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Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。連載1周年突破! ( No.542 )
日時: 2014/01/20 21:48
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: RXnnEm2G)

第19章 進撃の巨人〜ヒーローと死神がやってきた〜


 〜基本視点なし〜


「そんじゃ、少しの間でしたがお世話になりました」

 ペコリとヒーロー・昴が頭を下げる。隣に立っていた死神・翔はどうでもよさそうな顔をしていたが、ヒーロー・昴に無理やり頭を下げさせられた。
 ゴキィ! という音と共に、死神・翔の頭が無理やり下げられる。これは痛い。
 ギロリ、と死神・翔はヒーロー・昴を睨みつけ、そして流れるように胸倉を掴んだ。

「首の骨折れたぞ、どうしてくれる」

 見れば、死神・翔の首は不自然な方向に曲がっていた。
 ヒーロー・昴は「あー、悪かったな」と適当な事を言って、死神・翔の頭をがっしりと掴んだ。そしてゴキィ!! ともとあった位置に戻す。悲鳴が聞こえたのは言うまでもない。

「痛いぞクソ野郎!」

「治してやっただけ感謝しやがれ軟弱野郎!!」

「貴様の力は見境なく相手を傷つけるのだから気をつけろ馬鹿野郎!!!」

「喧嘩は止めろよな!! 何でこっちの翔と昴は仲が悪いんだよ!!」

 蒼空がやれやれ、とでも言うかのように肩をすくめた。
 何故こんなにもこの2人が仲が悪いのか、理解ができない黒影寮だった。何でだろうね? 詳しくは本編を見てね☆
 フン、と鼻を鳴らした死神・翔は2人の喧嘩を止めてくれた蒼空へ向かって、

「貴様は見るからに馬鹿そうだな。ブチ切れて能力を暴走させないようにな。重力操作の能力などシャレにならん」

「うわぁぁぁ止めろよぉぉぉおお1度やってんだよそれぇぇぇぇぇ」

「————すでにやってたのか」

 呆れたようにため息をついたのは、死神・翔の方だった。蒼空は頭を抱えて「わあぁぁぁぁあ」と叫んでいる。
 そんな死神・翔の頭を引っ叩いたヒーロー・昴は、死神・翔の襟首を掴んで。

「じゃ、みなさん。ありがとうございましたー」

 どうか元気でねー、と言って去って行った。
 徐々に小さくなっていく2人の姿を見送り、黒影寮一同はひやひやする。
 彼らが喧嘩をすると、多分世界が終わるんじゃないかと思った。だけど、今はそんな心配をしなくてもよさそうだ。

「よかったなー、銀ちゃん」

「……えぇ、そうですね」

 フッと笑んだ銀の表情は、とても清々しいものだった。
 何故なら、彼女は死神・翔に励まされたのだから。あの2人に出会えてよかったと、心の底から思っている。


「————あらあら。何か喧嘩している声が聞こえてきたと思ったら、もう帰っちゃったかー」


 と、その時である。声が降ってきた。
 バッと黒影寮は反射的に武器を構えた。銀も鏡の中にいる鈴に呼びかける準備をする。
 声の主は木の枝に腰かけて、こちらを見て笑っていた。空を映したかのような青い髪と深海のような藍色の瞳が特徴の、不思議な少女である。
 紺色のワンピースという少し寒そうな出で立ちをした彼女を見て、全員は一言。

「「「「「誰」」」」」

「ですよねー」

 キャラキャラと楽しそうに笑った少女は、枝から飛び降りてくる。そしてヘラリ、と笑んだ。

「山本雫。さっきの奴らの——まぁ、喧嘩仲間っての? なかなか帰ってこないから迎えにきたんだけど、もう遅かったみたいだね」

「は、ハァ……えっと、彼らとはどういった?」

「言った通り。喧嘩仲間だよ。じゃ、お邪魔しました少女よ」

 ヒラリと手を振って、山本雫という少女は去って行った。嵐のような少女だった。
 何だったのだろう。
 というか————


「「「「「————大丈夫か、白鷺市」」」」」


 あんな世界をつぶしそうな2人と変な少女がいるんだから、きっと大丈夫じゃないだろう。