コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。オリキャラ募集!詳しくは本文へ ( No.53 )
- 日時: 2011/11/06 21:44
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
- 参照: なんやかんやで参照が100を突破。すげ。
第5章 しにがみのデート。
翔さんはあの大きなパフェを食べて満足したのか、ニコニコとした全開の笑顔を浮かべて店から出ました。
本当に翔さんはコーヒーをおごってくれました。どういう風の吹き回しでしょうか?
「よし。じゃあ帰るぞ」
「あ、待ってください。私、お買い物をして帰らなければならないので! 先に帰っていてください!」
そうでした。冷蔵庫の中身が空っぽになりつつあるので、材料を買ってこなければ!
私は頭の中で必要なものを考えていますと、翔さんが声をかけてきました。
「どのぐらい買うんだ?」
質問の内容がよく分かりません。
「だから、材料はどのぐらい買うんだって訊いてんだよ。頭悪いのか?」
「なっ! 悪くありません、普通です!!」
「だったら素直に答えろよ。おら、どれぐらい買う必要があるんだ?」
腕を組んで翔さんは問いかけます。
えーと、黒影寮の皆さんは結構食べますからそれは大量に買っておかなければなりませんが……。
今日のメニューはカレーにするつもりなので、他の材料をそろえるのは別に明日でも構わなさそうです。カレーなら2、3日持ちますし、カレーうどんとか作れますし。
私の話を聞き終わった翔さんは、1度だけ頷きました。
「じゃあ行くぞ」
「ほえ?」
思わず気の抜けた声を発してしまいました。
あの、一体どういう事でしょうか?
「だから決まってるだろ。材料をそろえに行くんだよ」
「ほぇ?! 一体どういう風の吹き回しですか? 翔さん、何か悪いものでも食べましたか?!」
翔さんがこんなに優しいとは思いませんでした。いつも天上天下唯我独尊で行く翔さんとは考えられません。
「別にいいだろ。今日は特に気分がいい。仕事もないし、余計な奴らも出てこないしな」
「は、ハァ……。そうですか。私には分かりかねますが」
というか、私はトラブルの渦中にいるんですよね。黒影寮の皆様には迷惑をかけてばかりです。
翔さんはそんな私にチョップをしてきました。
「落ち込んだような顔をするな。別にテメェを悪く言ってる訳じゃねぇんだ。テメェを守るのも俺ら黒影寮の仕事——テメェは管理人としての役目を果たしてくれればOKだ」
「そ、そうですか……? 私はただ『弱い』としか考えられない——」
「そうだな。テメェは確かに弱い」
ズキリ、と胸が痛みました。
やはり、私は迷惑をかけているんです。弱いから、迷惑を——。
「だが、それがどうした? 弱い奴にも力はある。もちろん、テメェだってそうだろ? 弱いんなら前線に行く事はねぇ。サポートするって方面もあるだろ? 強いんなら戦い、弱い奴を守る。弱い奴は自分の持てる力を以てして、強い奴を支持する。ギブアンドテイクって奴だ」
確かに、それなら私にも出来るかもしれませんが……。
「だから、テメェが弱いんなら俺らをサポートしやがれ。ビッチ」
翔さんは私の額にデコピンを打ちこんできました。
鋭い痛みが私の額を襲います。うぅ、何だかムカついてきました。
「何でですか! 私には神威銀という名前があるんですー! ビッチって呼ばないでください!」
「ビッチビッチビッチ〜♪」
「翔さぁぁあああん!! もういいです! 翔さんのご飯はカレーにピーマン入れてやります!」
「ま、待てテメェ!! それだけは寮長として見過ごせない!!」
「翔さんがピーマン嫌い名の知ってるんですよー。昴さんに聞きましたし」
「あんの馬鹿野郎……。帰ったら締める!」
ギャーギャーと騒ぐ私達を見る影に、
私は、まだ気付かなかったのです。