コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。オリキャラ募集!詳しくは本文へ ( No.52 )
- 日時: 2011/11/05 14:16
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
- 参照: なんやかんやで参照が100を突破。すげ。
第5章 しにがみのデート。
「ん。美味い」
「……ハァ、そうですか」
翔さんに連れてこられた場所は、何とも可愛らしいお店です。お客さんは9割近くが女性。
その中に翔さんは、自分の身長を超すのではないのかというぐらいに大きいパフェを、ものすごい嬉しそうな笑顔を浮かべて食べていました。
私はついでに頼んだコーヒーをすすります。
「あの、翔さん。どうしてそんな甘いものが食べられるのですか?」
「悪いか?」
「話がかみ合ってません。どうして食べれるのですか、と訊いたんです」
翔さんはバニラアイスクリームを口に運びつつ、答えてくれました。
「好きなんだよ、昔から。糖分を1日1回は摂取しないといらつく」
「そうなんですか……」
どこの漫画の主人公ですか。
「コーヒーとか無糖じゃ飲めない。砂糖たくさん入れないと嫌だ」
「そうなんですか?」
意外な発見です。苦手なものは女子だけかと思いましたが、案外苦いものが苦手な方なんですね。
可愛らしいところもあるじゃないですか。白亜さんの言葉で言うと、『ツンデレ』でしょう。
「何かよからぬ事を考えてるな?」
翔さんがビシッとスプーンを突きつけてきました。先端からは炎が少しだけ出ています。
長いものを媒介とすれば、何でも鎌に出来てしまうのでしょうか?
「と、ところで、翔さんって女の子が苦手なんですよね?」
「あぁ?」
「え、だって私はビッチって言うじゃないですか。それを聞く限りだと女の子が苦手としか言いようが……」
するとそこへ、グッドタイミングで女子高生が私達のもとへ来ました。
いわゆる、逆ナンです。
「あのぉ、よろしければご一緒にお茶しませんかぁ?」
女の子らしい仕草、とでも言いましょうか。顎に手を当ててニッコリとほほ笑みました。後ろにいる女の子も翔さんの事が気になるようです。
そうですよね。翔さんは女の子らしい容姿をのぞけばかなりのイケメンさんですから。羅さんは嫌ってますけどね。
翔さんはくわえていたスプーンをパフェに突っ込むと、
「女ぁぁぁあああああ!!!」
絶叫して机の下にもぐりこみました。
私と女子高生、唖然です。
「ちょ、翔さん? ここ、お店ですから。叫ばないでくださ——」
「女は来るな反吐が出るぅぅ!!」
昴さん助けてください。翔さんが暴走しております。
女子高生は何が何だか分からない、という顔を浮かべて翔さんから離れて行きました。
翔さんはそれを見計らうと、机の下から出てきてまたパフェを食べ始めます。
「あの、翔さん?」
「何だ」
あれだけ叫んでいたのに俺様の様子は変わりませんね。
……って、待ってください。
「私、女ですよ?」
「それが?」
平然と翔さんは首をかしげます。
あれぇ? 私、女ですよね。でしたら何で、翔さんは逃げて行かないのでしょうか?
「テメェは管理人だろうが。何で逃げる必要がある? もう慣れた、テメェという存在だけは」
「でも、私は女ですし……。あ、もしかして女らしくないですか?」
「嫌いだけど慣れちまったからビッチと呼んでいるだろうが」
理由が分かりました。私がビッチと呼ばれていた理由が。
くだらない理由ですね。
「……おい、ビッチ」
「もう。そう呼ぶのは止めてくださいよ。せめて他の奴なら——むぐっ?!」
口の中にスプーンを突っ込まれました。
舌の上に広がる、濃厚なバニラアイスクリームの味。とても美味しいです。
「ここ、パフェが美味いって評判だったんだ。1度来てみたかったけど、女だらけだし。昴に言うのもなんか癪だし。だから付き合ってもらっただけだ。美味いだろ?」
翔さんはニッコリと笑いました。いつもの翔さんからは想像できない笑顔です。
私も思わずほほ笑み返しました。
「そうですね。美味しいです」
「てな訳でテメェが金を払っておけよ」
「ちょ、何でですか?! 納得できませんよ!!」
「冗談に決まってるだろ。付き合ってもらった分、おごる」
何でしょうね。いつもの翔さんじゃないような感じがしました。