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Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。連載1周年突破! ( No.516 )
日時: 2013/09/23 22:13
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: RXnnEm2G)

 ハーイ、今回もやってきましたお祭り騒ぎ☆
 今回のお題を提供してくださった方は、常連さんのkyon様です。ありがとうございます!

 それではさっそく書いて行こうと思います。
 これ……かなりの修羅場になるんじゃないんですか? やばそうです……ww
 タイトルコール!


 もしも銀ちゃんに彼氏がいたら!!!


(兄:白刃の場合)


「お兄ちゃん、彼氏ができました!」

 ピシッと白刃の持った白磁のティーカップにひびが入る。
 突如として告げられた、妹の衝撃的事実。彼氏ができました。
 過去に創造主の男に狙われたという経歴を持つ銀が、まさかの彼氏ができました!! これは一大事である。下手すれば、銀の不思議な力を使って世界征服を企むかもしれない。
 白刃はそっとカップをソーサーに戻してから、ゲン○ウポーズで問いかけた。

「……彼氏君は、どんな人なんだい?」

「? 普通のクラスメイトですよ。不思議な能力も持っていませんでしたし。『俺に毎日味噌汁を作ってくれないか?』って言われました!」

「それプロポーズだよね!? プロポーズだよね!! お兄ちゃん認めませんからね!!」

 どこの馬の骨とも分からない男にプロポーズされて、そして流れるように彼氏を作るとかうちの妹マジ小悪魔。つか鈍感すぎる天使だ、これ。
 銀はきょとんとした様子で首を傾げているようだが、告白の意味が分かっていらっしゃらないのだろうか。
 とりあえず、白刃がやる事はただ1つ。

「珊瑚母さんに電話するよ……」

「え」

 お赤飯炊かなくては、と思うのだった。それと元々黒影寮の管理人である珊瑚へ電話を。
 きっと彼女からは『お土産はウエディングドレス(特注)でいいかしら♪』とか言ってきそうだから、それは謹んでお断りしたい。

***** ***** *****

(もう1つの人格:鈴の場合)


「鈴、鈴!! 聞いてください!!」

 部屋に入ってくるなり、姿見に話しかける銀。どこか興奮した様子である。
 ちょうど部屋で神様たちと戯れていた鈴は、銀の声を受けて「どうした?」と声をかけた。
 その銀から放たれた台詞は、予想をしていないものだった。

「私、彼氏ができちゃいました!」

 ピシィッ!! と鈴は石化する。
 え? 彼氏? 彼氏ってボーイフレンド? KARESHI!?
 え、マジで本当に彼氏を作ったのこの子? 嘘とかついてないよね。あぁでもこの子は素直さ1000パーセントだからな、嘘なんかつけないよなエイプリルフールはとっくに過ぎ去った。
 なんてこったい。鈴は額を押さえて、銀に問いかけた。

「彼氏の写真とか、ある?」

「ありますよ」

 ハイ、と銀に見せられた写真は、クラス集合写真だった。写真の右端に乗っている、真面目そうな男の子だった。
 なるほど。彼は勇気を出して、銀に告白をしたのだな。皇高校のマザーと呼ばれる銀に、夫(と言う名の彼氏)ができてしまったのか。

「銀はさ、後悔はしない?」

「何がですか?」

「もし、その子が浮気とか……。する可能性も無きにしも非ずじゃない? それを踏まえて、彼と付き合おうという結論に至ったの?」

 まっすぐに漆黒の瞳を見やれば、銀は少し考えるようなそぶりを見せてから、頷いた。

「私は、彼を信じます。彼は私を愛してくれるのなら、私は全力でその愛に答えたいと思っています」

「…………そっか」

 もう何も言わない。言えない。鈴はにっこりと自然を装って笑い、「じゃ、俺はこれから神様たちにご飯やってくるわ」と言って鏡から離れた。
 そっと姿見に、この姿が見えないように布をかけて、頬を涙で濡らす。

「————鈴、泣いてんのかよ。だっせ」

「うるせぇ、ディレッサ」

 どこぞから狩ってきた魂を貪りながら、ディレッサはハッと笑った。
 ディレッサを睨みつけてから、鈴はそっと言葉を紡ぐ。

「————幸せになれよ、銀」


 俺では、貴女を抱きしめる事なんてできないから。

***** ***** *****

(いつでも銀をロックオン☆:黒影寮の場合)


 それは、食事の時間だった。
 何気ない蒼空の質問だった。

「銀ちゃんってモテそうだよね! 彼氏とかいるの?」

 いねーだろ、こんな天然についていけるような男は、と黒影寮は高をくくっていた。
 が、もぎゅもぎゅと白米を頬張っていた銀は、きょとんとした様子で答えた。

「いますよ?」

 ————ブッ。
 みんなして吹き出した。翔は味噌汁を、空華はお茶を、昴は白米が鼻に入ったらしく鼻を押さえてむせていた。
 え? 今なんて?

「今日、彼氏ができたんです」

「空華、命令だ。今すぐ時間をさかのぼる呪いを完成させて、銀の彼氏を特定しろ」

「了解」

「怜悟とつかさは刀とナイフを研いでおけ。昴、ウォーミングアップをしてこい。蒼空、リデルをつれてこい」

「「「「「了解」」」」」

「え、ちょっと!? 何でそんなに殺伐としているんですか!?」

 何で彼氏の話をしただけでこんな殺気を放出するんだろう?
 すると、黒影寮の奴らは全員口をそろえて告げた。目は完全に悪者のそれだった。

「決まってんだろ」

 翔がにやりと笑う。



「「「「「彼氏にちょっと挨拶をしにいかなきゃねー☆」」」」」



 挨拶と言う名の地獄旅行が始まります。