです。って、え!?

「安心院寮の焔さんもいるじゃないですか! だ、大丈夫なんですか?!」

 発火操作(ファイアクェイク)と呼ばれる炎の力を持つ安心院寮所属の人、焔さんが昴さんの相手です。
 だ、大丈夫でしょうか?
 お兄ちゃんもなんだか顔をしかめています。相当まずいんでしょうか?

「焔君は結構足が速いよ。なんていうか、空華君が相手した陸上部の奴よりも」

「……能力者ですから足が遅くなっているという訳はないんですか?」

「多分その枷はついている。だけど、昴君と同じように重力制限がついているかと訊かれたらそうじゃないんだよ。発火操作は確かに異能の力だけど、重力を操作して使えなくできる代物じゃない」

 おそらく、あれは能力封印と運動神経が人並みに落ちる呪いがかけられているんじゃないかな? とお兄ちゃんは予測を立てました。
 私は胸の前で思わず手を組んでしまいます。
 どうか、どうか昴さんを勝たせてあげてください……。

『位置について』

 運命の瞬間が近づいてきます。

『よーい』

 パァン! というピストルの音。
 選手は走り出します。最初に躍り出たのは焔さんです、その後ろに昴さんがついていきます。

「…………昴さんっ…………!」

 頑張ってください、と言う前に、昴さんがスピードを上げました。ぐんぐん上げて焔さんを抜かします。
 1位でゴールしました。すごいです、昴さんすごいです!

「お疲れー」

「うん、めっちゃくちゃ疲れたー」

 空華さん、蒼空さんとハイタッチをした昴さんはこちらを振り返り、Vサインをして見せました。表情は子供のような屈託のない笑みを浮かべています。
 昴さんらしいと言えば、昴さんらしいです。